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お披露目祭前日!(探し求めていたあの人の名前は?)

98「お披露目祭前日!探し求めていたあの人の名前は?)」


その後、エイダを抱きしめていた俺はふと正気に戻り、ここが王国の図書館だということを思い出した

そして、いつどこから誰かに見つかるかわからないことを思い出し、そそくさとエイダから離れた


「そ、そういえばメリルのやつはどうしたんだ?

なんか俺らと反対のほうに探しに行くって言ってたけども・・・」



俺がエイダとの間にある、なんでも言えない桃色の空気を払拭するために、そうエイダに尋ねてみる


すると、エイダもその言葉で我に返って、少し乱れた着衣を正すと、その質問に答える


「え、えーと、ドラゴンの住む国って呼ばれている

ドラゴニカ帝国について調べるって言っていたと思うわ

私が調べていた情報の中にも、何度かその名前が出てきていたし、何かあるかもしれないわ」



なるほど、エイダとメリルはちゃんと色んな情報を

掴んできたらしい

特にメリルのほうは、次の目的地になりそうな有益な情報を見つけてきてくれそうな気がする


それにひきかえ俺は・・・

そんな自虐思考に陥っていると、丁度そのタイミングでメリルがこちらの方に歩いてくる


「やっほぉ〜、色々情報見つけたよぉ〜

また、マリーたちのいる宿に戻ってから話そうねぇ

って、あれぇ?なんでカルラさんはそんな申し訳なさそうな顔をしているのぉ?」



メリルはそう言って、不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる

しかし俺は少し顔をそらし、「いや、情報量の多さに疲れただけだ」とテキトウに言い訳した


言えない・・・

みんなが真面目に調べていた間に、知らない女の子と会って、迂闊にも己の失言によって窮地に立たされ、何も情報を調べられてなかった・・・なんて言えない、言えるわけがない



そんな俺は、罪悪感からか2人に晩飯前の甘味を奢った

もちろん2人ともに不思議そうな顔をされたが、「いつもありがとう」と言って2人の頭を撫で、ちょっと強引だが納得してもらった



そうして俺たちは宿に戻り、明日の勇者お披露目祭の見学に行くことを、みんなと話し合ったのだった・・・









ーーーーユリヤス王国・冒険者ギルドにてーーーー


「・・・、ありがとうございます

次の依頼も頑張ってくださいね?

えっ?この後食事?・・・すいません、この後も

お仕事がありまして」



ボクこと、メルルは今日も今日とて、ユリヤス王国の冒険者ギルドで、受付嬢としての仕事をしていた


現在、少しだけ時間が遅いこともあり、ギルド内に人も結構少なくなってきている

それを好機と見たのか、今対面しているCランク冒険者の男が、「この後食事はどうだ?」と表面上は紳士っぽさを装ってボクに尋ねてくる


しかしその視線はボクの顔というより、その下、ボクの胸元に向けていることは承知している


はぁ、何度その視線を受けても慣れることはない

そのようにされる度に、ボクの男に対する評価はドンドン下がっていくばかりだ


とりあえずは、「この後仕事」という嘘をつき、その男を撃退することは出来た

しかし、連日そのような男たちに誘われており

ボクの心はメンドくささを通り越し、一種の怒りにも似た感情を持っていた


なんでボクがこんな男たちを相手しないといけないんだ!


そんな思いが、日に日に強くなっている気がする

しかし、そう考える度に、頭にふと浮かんでくるのは・・・


「あのフードの子・・・、しばらくここに来てない

みたいだけど、どうしちゃったのかなぁ

早くギルドに入ってもらって、あの子の専属の受付嬢になりたい・・・」



そんな風にボクは愚痴をこぼすようになっていた

ボクが変な男たちに、食事だとかデートとかに誘われるのは、彼の専属になっていないから、と考えるようになっていたのだ


彼がこのギルドに来なくなってから、もう結構経っている気がする

彼に紹介した、『買取業者』兼『薬屋」』兼『友達』のエイダにも連絡がついていない

彼が来なくなったのとタイミングが被っているのが

気がかりではあるが、まあタマタマだろう


とりあえず、今はフードの彼のこと!

ボクは少し休憩のため、受付の席を立ち上がり、受付を離れる

そしてボクはそのままボーっと彼のことを考えながら休憩室に入る


「あれ?メルルも休憩?

私もちょうど休憩に入ったばかりなのよ」



「ほぇ!?」



ボクが休憩室に入ると、先輩のエルザさんが何やら手紙を片手にそう話しかけてきた


ボクは自身がボーっとしていた事から、少し慌ててしまい、変な声を出してしまう


エルザさんがボクを変なものを見る目でこちらを見てきたので、ボクはなんだか恥ずかしくなり、少し誤魔化すために、エルザさんが手に持っていた手紙について尋ねる


「そ、それよりもさ!エルザさん!

その手紙はどうしたの?まさか冒険者の人からの

デートのお誘い?」



ボクはちょっとだけ冗談めかした様子で、そうエルザさんに言うと


「え?あははは、違う違う

これはガロス王国にいる、妹のバローナからの近況報告の手紙よ

残念なことに寄ってくる男はいても、みんな下心が見え透いてるしね・・・

はぁ、どこかにいい男はいないのかなぁ」



と言って、どこか遠い目をして手紙片手にため息を吐く

しかしエルザはそんな暗い気持ちを切り替えるかのように、その手紙の封を切る


「いやぁ、うちの妹は仕事第一の真面目ちゃんなのよねぇ

男の人どころか、友達すら少なそうだわ・・・

前の手紙でも、仕えている姫さまの近況についてばかり書いてきたことだし

今回はどんな内容を・・・、をっ!?」



そう言って妹さんの心配をしながら、手紙に目を通していたエルザさんは、突然何かに驚いた様子を見せた


「・・・?、どうしたの?エルザさん

妹さんに何かあったの?もしかして彼氏が出来ちゃったとか?」



ボクはなんでそんなに驚いているのか分からず、深刻な内容だったらマズイので、なるべく冗談めかしてそう尋ねる


するとエイダさんは少し興奮した様子で話し出す


「これはすごいことよ!メルル!

公にはなってないみたいだけれど、私の妹が仕えている姫さま、現ガロス王国の王女さまね

その方がなんと人間の男性と婚約されたみたいなの!この婚約はガロス王国の歴史の中でもとても珍しいことらしいわ!」



直接妹さんのことではなかったみたいだが、その妹さんが仕えている姫さまの婚約にとてもエルザさんは驚いているようだ


たしかに獣人と人間の結婚、婚約はとても珍しい

獣人は力を強く求める種族なので、並みの人間など婚約どころか相手にされない可能性が高い

それを婚約まで漕ぎ着けたと言うことは、非常に驚くべき事なのだろう


「へー、それはすごいねぇ

それでその人はやっぱり国王さまと戦って、力を認められたから婚約できたの?

たしかあそこの現国王さまってドラゴンの・・・」



ボクはそんな強い人間がいるんだと、少し興味が湧き、そう尋ねてみると

ううんと、エルザさんが首を横に振る


「なんと、その男の人、戦わずして現国王さまに王女さまとの婚約を認めさせたらしいわ・・・

聞くところによると、竜人種である国王さまの覇気を正面から浴びても、平然としていて、自らの意見まで主張していたみたいよ」



と言うと、エルザさんは「とてつもない人だわ」と感嘆の声をあげている

かく言うボクも、流石にその話に驚きを隠せない



竜人種の覇気を浴びて、自らの意見を述べることが出来る人間?そんなの普通じゃない


普通、竜人種と対面するだけで、その力の大きさに恐れ慄くか畏敬の念で、何も言えなくなるものが大半だと言うのに・・・

それに恐れることなく、言葉を話し、会話を行うことが出来るなんて、そんなもの尋常じゃない力の持ち主だ



そんな風に驚いていたボクは、ある1人の男の存在を思い出した

半魔とはいえ、サキュバスの本気の魅了をはねのけた男、いくらギルドに勧誘しても全然なびいてくれない男

そして、この頃ギルドに来てくれていない、ボクが探し求めている男


もしかしたら、彼がその・・・



ボクは逸る気持ちを抑えて、エルザさんに一言だけ問いかける


「それで・・・、その男の人の名前は?」



「えっと、人族の『カルマ』という男性みたいよ?

でもあれ?なんかこの名前どこかで聞いたような・・・」



ボクはエルザさんの答えに、歓喜から何も言うことは出来なかった


ボクの探し求めていたあの人の名前は『カルマ』かもしれない!

まだ決まった訳ではないが、一つの可能性として、彼の名前を知る事が出来た、その事実だけがボクの頭の中を埋め尽くしていた



そうしてその後、休憩も終わり業務に戻って、明日の勇者お披露目祭の準備を進める間もずっと、『カルマ』という名前を頭の中で繰り返し思い浮かべて、少し嬉しくなるメルルなのだった・・・



投稿遅れて申し訳ありません・・・

GWってダラダラしちゃうよね(言い訳)

とりあえず次話、勇者お披露目祭当日のお話です!

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