ゲームフェイズ2:『17』お花見会場
「ご飯!ご飯!ご飯!」
「ご飯!ご飯!ご飯!」
ということで、バカ達は全員揃って、『21』の部屋を目指す。つまり、『こんぐらっちゅれーしょん!』の部屋だ。
「ああ、樺島が2倍に……」
「真理奈が2倍……」
海斗と燕はそれぞれに『2倍……』と嘆いていたが、バカと真理奈は楽しく『ご飯!』と行進中である。真理奈の横ではヤエが『ご飯!』と控えめながらもにこにこしているし、そんなヤエを見て五右衛門もにこにこしているので、まあ、つまり、『ご飯!ご飯!』の一団は止める者もなく、楽しく行進中なのであった。
「ところで、『21』の部屋が『終点』なんだよね?」
「ああ……うん。一応は」
そして、デュオは燕に色々と確認中である。頭脳派は『ご飯!』ばかりじゃいられないのだ。
「『出口』はそこにある。ただ、悪魔の許可が無いと、そこから出られない」
「逆に言うと、そこじゃない場所からなら脱出できるってことかな」
「……壁を破壊することを想定しているなら、そうだと言うしかない」
とはいえ、燕は既に、『キューティーラブリーエンジェル建設フローラルムキムキ支部がこの会場を解体しに来る』というところは理解してしまっているので、『出口』の話はあんまり関係が無いのであった。
「悪魔の許可、っていうのは、無いとどうなるの?」
「門を通れない。通ろうとすると肉体が消滅する」
「うわあ」
……無論、ここは『悪魔のデスゲーム』であるので、怖いことはまだまだいっぱいあるのだが!
「ご飯!」
「ご飯ー!」
さて。そんな怖いことなど全く知らないバカは、元気に『21』のドアを開けていった。すると、既に反対側のエレベーターから到着していたタヌキ達が、『樺島さん達もようこそー!』と出迎えてくれた。
……そして。
「ご飯だ!」
「うわあー!ご飯いっぱいだ!」
テーブルの上には、沢山の食事が並んでいる。バカは、『お肉!お魚!』とにっこにこだし、真理奈は『ケーキもある!』とにっこにこである。尚、ヤエは『ポテサラ……』と、そわそわにこにこしていた。ヤエはポテトサラダが好きなのである!
「ところでここの食事って、どういう理由で並べてあるの?」
「ここの食事自体はごく普通の食事なんだが、脱出不可能になった人間が複数人この部屋に入った時1人だけ食べ物に姿を変えてしまうことで『お前達が食ったのは元は人間だったのだ』ってやるためらしい。あと、その悪魔が登場する時に踏み躙って人間に絶望感を与えるためらしい」
「うわっ趣味悪いね」
「俺もそう思う」
……そして、永遠に使われることは無いであろう設定を教えてもらって皆で『うわあ』とやりつつ……気を取り直して。
「じゃ、タヌキ!これよろしくな!」
「あああああ!テーブル全部は無理です!流石に『謎収納』もそろそろいっぱいです!」
「そっか!じゃあ俺が持ってくな!」
「あああああ!テーブル5個運んでるこの人ぉ!やだぁー!怖いよぉ!怖いよぉ!」
……ここのテーブルは、魔法のテーブルである。取った端から食事が復活する、とっても素晴らしいテーブルである。
だが、この部屋は特に何の変哲もない、ただの部屋である。『出口』があるらしいが、バカ達にはそんなもん、特に関係ないのである。
つまり。
「じゃ!お花見会場に移動だー!」
……このテーブルを運んでいって、外の、景色がいいところで食べた方がおいしいということなのであった!
「ところで、このデスゲーム会場って、お花見会場もあるの?」
「無い。俺は知らない」
「えっ!?」
が!バカが『お花見!お花見!』とにっこにこであった一方、燕は『何それ知らない』ということであったらしい!バカ、びっくり!
「で、でも、あったよぉ……桜の花が沢山咲いてて、すっごく綺麗で……ヤエが、元気のない桜の木、元気にしてくれてぇ……」
バカは一生懸命思い出しながら喋る。が、思い出してもそれが何番の部屋だったのかは全く思い出せないのであった!
「……ああ、『17』か……?」
「へ?」
「俺に無断で変更された部屋がいくつかあるんだが、『17』がそうだったと聞いた。あの部屋は願望映写機になってるらしい」
バカが『がんぼー……?』と首を傾げていると、海斗が横から来て、『つまり、願い事を元に幻影を生み出してくれる部屋、ということだろう』と解説してくれた。流石の相棒である!
「つまり、誰かの願望が映し出されたものがその『桜が沢山ある景色』だったんだと思う」
「あっ!思い出した!ヤエだ!ヤエのお願い事だったんだ!」
そしてバカも、ようやく思い出した。確かアレは、ヤエが泉に触れてから生まれた景色だった。そして、ヤエが元気のない桜を元気にして咲かせたり、五右衛門がヤエの髪に桜の小枝を飾ったりしていたのである!
「えっ、私……?」
一方のヤエは、きょとん、としている。それはそうであろう。今のヤエは、あの時のヤエとはまたちょっと違うのだから。
「うん!ヤエがお願いしたら、桜いっぱいの、すっげえ綺麗な場所、出てくるんだ!」
「そ、そう、なんですか……?」
ヤエは首を傾げていたが、バカはにっこにこの笑顔で『じゃあ行こうぜ行こうぜ!』とヤエを引っ張っていってしまうし、真理奈も『お花見!お花見!』とにっこにこでヤエと一緒にるんるん歩いていってしまうし……他のメンバーも諦めて、また大広間へ戻るのだった!
そうして、バカ達はまた移動し……移動する前に大広間に取り残されている『女教皇』に『ど、どうして私を連れてきたんですか……!?』と詰め寄られ、『ごめん!バットにしてたから!』と答えては彼女の頭の上に『?』マークをいっぱい浮かべさせてしまった。
そんな女教皇はさておき、バカ達は『17』の部屋へと向かった。そして……。
「じゃあヤエ!よろしくな!」
「あ、はい……ええと、こう、かな……」
バカ達は、『17』の部屋の真ん中、泉へ向かっていくと、ヤエに頼んで、その水面に触れてもらった。
……すると。
「わっ、わっ!すごい!すごいよヤエちゃん!」
ぐるん、と世界がひっくり返り、にょき、ぽん、と、桜の木が生えては花を咲かせていき……。
「……すげえ!すっげえ豪華だ!」
「あの、『皆でお花見したい』って思ってたら、こう、なっちゃって……」
……バカが以前見た時よりもずっと賑やかに華やかに、桜が咲き誇っていたのであった!めでたい!
バカ達はすぐ、お花見の準備を始めた。
バカがテーブルを設置すれば、テーブルは『あっ、出番ですか?』とばかり、食べ物をどっさり出し始めた。悪魔の奢りであるので、沢山食べよう!
ヤエは『元気が無い桜の木、元気が無い桜の木……』と探してのんびり歩いて、『あった』と見つけたと思ったら、早速、その桜の木を元気にし始めた。ひときわ美しく見事に花を咲かせた桜の木を見上げて、皆が思わず拍手した!
……そして。
「じゃあ、戦車連れてくる!」
「待て樺島!戦車!?戦車も連れてくるのか!?」
「うん!折角だもんなあ!」
バカは、テケテケ走ってエレベーターに乗り込むと、大広間へ向かうことにした。
折角のお花見だ!人数は多い方が楽しいに決まっているのである!尤も、戦車が『人』数に含まれるのかは甚だ疑問ではあるが!
ということで、バカと海斗がエレベーターを動かし、大広間へ戻ったところ。
「うう……ぐす、私、どうやったら帰れるんでしょう……」
そこには、ぐすぐす泣いている女教皇と、そんな女教皇を慰めるように寄り添っている戦車の姿があったのであった!優しい戦車である!
「あっ……ごめんよぉ、放りっぱなしにしちゃって……」
そんな女教皇を見たバカは、流石にちょっぴり良心が痛んだ。女教皇は、『無敵時間』でバットにされている間の記憶が無い。よって、自分が何故大広間に居るのかも分からず、バカ達が何をやらかしたのかもわからないまま、やはり何故ここに居るのか分からない戦車に慰められて混乱を深めているのである!流石に、かわいそう!
「あの、もしよかったら、一緒にお花見、するか……?」
なのでバカは、『折角だし……』と、女教皇を誘ってみた。
「へ……?」
……女教皇は戸惑っていたし、海斗も『お前、まさか、誘うのか……』と何とも言えない顔をしていたが……戦車は、『それは良い考え!』とばかり、喜んでくるくる旋回していたし、バカも『やっぱりいい考えのような気がする!』と元気が出てきた!
「そうだ!折角だし、他の奴も呼んでくるか?皇帝のおっさんとか、骸骨の騎士とか……」
「待て。待て樺島。お前一体、何をするつもりだ」
「あっ!でっかい宇宙飛行士も居たなあ!あいつも来るかなあ!」
「樺島。樺島。さては大変なことをするつもりだな?そうなんだな?」
そうして元気が出てしまったバカは……海斗に、にこにこ顔で提案した。
「俺、他の奴らも連れて来たい!いいかなあ!」
……そうして海斗は、『ああもう好きにしろ』と、呆れ顔で許可をくれて、そして、『こういう組み合わせで数字を組み合わせれば目的の数にできるぞ』と、教えてくれるのであった!素晴らしい頭脳派の相棒である!
それから、僅か10分後。
「皆ー!」
「樺島さん遅かったですね!おかえりなさああああああああああ!?」
バカがお花見会場に戻ると、タヌキが絶叫した。
それを聞いて『やれやれ……』と頭の痛そうな顔をしている海斗とバカ、そして女教皇はかわいい戦車に乗っており、その後ろから『何故……こんなことに……?』というような顔をしている皇帝が続き、更に骸骨の騎士と彼の黒馬が続き……そして。
「妾を誰だと思っておるのだ貴様ぁああああ!」
騎士に運搬されているのは、シーツぐるぐる巻きの女帝である!いらっしゃい!




