魔王の戦い 3
「王様。ちなみに僕たちを誰だとお思いですか?」
「何を言うのだ? 『旅の者』?」
「ええ。 ですがあの晩に『魔王』からの手紙があったではないですか。」
「ふん、何を言うかと思えば。魔王は勇者に倒されてもう死んでいる。
嘘をつくならもっとうまい嘘をつけ!」
ある意味この王様はすごい。
魔王に子孫がいるとかそういうことは考えないのだろうか。
「僕が魔王と言ったらどうしますか?」
「ガッハッハッハッ! だからもうこの世にいなかろう。生きていてもお前のような、ひ弱ではなかろう。」
「エル、もうこいつぶっ飛ばして――」
「アリス、僕が相手するから大丈夫。」
ここまで話がうまく進まないのはマシロ以上である。
まだマシロの方が話を理解したうえで相手を苛めるから・・・いや待てよ、そっちの方がタチ悪いな。
でもこちらとしてもこのままでは話にならないであろう。
すでに正体は気が付いていると思っていたが、面倒なことに正体を明かすことから始めないといけないようだ。
ブワーッ
「王様、これで信じていただけますか?」
「な・・・な、ななな・・・・」
「角だ・・・魔族だあぁあっ!」
王様は立っていたのだがズリズリと後ずさりをしたら玉座に当たり座って。
周りの兵たちは僕の角に驚き、騒ぎだして武器を構えた。
「ぶぶ、ぶ武器をとれっ!!」
「ですので、王様こちらは戦う気はないのですが。」
「かかれぇっ!!」
「お父様っ!! 待ってくださいっ! やめてぇぇえ!!」
王様の声に一斉にこちらに向かってくる。
マリーさんの制止を聞き入れず、大きな音と共にこちらに兵の波が来る。
無詠唱ではさすがにまずいであろう。
私以外の二人に任せれば怪我では済まないであろう。
「契約しようの木の精霊よ 巻きつけ 蔓縛り」
「う、うわぁあ!!」
木の蔓が突如としてこちらに向かってきた兵士に巻きつく。
全ての兵に一瞬で絡まり武器を持つ手も足も動かないようになり、瞬く間に謁見の間が静かになる。
動けずにいる兵を横に王様は慌てふためく。
「な、何をやっておる! アイとマイもいけ!」
「すみません王様。今日は私、女の子の日で朝から体調が悪いんですよ。」
「な・・・。」
「っぷぷ・・・。」
アイさんの返答に絶句して固まる王様を横目に笑いを堪えられないマイさん。
王様の命令に対してそのような理由で断るとは・・・。
「ええぇい、マイ! お前だけでも行けっ!!」
「マイさん、遠慮しないでください。 こう見えて魔王ですから。」
「・・・わかった。 じゃあ遠慮なく、行くよ!」
彼女の言葉が終わるとともに走りだし。
攻撃するより捕らえるべきだろうが、一応隊長クラスだから油断はできない。
下手に手を抜いてこちらが負けてしまうことも十分にあり得る。
「エル、私がやる。」
急にアリスが僕の前に立ち視界を塞ぐ・・・と言いたいところだがアリスの身長では僕の視界を塞ぐことは出来ず頭がちょこんと見えるくらいだ。
僕の前に出てきたアリスを見て、マイさんもその場に止まった。




