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復讐の鐘が鳴る時  作者: 柊なつこ
一章 荒れ狂うは雷の刃
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説明会 ソノ二

サブタイトルが読みにくい&長くなりすぎるのが理由で全部カタカナから少し普通の感じにしました

「起きろ!」


「ッ!? 痛ってッ、何すんだ!」


痛みは唐突に訪れた。誰かに殴られた様な痛みが頭に走る。ルークは驚きあわてて起きると目の前に可憐な金色の髪を持つ少女、邪神トルエラだ。


ルークは今のトリエラに疑問を抱く。


まだ一度しか話をした事は無かったが何事も落ち着いて対処するタイプだと思っていた。しかし、今のトルエラは明らかに焦っている。


「大変だ、お父様と交渉が決裂した。今夜戦いになるぞ!」


「...は?」


寝起きルークには何を言っているのか分からずトリエラの事をずっと見つめている。それに腹を立てたのか少し後ろに下がると勢い良く助走し、ルークの顔面に――


「ブバぁ!」


トリエラの華奢な足がルークの即頭部にめり込み、地面に叩きつける。


「クソッ! 伸びている場合ではないぞ。お父様が、お父様が来るのだ!」


お父様、なんだそれは? そんな事より頭が痛い、何だか内側から叩かれている感じがする。


「さっきから何言ってんだ、――って言うかいてぇじゃねぇか! そう言えばトリエラお前、前あった時何も説明してねぇだろ? いい加減説明しやがれ」


「あぁ? ルーク君...幾らアルクの息子でも目上の人に対する敬意を忘れてはいけないよ?」


頭を抑えながら小さな少女を睨みつける。その視線をまったく意に介す事無く逆にルークの数倍の眼光で睨み付けた。


「はぁ!? 人の事蹴っといて何逆ギレしてんだお前、――...いや、そんな事より今は説明だ。お前の言っている事が本当かどうかは置いておいて、今は俺はお前に名前しか知らねぇ。だから、教えてくれお前の事を...」


「――...君の言っている事は確かだ謝罪しよう。そうだな、一から説明するとしよう...とその前に」


一瞬だけ驚いた表情を露わにするが直ぐに何時もの落ち着いた表情に戻る。


「私の事はトルエラ様、あるいはトルエラさんと言え」


そして、ビシッとルークに向けて指を指した。


「分かったよ。トルエラさん」


今は細かい事で争っている暇は無い事を察したルークはトルエラの言葉に従う。


「...さて先ずは十崩器の説明をしよう――」


トルエラの言葉の一つ一つが想像を絶する物ばかりだった。子供が寝物語で聞かされる話が本当の事だったと言うのだから驚かない方がおかしい。


「――と言う様に私はカルッソス帝国に分配され、封印されていた。アルクと出会ったのはもう少し時が経ってからの話だ」


「...親父ってカルッソスって所で何をしてたんだ?」


「アルクはその時騎士をしていた。えーと確か...第十一騎士団の騎士団長とか言ってたな」


「マジか! あのクソ親父が騎士!? しかも騎士団長って」


「私の出会った人間の中では......アルクが一番マシだったな」


顔を赤らめながらそっぽ向くトルエラ。


今の話の中で何処に顔を赤らめる要素があるのか? 


疑問に思っているとそのまま話を続ける。


「話が逸れたな――今言った通り十崩器、十人の邪神の生み出した存在、それが邪神ガルバルディアだ」


「ガルバルディア...」


「ガルバルディア...お父様は私や他の邪神とは違い力が強く、神や賢者達は封印する為の器を造る事は出来なかった。だから神々は他の手段を取った」


「封印じゃないのなら倒したのか?」


「馬鹿者。倒す事が出来ないから封印と言う手段を取ったのだ...それが出来ないお父様はこの世界から追放された(・・・・・)。虚無牢へとな」


「虚無牢? 何だそれは? 神が造った牢屋みたいな物なのか?」


「その答えは間違ってはいない。確かにあれは神が創りし物。しかし、それを造ったのは我々邪神でも、神でも無い。――全ての世界を創造した最高神が創った物。神ですら手に余る者達を投獄し殺す事が出来る神造物だ」


「なら何でそのガルバルディアだったか? この国にいるんだ? トルエラさんの言った事が正しいんだったら今は封印されいるはずだろ?」


「確かに...その事に関しては私も分からない。外から誰かが手引きしたのか。それとも、内側から...兎に角何者かの協力を得てあれから脱獄したのだろ。幸い、その協力者については見当が付いている」


片手で目頭を抑えながら考え込むトルエラ。


「見当って...トルエラさんはずっと俺と一緒に居ただろう」


「確かに一緒に居た。しかし、度々お前達から離れていた者が居ただろう」 


唐突に質問を投げ掛けたトルエラ。


そんな人は......いや、居た。一人だけ。俺達と一緒に行動を共にした人が。まさかあいつが――


ルークは信じられなかった。頭に浮かんだその人は自分と妹の恩人だからだ。父親が来ずに途方にくれていた自分達を助けてくれた。暴漢に襲われた時、誰よりも早く自分達二人を助けてくれた。


「――フリー...ジア」


「そうだ。あの小娘がガルバルディアの契約者。そして、今夜私達を殺しに来る者達だ」


「そんな筈「ないと言えるか?」くっ! ...」


無いとは言えなかった。


彼女と出会った時に最初に感じた『不思議』と言う言葉だ。周りと余りにも浮いている格好。そして周りの視線を一点に集める程の美貌。そして、その細い手には不釣合いな黒い槍を携えていた。姿、雰囲気、佇まい、誰が見ても見ても普通じゃ無い。


だからルークは絶対に無いとは言えなかった。恩人であるフリージアを庇う為の言葉が出なかったのだ。


「君が取れる行動は二つ。一つは私と契約する事。二つ目は戦う頭数を揃える事」


「契約は兎に角。仲間を集めるって言ってもそんな伝は無いぞ」


来たばかりの国で仲間を集めるのは難しい。ギルドで集める事も出来るが、それには金が必要だ。大量のお金が。それに揃えたとしても集まった仲間の質や連携は望めない。俺が出来る事は。


「いや、君は持っているだろ? この世界最大戦力である聖騎士の伝が」


予想外の言葉がトルエラから発せられた。


「? そんな物無いぞ? トリエラさんも知ってるだろ。俺もマリアもこの国には来たばかりなんだ」


「そんな事は知っている。君が私を持っている事で少なからず外の事が分かるからな。君、アルクから手紙を渡されただろ?」


「手紙? 確かに貰ったけど...それがどうした?」


「ナターシャに頼んであると書いていた。私の知る限りナターシャと言うのは聖騎士の名前だ。だから仲間を集めるのなら...業腹ではあるが協力を求めるのであれば聖騎士が最善の選択だ」


確かに...手紙にはナターシャに頼んでいると書いてあった。ナターシャ...聖騎士とは。


「なら起きたら直ぐにそのナターシャの所に行ってみる。それともう一つの契約の方は」


「私と契約したら聖騎士を上回る程の力を手にする事が出来る。しかし、自分で言ったのは何だが私は余りこの手段を取りたくない」


「何でだ? 契約して何か悪い事があるのか?」


「契約者は力と引き換えに夥しいまでの魔力を消費するのだ。私の見た所、君の保有する魔力量は余りにも少ない。これでは、魔力の生成に消費が追い抜いてしまい、魔力が直ぐに尽きてしまい死んでしまうんだ」


「...どれだけ力を使う事が出来る?」


「ふむ...そうだな。最大の力で戦い続けるのであれば、ギリギリもって五分と言った所か、しかし――」


顎に手を当てながら気まずそうに話を続けた。


「君の妹であれば私の契約者として十分に力を発揮する事が出来るであろう」


「なッ!? ダメだ、それは絶対にダメだ! 俺はマリアを守るって約束したんだ!」


声を荒げトルエラの提案を一蹴する。それに対してトルエラは微笑みながら頷いている。


「分かっている。言ってみただけだ。私も望んでやろうとは思わんよ」


「声を荒げてすまない。絶対妹は巻き込みたく無いんだ。起きたらすぐにナターシャの所に行ってみる。それから考えよう」


「行く時は私を連れて行け。契約していなくても少しは君達の力になってやる事は出来る」


トリエラの話終えた瞬間、また二人の居る空間に雷が鳴り響く。力強く、綺麗な光が――











目を覚ますとそこは何時もの宿のベッドの上だった。


「...」


戻ってきたのか? 


ベッドから降りると棚の上に置いてある魔剣を手にする。


この魔剣と、トルエラと契約したら世界最強と言われる聖騎士よりも強くなれる。そして、その力でフリージアを――


「――殺す...か」


「...ルーク様」


「ッ!!」


突然後ろから声が聞こえたと思ったらフリージアが立っていた。話を聞く前と聞いた後では目の前にいる少女の感じ方が違う事に気づいた。前までは何だかふわふわした感じの可憐な少女だったが今は違う。得体の知れない何かが後ろに居る感じがする。


――恐怖を抱くほどに。


「ど、どうしたフリージア」


トルエラとの事を悟られてはいけない。


「...私は私用で今日一日出掛けますのでこれを」


そう言うとフリージアはルークに数枚の金貨を握らせた。


「これは?」


「食事やその他諸々の費用です」


「え? ちょ「それでは行って参ります」おいッ!」


フリージアはルークの言葉を聞かずそのまま扉を開け外へ出て行ってしまった。


まったく表情が動かないせいか気持ちが読めない。


ばれたか?


まったく変化が無いからおそらく悟られてはいないだろう。しかし、絶対とは言えない。フリージアと言う謎めいた少女は平然と人が出来ない事をやってこなす。そんな感じがすんのだ。


「うぅん...お兄ちゃん。もう起きたの?」


「あ、あぁ、今朝は目覚めは良かったからな。...それよりマリア」


「どうしたの? お兄ちゃん。そんな似合わない顔をして...」


妹に言われるまで気付かなかった。


自分の手で顔を触ると筋肉が固まっているのが分かる。...自身でも気付かなかった。


「いや、何でもない。マリア、今日はナターシャって人に会いに行こう」


妹の言葉に驚き、喉に止まってしまった言葉を無理やり声に出した。


「ナターシャって...あ、もしかしてお父さんの手紙に書いてあった、場所は分かるの?」


「人に聞きながら行こうと思ったんだけど」


「はぁー...まったくもう。お兄ちゃんは見通しが甘いんだよ...」


そう言いながらも出かける準備をしている所を見ると、存外乗り気が無いと言う事でもないらしい。


ルークも急いで準備をする。まぁ準備と言っても魔剣を持つだけなのだが...。


「じゃあ行こうかお兄ちゃん」


「おう、...まず誰から聞いいくかな」


この剣を収めるだけの鞘も買わないと。そう思いながら宿から出掛けるの二人であった。

















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