旅の者(魔王) 5
僕たちと年齢は同じくらいのように見える。
だがこちらの二人と天と地ほど違っている点がある。
彼女は出るところの出たスタイルのいい女の子である。付き人といい彼女といい、王都の人間と言うのはみんなスタイルがいいものなのだろうか。
スタスタと僕の横まで歩いてきて並び立ち、王様に対して強い口調で発言し始めた。
「お母様が亡くなって、お父様は変わられました。
女性にばかり厳しくして自分の思い通りに動かそうとして・・・。
女性も私も同じ人間なのにっ!」
「マリーよ、残念だがここはお前の来る所では無い。部屋に戻っていなさい。
おい誰か、連れて行きなさい。」
「ですが王様。一度くらいお話ししてあげてもよいのではないでしょうか?
実際に反乱紛いのことは何件か起きています。」
付き人の一人が肩を持った。
「ふん。 話を聞いて反乱が無くなるのだったら何度も聞いてる。」
「そういうことではないです。マリー様は男尊女卑の考えに反対する者達からの支持があり、今の王様にとって防波堤となっているのは事実です。」
「もうよい。 お主も下がれ。 誰か連れて行け。」
「いやよ! 離してってばッ!」
「愛しのマリーよ。 言うことを聞きなさい。」
「ちょっと! お父様っ!」
連れ出された彼女はどうやら、この王様の娘で正真正銘の王女のようだ。『マリー』と言っていた。
父のはずの王様に対して何か蟠りがあるようだ。。
母の女王はすでに亡くなっているようだ。
そして女王死後からどうやら今のようになっていったようだ。
王様が男尊女卑の考えに走って、女性に厳しくして無理矢理に周りからの支持を得ようとしているようだ。
なるほど・・・。
少々荒い方法だが今のやり方にはこの方がいいかも知れない。
「王様、宴の件ですが謹んでお受けいたします。」
「えええ!? 本気なのエル・・・?」
「おお! そうかそうか。
では、早速準備に取り掛からせる。客室を用意するからそちらで待っておれ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
僕は彼の話に乗っかることにした。
今まで王都に来ることもなければ、王の城にこんなに堂々と入ることもこの先ないだろう。ついでだから、宴に参加してドンチャン騒ぎをする。
兵士に先導の元、客室へ案内される。
「ねえ、ねえってば! エル本気なの?」
「ん、ああ。」
「わかって言ってるのっ!? 私たちは、宴が終わったら、あいつの相手しなくちゃいけなくなるのよ? それでもいいの!?」
「まあ、そういうことになりますね。」
「ピエロ本気で言ってるの?」
「すみません。今、ちょっと考え事していますので。客室に入ったら聞きます。」
しかし、どう見ても二人は明らかに機嫌が悪そうである。
まあ無理もないであろう。二人はまだ若い。
若い子が、あんな男の夜の相手をしなければいけないというのは王都では今では当たり前かもしれない。
だが魔都ではそんなことないし、マシロの世界でもやはりそんなことはないようだ。
彼女たちからすれば納得いかないというか、怒るのは間違いないであろう。
一つだけ言わなくちゃいけないのは、僕が王様に仕えていたあの二人を相手にしたいという不純な理由ではない。断じて。決して。・・・これっぽっちも!
・・・ま、まあ、ちょっとは相手してみたいとは思ったけど。




