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赤の姫と風の精霊の詩  作者: 羽紗子


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1.祈り

 神殿の屋上に佇む華奢な人影。

 長い黒髪と赤い衣を風にそよがせて、海の彼方を見つめている。


 山から沸き上がる霧が流れて来て、視界を覆ってゆく。

 黒い瞳に映る水面の煌めきは、雲間に隠れた星のようにその光を翳らせた。


 彼女は両手を空へ掲げ、祈りの言葉を唱(うた)う。



   山よ 風よ 海よ 大地よ

   魔素の源たる精霊樹よ

   この国の守りが満ちて

   いつまでも精霊と共に有りますよう



「そして、サフィが幸せに暮らせますように――」


 最後にささやかな声で追加した言葉こそ、一番感情が籠っていた。

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