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65話 その11

「こっちにもあります」

「……ここにもある」

「そうですね。たくさんです」


 可愛いお二人のことを撫でると、私はベッドで寝ているルアさんのことも撫でてみます。柔らかい『アヴィさん人形』を抱き締めて寝ているみたいです。


「ルアさん、心配してくれてありがとうございます。もう大丈夫です」


 そう声を掛けてみると、ルアさんは頑張って目を擦りながら、少しだけ目を覚ましてくれます。


「……主様ますたー……です」

「そうです。もう大丈夫ですからね? 安心して寝てください」


 そう言ってみたのですけど、ルアさんは体を起こすとそのまま私にギュッと抱き付いてきました。オルさんと夜空さんはアヴィさんにムギュっとしてもらっていて、嬉しそうに微笑んでいます。

 ……ふふっ、みんないい子で良かったです。……あれ? 『終天剣エイル』も布団に入れてもらってるんですね。

 そう思って見ていると、夜空さんが「……頑張ってた」と教えてくれるのです。そんな優しい子たちをさらにギュッと抱き締めると、私たちは少ししてから寝室に戻ってみました。……ルアさんも目が覚めてしまったので、一緒に来ています。

 そして私は、隣の図書室から持ってきた本を読むことにするのです。

 ……えと、ノエルさんのおすすめなので、きっといい感じです。それに、この一つ前の小説も読んでいるので、面白いはずです。

 そういうわけで、オルさんたち三人のことをアヴィさんに任せると、私はまったり本を読んでいくのでした。




 面白くてあっという間に読み終えてしまったのですけど、思ったよりも時間は経っていたみたいです。でも、まだレンさんは帰ってきていません。


「主様、どうでしたか!?」

「えと、とっても面白かったです」

「そうなんですね! 我も本を書いたので読んでみてくださいね!」

「なんと言う本ですか?」

「『我のキラキラ主様がよわよわだった件!』、『つよつよ主様だと思ったら、可愛すぎる病気主様だった!』です! 面白いですよ!」

「読みません」

「どうしてですか!?」


 そんな言葉に私が首を横に振っていると、オルさんと夜空さんがアヴィさんに言うのです。


「アヴィさん、読み聞かせをしてください」

「……私も聞く」


 ルアさんも小さく頷いているので、アヴィさんは嬉しそうに「えへへ、ならそうしましょうね!」と言って元気いっぱいです。私も仕方ないのでそんな子たちを撫でていると、玄関の方から音が聞こえました。そしてすぐに、寝室のドアが開いてレンさんが入ってきます。


「レンさん、おかえりなさい」

「ただいま。悪いな、少し買い物をしてきた」

「そうなんですね」

「今から夕食を作るから、ゆっくりしててくれ」

「はい、そうします。でも、もう少しでアムネシアさんも来るはずです」


 時計を見てみると十八時過ぎなので、きっともうそろそろなはずです。そしてそんな言葉にレンさんは頷くと、一度私のことを優しくギュッと抱き締めてくれてから、いい子な三人のことも撫でてくれました。

 そしてまた少しまったり過ごしていると、今度は音がなく転移魔法でアムネシアさんが入ってきます。


「ユノ、お待たせ。なにしてるの?」

「アヴィさんの本を聞いていました」

「そっか。練習はまたあとでにする?」

「いえ、大丈夫です」


 そう答えると、真剣な感じの三人のことを撫でてから、私はアムネシアさんと一緒に練習用の別空間に入ってみました。

 今日はオルさんたちを使ってしまったら可愛そうなので、アヴィさんにお任せして『終天剣エイル』を使うことにします。


「アムネシアさん、頑張りましょうね」

「ユノはやる気なんだ?」

「はい、やる気です」

「そうなんだ」


 なんだかどうでも良さそうな返事をすると、そのままアムネシアさんは私の後ろに回ってきて声を掛けてきました。


「今日は理の時間操作の練習からするね。あと少しだから、一緒に頑張ろうね」

「そうですね。頑張ります」


 なんとなく同じようなお話をしながら、私たちは少しまったりと練習を始めていくのでした。







 それから楽しく練習を続け、今日も数時間が経っていました。


「――いい感じだと思う。これで型の練習も終わりかな。明日から数日で構えを取らずにできるようにしようね」

「そうします」


 私はそう言って頷くと、今日一日頑張ってくれた『終天剣エイル』を撫でながら考えてみます。

 ……んと、理の方も明日で終わるみたいですし、だいぶ練習も進んできましたね。……今日の段階ではまだグレイスさんに勝てませんけど、理で一瞬で時間停止を使えるようになれば、きっとお話も変わってくるはずです。……いい感じです。

 天剣の秘奥義はとても危険な技なので、いくら強い方と言っても普通の人には使えません。なので、流石に使えるようになったところでグレイスさんとの戦いは今日と同じ結果になりますけど、その分『神徒』のような方々と戦う時には役に立ってくれるはずです。……できれば、もう会いたくありませんけどね。

 そんなことを考えたあとは、アムネシアさんにお話しておくのです。


「あの、アムネシアさん。課外学習は今週の日曜日に行くことになりました。また集まる日が決まったらお話しますね」

「うん」


 そう言うアムネシアさんのことを見つめると、私はひとまず寝室に戻ってみました。すると、ベッドの上で楽しそうにお話するオルさんたち三人とアヴィさんがいます。レンさんはそれを見て微笑んでいます。

 そしてオルさんたちは私たちに気付くと、すぐに話し掛けてきました。


「マスターはキラキラでした」

「……そう。すごい」

「キラキラしてます」

「そうなんですね。良かったです。アヴィさんもありがとうございます」

「我は可愛いオル様たちに喜んでもらえて幸せでした!!」


 いい子なアヴィさんなので、私は手に持っていた『終天剣エイル』をベッドの上に置くと、アヴィさんのこともたくさん撫でてあげるのです。アムネシアさんも可愛い三人のことを撫でて喜んでいたのですけど、途中で言ってきました。


「お腹空いちゃったかな……」

「そうですね。レンさんがとっても美味しい料理を作ってくれています」


 そんなお話をしながらみんなでダイニングに向かったのですけど、料理を前にお話しておくことがあるのです。


「あの、アムネシアさん? レンさんと私は、お付き合いすることになりました」

「そっか。良かったね」

「はい、とっても嬉しいです」

「私も嬉しいかな。いただきます」

「……?」


 私は首を傾げてみるのですけど、アムネシアさんはあまり気にした様子もなく「これ美味しいね」と喜んでいます。私も仕方がないので、少し首を横に振ってからごはんを食べ始めることにしました。……ですが、とっても美味しくて、ついそんなことを忘れて夢中で食べてしまうのでした。

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