表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/70

Gluttony (暴食) 

 Gluttony 3


 アリスはレストランへとシンクレアと共に渋々、クリフタウンへ向かうことにした。本当は美術館を見学したかったのだが、シンクレアは決して裕福ではなかった。アリスが向かう聖パッセンジャーピジョン大学の近くにあるレストラン「ビルド」は、ホワイト・シティで一番有名なレストランで、中でも羊肉のソテーが何よりも美味しかった。

 アリスはたまに病院のあるクリフタウンから足を運んでいたが、シンクレアとモートは一度も入店していないだろうと、今日に思い切って誘うことにしたのだが。今回は親友のシンクレアとだけ食べることになった。

 久しぶりの羊肉のソテーの味を思い出し、期待してシンクレアを連れだった。

 ノブレス・オブリージュ美術館から道路の反対側へ横断歩道を渡り、バスの停留所へ着くと、そこにはモートの姿はなく。かわりによく行く古代図書館の館長のアーネストがいた。アーネストは筋骨逞しい身体でこちらにお辞儀をした。

「こんにちは。お嬢様たち。クリフタウンへ? そうですか。それはまた……今日は良い天気とはいえませんが。まあまあですからね。私はこれからヒルズタウンのホテルの温水プールでなまった体を鍛えるため水泳ですよ」

 そして、アーネストはモートは急いでどこかへと走って行ったとだけ言った。

「そういえば、今日は日曜日ですもんね。お休みなのですね」

 アリスは白い息を吐いて空を見上げた。

 シンシンと降る雪の間に、時折日差しが射している。

「あらそう、アリス? モートはどこへ行ったのか知っているかしら? 今度は改めてゆっくりお礼を言いたいの。でも、モートがこんなにも良い人だったなんてね。ミリーが家に来てから、最初何も言わなかっの。でも、急に堰を切ったようにモートに助けてもらったとか言いだして、そしたら、母さんが「夜遅くから何やってたの! すぐに帰らないし! この不良娘!」って、それはもう。見るのも聞くのも嫌になるほどの長い説教だったわ」

 アリスもアーネストも頭を抱えたくなるほど、その時の光景が何故だか鮮明に想像できた。


 Gluttony 4 


 ヘレンはあまりにもモートたちが遅いので、玄関先まで迎えに行こうとしていた。軽い手荷物を持って、自室の503号室のドアに鍵を掛けると、ドア越しに電話のベルが鳴っているようにも思えた。だが、気にせずに高級な絨毯の上を厚底のブーツで歩いていると、エレベーター付近に大きく開いたドアが見える。訝しんでよく見ると、507号室と書かれ、室内から美味しそうな肉汁の匂いが広がっている。

 ヘレンはとても嫌な奇妙な感覚を覚えた。


 Gluttony 5


 電話にヘレンがでなかったので、モートは急いでいた。何か危険な状況にヘレンが立たされていると考えた。その危険な状況とは一体? 考えてもさっぱりわからない。だが、モートは急ぐことにした。モートはグランド・クレセント・ホテルまで縦横無尽に横断歩道や道路を走る。当然、通り抜けることで事故はない。

 不思議とクラクションも鳴り響くこともなかった。

 モートは一目散にヒルズタウンへと向かう。

 オーゼムを置いて……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ