委員長からの手紙
『佐野クン。いま、どうしてる?
私っておかしいよね。届くハズのないメールなんか書いて。もう、何度も送信しようとしてるんだよ。もちろん失敗ばかり。ホント、バカだよね。
知ってる? あの異世界に行くってアプリ、本物だったんだよ。
佐野クン、向こうでスマホを見た時、すごいステータスだったよね。
一緒にボタンを押すはずだったのに、佐野クンは押さなかったんだね。おかげでひとりでこの世界に来ることになっちゃった。だから、ちょっとだけ恨んでる。
もし、一緒に来てくれてたら……私のこと、助けてくれてたかな。
私は、勇者候補生なんだって。
特別に選ばれた戦士なんだって。
最初はモンスターと戦うって聞いてたけど、戦争に行けって言われた。私が戦わないと、たくさんの人が死ぬんだって。
嫌だって断ろうとしたら、お友だちになった子を殺すって言われた。
奴隷だから、殺してもいいんだって。理由がおかしいよね。悪いことなんか何もしてないのに……。
だから私は、これから戦争に行きます。
相手の国の人はみんな悪魔だって言うけど、違うことくらいわかってる。同じ人間を殺すんだよ。その人にも家族や恋人がいるんだよ。
私が人殺しになったら、きっと佐野クンも私に幻滅するね。
たぶん前の私じゃなくなるから。そうなったらごめんね。
どうせだから最後に言います。
あなたのこと、ちょっとだけ好きでした。
もう二度と会えない佐野クンに。本当は弱虫な委員長より』




