39. ナイショの相方
39. ナイショの相方
ボクはラブホテルの天井を見上げて放心状態。そして自分の不甲斐なさに涙が溢れてきてしまう。
「白瀬君。泣かないでよ。またイジメたくなっちゃうじゃん」
「葵ちゃん……ごめんね……」
「……安心して。葵ちゃんには言わないから」
「え?」
「だって……なんかラノベみたいで面白いでしょ?男の娘と女の子の恋愛って。だから……オタク心として普通に応援したくなっちゃった」
そう言って微笑む新島さん。え?どういうこと?そしてボクは頭が追いつかない。葵ちゃんに黙っててあげる代わりにボクと……男の娘であるボクの童貞をもらって満足するはずじゃ?え?分からない。
「でもボク……ヤってないよ?」
「可愛くイクところ見せてもらったから。口止め料にしてあげる。ただ、白瀬君が葵ちゃんに告白してフラれた時は、私に童貞ちょうだいね?」
「新島さん……」
なんか歪な形だけど、新島さんがボクの秘密をバラすことはないのは分かった。それだけは確信できたから少し安心だ……少し冷静になれた……だからこそふと我に返るとすごい光景が目に入る。
「あの!服を着て新島さん!」
「え?あ~ごめんごめん。でもさ……さっきこっち直接触ってたよ?」
「見せなくていいから!」
「可愛いな白瀬君って……やっぱ食べたいかも」
そう……今までボクは裸の新島さんに押し倒されていたんだ。慌てて顔をそらすボクだけど、心臓がバクバクしているのが分かる。だってこんな間近で女の子の裸体を見るなんて初めてだし……葵ちゃんと違って大きくて……そして右手にはあの感触と、新島さんの艶やかな声と息づかいが蘇ってくる
そんなことを考えていると、いつの間にか服を着た新島さんはスマホを取り出すとボクの横に座る。そしてそのまま写真を一枚撮って見せる。
「あっあの写真は?」
「保険ね?ほらNTRもので良くあるでしょ?『消してほしければ分かるよね?』みたいなやつ。白瀬君が葵ちゃんにフラれた時のための保険だよ」
「やっぱり脅すのボクのこと?」
「それも悪くないかも?ふふ。冗談。私は本気で応援するし協力だってするよ。葵ちゃんは親友だもん。白瀬君も今日でお友達になれたでしょ?」
「なんか歪な形だけど……」
「じゃあ『いび友』……いや『ヌキ友』だね?」
「それ嫌だけど……」
「そう?ならコスプレ友達だから……『相方』だね?」
そう言って悪戯っぽく笑う新島さん。なんか……いい人なのか悪い人なのか分からないな……何よりも女装しているという秘密が守られるのなら文句はない。
「じゃあこの話はおしまい。それより今日のコミケ良かったよね~コスプレすれば良かったぁ!」
「なんか切り替えすごいね……」
「そう?カップルだってヤったあとはご飯の話とか下らない話するよ?」
「そっそうなの?」
「うん。アニメとかラノベみたいに余韻とかに浸ってる人なんていないと思うよ。というか白瀬君は色々イメージ固まりすぎだと思うな」
そうなのかな……でも確かに新島さんは本当に大人しくて真面目な印象だったのに……全然違うもんな……
「今度はYUKA猫として遊びたいかな。いいコミケあったら今度は一緒に行こうよ『相方』としてさ?」
「うん。相方として」
「ねぇ白瀬君。まだ時間あるけど……本当にいいの?私で練習しなくて?葵ちゃんより胸大きいよ?」
「いや、あの……それは葵ちゃんにフラれたらじゃ……」
「おお……なら期待して待ってようかな」
「期待しないでよ!」
こうしてボクと新島さんはナイショの相方として過ごすことになった。ボクの秘密は……新島さんにはバレてしまったけど、そのことで葵ちゃんとの関係が変わってしまうことは防げた。そしてまた1人協力者を得ることができた
「ねぇ白瀬君?また今度さ可愛くイクところ……」
「もうしないよ!」
「ふふ。冗談だよ」
そんな会話をしながらボクたちは帰路についたのだった。




