二人旅
騒動を起こした夜に商工都市ベールトルードを去ったヴァーゴとゴランは南東に向かっていた。
合流した際にグッドマンの死を知ったミーアは寂しそうな素振りを見せつつヴァーゴらに別れを告げた。
彼女いわく、グッドマンとの友好関係があったために協力していたに過ぎないとのことだ。
獣人のミーアは元の旅芸人にもどり、軽い挨拶をして去っていった。
「あの稲光はウィリアムのスキルだったのか」
「みたいだな。クソ真面目野郎が奥の手を隠してやがった」
「あやつならこう言うだろう。『敵をだますにはまず味方から』とな」
「ヘッ、ちげえねえ」
ヴァーゴとゴランは街道沿いを歩きながら亡きグッドマンについて話していた。
真面目で説教くさく、それでいて深い憎しみの元に復讐を達成した男。
その命が汚されないためにトドメを刺したヴァーゴは彼から置き土産をもらっていた。
スキル『グッドマンの剣技』。
スキル『礼儀作法』。
「まさかスキルまで吸収できるとは思わなんだ」
『たぶんだけどよ、相棒のスキルを学習する体質と関係あると思うぜ』
「それにしたって、なんで『礼儀作法』なんてもんがスキル扱いなんだ。わけがわからねえ」
「お前さんにとって縁がないものだからじゃないか?」
『相棒は礼儀もヘッタクレもねーもんな!』
「うるせえ」
二人と一本は軽口を叩きながら次なる目的地へ向かっていた。
「んで、港湾都市ブルーカフスが俺の目的地になったわけだが……」
「その前にわしの用件を済ますことになるな」
「例のバカ弟子か」
「赤錆の街テアーズでしくじったらしい」
「そのバカ弟子は助ける価値があんのか?」
「魔導具師としての腕は確かだ。このわしが技術を叩き込んだからな。まあ、わしには遠く及ばんがな」
「まさかそのバカも連れていくだなんて言わねえだろうな?」
「それはあやつ次第だ。やらかした以上、かの街に居座り続けるわけにもいかんだろうしな」
「言っておくが足手まといは連れていかねえぞ」
「それはお前さんが決めればいい。バカ弟子の件が解決したら、表面上、わしらがお前さんについていく理由もなくなる」
「ヘッ、一人のほうがせいせいするぜ」
『相棒、仲間は多ければ多いほどいいぜ? 爺さんの魔法銃が強力なのは散々見てきてわかってることだろ?』
「あんたの用事が済んだら、この口やかましい魔剣のしゃべる機能を取っ払ってくれねえか?」
『そりゃねえぜ相棒!』
「ハッハッハ! インテリジェンスソードから自我を取っ払ったらただのナマクラよ!」
デルフィンの悲痛な嘆きにゴランが豪快な笑い声をあげた。




