38. ラノベとは違う
38. ラノベとは違う
そしてそのまま引っ張られてこられたのは……人気のない路地街にあるラブホテルだった。
新島さんは慣れた手つきで手続きをしたあと、ボクを連れて部屋に入ると扉に鍵をかける。そしてそのままベッドに押し倒されるとボクの両手を押さえつける。
ボクはこの状況についていけず頭は完全に真っ白になっていた。そんなボクの耳元に顔を寄せて、新島さんが囁くように口を開く。それはとても甘く蕩けるような声だったけど、同時に恐怖心を刺激するようなものだった。
ボクは目の前にいるクラスメイトの女の子……新島由香里を見つめたまま動けないでいた。どうして?なんで?という疑問ばかりが頭の中を駆け巡る。しかし、それと同時にこれから何をされるのかという不安もあった。
「抵抗しないの?」
「え?」
ボクが混乱していると、新島さんは不思議そうな顔をして首を傾げる。そしてそのままベッドに座り直す。その表情はまるでいたずらっ子のようで可愛らしいものだったけど、その瞳には妖艶さが宿っていてまるで獲物を狙う獣のようだった。
「あの……どうして分かったの?ボクが白瀬優輝だって」
「あ~……私ね……実はずっと白瀬君のこと狙ってたんだ~」
「えっ?」
「学校にいる時もずっと見てたし、だからさ……眼鏡外した白瀬君も見たことあったし、身長も同じくらいでしょ?あと声は少し違うけど声質が似てるし。アニメ見てたらこの声、あの声優さんじゃない?って思ったりするでしょ?それと同じ。そういうのが色々重なって確信が持てた」
そう言って微笑む新島さん。ボクを狙ってるって……どういうこと?
「あ。白瀬君が好きとか嫌いとかじゃなくて。私はね……可愛い男の子とかショタとか童貞君が好きなの。ただの性癖。だから……葵ちゃんに黙っててあげるから……シよ?白瀬君の童貞……私にちょうだい?」
そう言って服を脱ぎ始める新島さん。その大きな胸があらわになりボクは思わず目を逸らす。でも新島さんはボクの手を取ると自分の胸に押し当ててくる。
柔らかい……温かい……
思わず意識してしまうボクに対して、彼女は妖艶な笑みを浮かべながらさらに体を密着させてくる。
「だっダメだよ新島さん!」
「どうして?」
「だってボク……その……それに新島さんってこんなことする子だと思わなかった……」
「それは白瀬君の勝手な私のイメージでしょ?私は元からこういう子だよ?それにさ、葵ちゃんも初めての人より経験者のほうがいいと思うよ?葵ちゃん絶対処女だし。だからさ……私で練習してみない?私処女じゃないし、何回も経験あるよ?白瀬君初めてでしょ?」
「いやでも……」
「ふふ。大丈夫だよ。優しくしてあげるし。それにさ葵ちゃんに黙ってあげるんだよ?って秘密を盾に無理矢理する背徳感……そして可愛い男の子……いや男の娘?濡れてきちゃった……それに白瀬君の身体は正直だけどね?」
これは生理反応だ……ボクが男だから仕方がない……
「どうする?」
「……葵ちゃんにバラしてもいいよ。ボクは……本当に葵ちゃんが好きだから!好きな人以外できない!」
「そっか……私も悪魔じゃないから無理矢理はなぁ……でも……何もなしは違うしなぁ……じゃあさ……白瀬君のその真剣な気持ちに免じて、白瀬君が可愛くイクところ……見せて?」
「え?」
「対価だよ対価。私だって濡れてきちゃったのに我慢するんだよ?それにラノベならさ、何もせずに回避できるパターンあるけど……これはラノベじゃないし、人生はラノベのように上手くは行かないよ白瀬君?」
そう言って新島さんはボクのを右手で……突然訪れた刺激に思わず声が漏れてしまう。
「ああっ!?」
「ほら……私のも……」
そのままボクの右手を誘導しすでに濡れているそれに触れさせられる。温かくてそれでいて柔らかい……そして自然と指が動いていく。
「あぁん……そこ……気持ちいい……もっと……上手だよ?ほら目を閉じて。この手を葵ちゃんだと思って……ね?」
新島さんの艶やかな声と息づかい、そして温もりに包まれながら、ボクは必死に声を出さないようにする。でも声は漏れてしまう……
「どうしたのかな……あぁんっ……イキそ……白瀬君?ここ苦しそうだね?」
「あっああ……」
「ふふ。その顔可愛い。いいよ。私が全部受け止めてあげるからね?」
そしてついに限界を迎えてしまい……ボクは新島さんの手に……そしてそのまま脱力感に襲われベッドに横たわるボクに、新島さんはティッシュで手を拭きながら妖艶な笑みを浮かべる。
終わった……貞操は守れたけど葵ちゃんとの関係は終わってしまった……きっと葵ちゃんはボクに愛想を尽かすだろう。せっかく仲良くなれたのに……それもボクのせいなんだ……




