謎多き"英雄さま"
20「謎多き"英雄さま"」
私は男が走り去った後も月下亭に残り、その親子の会話に耳を傾けていた
娘の方はなおも興奮した様子で母親に話している
「あの人よ!あの人なのよ!
昨日私達を助けてくれた・・・は!」
それに母親はとても驚いた顔をしていたが、少し戸惑った顔をして何か娘に返す
娘の方は大きな声だが、母親の方は普通の声だから・・・
そして何よりも、遠いから聞き取りづらい!
かといって近寄るわけにも・・・
しかし娘の方は興奮しているからなのか、かなり大きな声で喋るので、ここからでも聞き取りやすい
「ええ、あの方は昨晩も私たちに何の見返りも求めなかったの!
どんな事を要求されてもおかしくないにもかかわらず・・・
しかもあろう事か、1人1人をそれぞれの自宅まで送ってくれたの!
それはもう"英雄さま"と呼ばれるに相応しいお方だったのよ!」
娘はとてもキラキラした目で、まるでお伽話を聞かせるかのように、その男のことを絶賛していた
そこまで聞いていた私はある言葉が気になっていた
それは露店通りで、男たちの会話を聞いた時にも聞いたフレーズだった
「"英雄さま"?」
私の中で何かが繋がりそうだ・・・
だがまだその"何か"を繋げるには情報が少な過ぎる
私はその"英雄さま"という言葉の事も視野に入れながら、今後の方針を朝食が終わるまでにまとめておくのであった・・・
とりあえず朝食が終わり会計を払う際、女の子の母親から世間話からの流れで、実際に娘が帰ってきたという家庭の大体の位置を訪ねることに成功した
聞くところによると、この近くにもそういう家庭が一二件存在した
なので私は早速その家庭に行くことにした
少しでも"英雄さま"についての情報を知るためだ
そして私はその家族らと会い、様々な事を聞き出してきた
聞き出してきたんだが・・・
「どれもメチャクチャ過ぎる!
"英雄さま"とは一体どんなひとなんだ!?」
どの話を聞いても、英雄さまの優しかった行動とその謙虚さを語っていた点では全部同じだった
しかし、戦闘や戦い方を聞いてみるととんでもなかった
すごい勢いで敵をぶん殴っていたとか、恐ろしい勢いで突進して相手を吹き飛ばしていたとか、しまいには魔法を使って、男たちをぐるぐる巻きにして戦闘不能にしたなど
とても訳の分からない戦い方を聞かされたのだ
これでは、戦士系か魔法系、はたまたそれ以外の何かという可能性まで出てくる
そもそも・・・
「敵の顔をぶん殴る"英雄さま"ってなんだ!?
なんでそんな野蛮な事をするものが、女に優しく、
謙虚な行動をとるというのだ!?」
私は彼女たちの話を聞いて、ますます"英雄さま"の事がわからなくなるのだった・・・
英雄の謎に迫るティアラ!しかし謎は深まるばかりで?
次話、ティアラの情報整理!




