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65話 その12

 まったりお話しながら夕食を堪能したあとは、アムネシアさんも一緒にお風呂に入りました。夜空さんが『終天剣エイル』のことも連れてきてくれていたので、湯船に浸からせてあげたりと、三人で頑張っていました。

 そうしてぽかぽかになった私ですけど、今日はまだやりたいことがあるのです。アムネシアさんを玄関で見送ったあとに、アヴィさんに言ってみます。


「えと、アヴィさん。街のあの建物に行きませんか?」

「分かりました! 我が連れて行ってあげますね!」


 そう言うアヴィさんに頷くと、私たちは眠そうなオルさんたちのことを寝室に連れていき、ベッドに寝かせてあげるのです。


「ゆっくり休んでくださいね」

「……はい、……ねます」

「……ふかふか……する」

「……われも、……ふかふか……です……」


 なんだか眠くてぼーっとしている三人ですけど、オルさんと夜空さんは撫でているとすぐに寝てしまいました。でも、ルアさんはまだ眠れなさそうな感じだったので、撫でてもらうのをアヴィさんにお願いして、私はふかふかを動かしてみるのです。すると、ルアさんも気持ち良さそうにしながら、すぐにすやすやと寝てしまいました。


「レンさん。私、アヴィさんと一緒に外に出てきますね」

「分かった。寒くならないようにな」

「はい、転移してすぐ戻ってきます」


 そう言うと少し不思議そうな感じで見つめてくるので、私はレンさんにムギュっとしてからアヴィさんと一緒に玄関に向かいます。その途中でアヴィさんが服を羽織らせてくれるので、私はそんなアヴィさんのことを見つめてみるのです。


「主様ぁ、我は感激です! 可愛い主様が我を――」


 たくさん喜んでいるアヴィさんの口をなんとなく塞いでみると、私は靴を履いてレンさんに言ってみます。


「レンさん、少ししたら帰ってくるので、先にお風呂に入っててください。それと、私も一緒に寝るので、まだ寝てしまわないでくださいね」

「ああ、ゆっくりでいいからな」


 そんなレンさんに頷くと、次の瞬間にはアヴィさんの魔法で私は師匠の借りた部屋の前にやってきました。ただ、アヴィさんがいてもいいので、そのまま一緒に中に入ってみます。


「ユノちゃん! ようやく我のことを入れてくれましたね! 認められた感じがして我は嬉しいです!」

「えと、そうなんですね」


 特に認めるもなにもありませんけど、アヴィさんが喜んでくれているのでそのまま頷いておきました。

 そしてまず机の上を見てみると、師匠からの返事が来ています。ただ、短く『その調子で仕事を続けろ』と書かれているだけで、かなり適当な感じです。『神徒』からレンさんとアイリスさんが守ってくれたことも書いたのに、ひどいと思います。

 そんなことに少し不満に思いつつも、私は紙を用意して早速書き始めました。

 今回書くことはそれほど多くありませんけど、学院にいる『集い』の方を全員退学にさせたこと、それと『教団』の方も同じように全員退学にさせたことを書きました。……ユッカさんとシャルルさんは、もうこれから身を引いてくれるので、大丈夫なのです。……それに、もう一人の方もシャルルさんのお話から、きっとお二人と同じようになにか理由があって『教団』に入った方なのです。なので、きっとお話すれば大丈夫です。

 そしてそんなことを書いたあとは、リタさんへのお手紙に、総合大会で優勝は無理だったけど二位になれたことを書いておきました。……レンさんと付き合い始めたことも伝えたかったのですけど、師匠に見られたら大変な気がしますし、できれば実際にお会いした時にお話したいので、書かないでおきました。……仕方ありませんね。

 そんな感じで報告書と手紙を置いた私は、アヴィさんに話し掛けます。


「アヴィさん、もう大丈夫です。戻りましょう」

「分かりました! 我に任せてください! 転移魔法五型シフト!」


 また一瞬で寮の部屋に戻ってくると、私は寝室に向かいました。流石にレンさんはまだのようなので、私は寝ているオルさんたちを撫でたあとに、レンさんのベッドに腰を下ろして考え事をします。

 ……その、学院に来てからのお仕事はレンさんとセシリアさんの様子を見ることだったので、中々終わりの見えない感じでした。でも、こうして『集い』と『教団』のお仕事を一つ終わらせることができましたね。……危ないこともたくさんありましたけど、優しい方に助けられつつもなんとか無事に終えられて良かったです。……これで、被害に遭う方も少なくなるはずです。……そういえば、まだアヴィさんから聞いていませんでしたね。

 そんなことを考えていると、ちょうどアヴィさんが教えてくれます。


「主様、今日の『集い』の三人はしっかり退学になりましたからね! 安心してください!」

「……そうですか。アヴィさん、ありがとうございます」

「いえ、我にとっては当然のことです!」


 えっへんとするいい子なアヴィさんに頷くと、もう少しだけ頭を整理してみました。

 ……えぇと、『教団』のことで今分かっているのは、フォティニアさんが神でないのなら、創造獣は固有魔法によるもので間違いありませんし、なにかの体質で固有魔法をいくつも持っているとは思えないので、きっとそういうものを作る魔法なのだと思います。勇者なのだとしたら、今の私では厳しいのかもしれませんけど、それでも時間魔法を先手で使えればなんとかなる気がします。『教団』……『神体クフィル聖教』の中に、クフィルという方がいるのも気になりますけど、まだきっと私の知らないことはいくつもあるはずです。ユッカさんやシャルルさんのためにも、お二人との約束を果たすためにも、いつかフォティニアさんのことはどうにかしないといけません……。

 そんな漠然としたことを考えていると、レンさんが寝室に戻ってきます。今日は私を見てどこか安心した感じなので、私は「レンさん、今日は私が布団を掛けてあげます」と言ってみるのです。そんな言葉にレンさんは微笑むと、私の隣に来てくれました。


「ユノ、もう寝るのか?」

「はい、今日もたくさん頑張りました」

「そうだな。今朝も体の崩壊があったし、ゆっくり休んでくれ」

「ふふっ、私は大丈夫です。レンさんが一緒にいるんです」


 そう言ってギュッとしてみると、レンさんは静かに私の瞳を見つめてから、口に優しくキスをしてくれました。

 ……レンさん、大好きです。……もっと、ギュッとします……。

 そんな幸せな気持ちのまま、キスを終えたあともギュッとしながら横になるのです。そして優しくレンさんに撫でてもらいながら、私は目を閉じました。


「レンさん、おやすみなさい」

「おやすみ」

「……アヴィさんも、……おやすみなさい」


 なんだか眠くなりながらそう言うと、アヴィさんも「主様、おやすみなさい!」と元気に返してくれました。

 私はそんな声を聞きながら、レンさんに抱き締められて、安心したまま心地良い眠りにつくのでした。

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