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見えない闇とおじさんの猫背

奈緒は体の節々の痛みに目が覚めた。

ソファに座ったまま寝たのかと、ガチガチな体が窮屈そうにしている。

口からは、アルコールの匂いが真上にある鼻を刺激して、気持ち悪くなる。口を閉じても中にアルコールの匂いが充満するだけで、解決しなく、水を一杯飲みたいと体をソファから持ち上げる。

関節が油のきいていない人形みたいに皮膚の下でギシギシと音をたてる。

強い日差しの中あることに気づく。

昨日、眠剤を飲まずに寝れたのかとぼんやりした頭で自分に感心の意を込めて、今日は煙草一本増やして良いよとご褒美をあげた。いや、ただの疲れか?と思いもしたが、残業をしたOLじゃないんだし、ない。失礼だと疲れの疑惑を消した。

壁に少し斜めにかけられた時計を確かめながら立ち上がる。

九時半と針が知らせてくる。

奈緒の今日の予定には十時半に病院の予約が入れといている。

やばいなと気持ちは焦るが、体が重い。ダイエットしなきゃと頭の隅で思い、直ぐに消えた。


待合室は、対面しない様に椅子が真っ直ぐ窓を向いていて患者の事を考えているのだと一目で分かる。

一番後ろを座った景色は、椅子からはみ出た頭と窓際に置かれた世話の行き届いた観葉植物が生き生きとしている。こいつらの栄養は患者の正気だったらどうしよ。

右を向けば、無料で設置されているコーヒーメーカー。

毎回三杯は飲んでいる。飲まなきゃ損精神が年中無休で働いているから。

一人一人呼ばれて数分して帰ってくる自分と同じ立場の人間を観察するのが、癖になってしまい、病院に足を運び話を聞いてもらい薬を処方されてまた、来るのを繰り返しの中で本当に治るものなのかと何時も思うものだ。現に診察室から帰ってきた患者の顔色は何一つ変わらず、暗く顔の皮膚が下がっている。

人から見たら私も、そう見えるのかも知れないと思うと、早く抜け出したい。けれど、深く暗い闇が簡単に晴れてはくれないのだ。皆、今日寝て(寝れたらだけど)明日の朝でも昼にでも目が覚めたら、私と同じように、「あーまだ生きているのか」とか思うのかなとおじさんの猫背を無心で眺めていた。

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