合い鍵。
「今日は勿論ご飯てべていくでしょ?」
「当たり前だろ?」
「まぁ来なくても迎えに行くけどね」
ロイ君達と別れ帰路につく。日が傾き街を茜色に染めあげているその中をリザと共に歩いている。今日は久しぶりにローナさんご飯を食べれる。
「あれ? 家に誰も居ない。何故?」
「買い物にでも行ってるんじゃないか?」
「むしろこの時間に居ないなら外食の可能性が濃厚ね。まぁ良いわ。ハルキの家で少し待って、帰ってこなかったらハルキのご飯食べればいいだけだし」
ローナさんの料理を楽しみにしていたが居ないんじゃ仕方が無い。まぁ暫らくは街でゆっくりするし楽しみは後に取っておこう。今日は魚にするかな。旅の間は大抵肉だったしな。
魚料理を考えなら数分後には自宅に着いた。何故か鍵が開いていた。閉め忘れたか? まぁ貴重品は全部収納で持ち歩いているから良いが。しかし家の中に人がいた。何故? why? 普通なら警察を呼ぶべきだが明らかに知った顔だ。
「おぉ! ハルキ帰って来たのか。リザもおかえりな」
「2人共お帰りなさい。帰ってくるとわかってたら料理作っておいたのに」
「あ、いえ、お構いなく」
元々は明日帰る予定だったからそれは仕方が無い。料理が無いのは残念だが俺はお構いなくと返した。いや待て違う、構う。何故いる?
「いやいやいや、なんでお2人が俺の家にいるんですか? 鍵は?」
「そうよ!? なんでお父さんとお母さんがハルキの家で飲んでるのよ!?」
「ん? 鍵か? 鍵ならデヴィッドに言ったら合鍵くれたぞ?」
「お父さんがね、ハルキさんが居ない時もお風呂入りたいってデヴィッドさんに頼んだのよ。そしたら特別に合鍵くれたの。知り合いだしリザの親だからって」
なるほどわからん。ギルド長は何してんねん。
「それでね? 初めはお風呂だけだったんだけど次第に面倒臭くなってきてね、此処で飲み始めたのよ。私もまぁいいかなって。でも安心して! ちゃんと留守の間はお掃除してたから綺麗よ!」
「え? はぁ…それはありがとうございます?」
なんか良く分からんが掃除しててくれたらしいので、疑問に思いながらお礼を言う。
「ハルキ騙されないで! 何処に他人の家に勝手にあがりこんで風呂に入った挙句に酒盛りする人が居るのよ! これはちょっと説教しなきゃいけないわ!」
「いやだからデヴィッドに許可貰ったから大丈夫だろ?」
「そうよ? ちゃんと許可貰ったのよ? 怒らないで?」
リザの最もな怒りにおっちゃんはのほほんと答えた。幾ら両親だろうとこの所業は目に余ったようだ。だがおっちゃんも見ず知らずの俺を街まで案内してくれたばかりか、気軽に一宿一飯を提供してくれる良い人なのだ。そしてローナさんはそんな俺を笑顔で迎え入れてくれた。正直この2人には頭が上がらない。
「リザ、まぁおっちゃんだから良いさ。なんか掃除もして貰ってたみたいだしな。それに疲れてるだろ? 俺は飯作ってるから先にお風呂入って来いよ。久しぶりだろ。ゆっくり入って来いよ」
「ハルキは直ぐうちの両親を甘やかす! ダメよ! まだ言い足りない!」
「リザだってハルキに甘えてるだろ? いつも浄化して貰ってるの知らんとでも思っているのか?」
「私は約束したから良いのよ! それにコンビで狩りに出かけたらその位普通でしょ!」
「でも酔い覚ましに浄化してもらうのは違うわよね?」
「ぐっ!」
さらに言えば荒野で風呂に入りたいとも言ったけどな。
「今回はこの位で勘弁してあげるわ! 私お風呂入ってくる!」
痛い所をつかれたのかそそくさと風呂へと向かっていった。さて何作るかな? おっちゃん達はバゲットにクラッカー、生ハムにチーズにディップと軽い物ばかりだな。
「エビと貝のトマトパスタ作りますけど食べます?」
「おぉ! 食べるぞ!」
「私も少し頂くわ。ハルキさんの手料理楽しみね」
俺がテキパキと調理する様を横でローナさんは興味深そうに見ている。楽しいのだろうか?
「手際が良いのね、うちのリザにも教えてあげて欲しいわ」
「いや別にリザが作れなくても俺が作るんで問題無いですよ?」
「あら? そぉお? まぁ良いのかしらね…」
ローナさんは少し驚いた様な感じだったが納得した様子だ。普段から俺が作ってるし、作るのが好きだから気にしてなかったが、もしかしたら娘の手料理が食べたかったのかもしれない。悪い事したな。
風呂から上がったリザの髪をいつもの様に乾かしてやる。その様子におっちゃんとローナさんは何故かにまにましている。俺らにとってはいつのも事なんだが? 乾かし終えると俺はパスタを茹で始める。後は先に作っておいたソースと絡めて出来上がりだ。
「ハルキの料理美味いな!」
「ほんと美味しいわね。料理の腕に嫉妬しちゃうわ」
「なに、母さんの料理の方が美味しいぞ」
「あらやだお父さんったら。嬉しいけど恥ずかしいわ」
「はいはいご馳走様」
料理が褒めらて嬉しいと思ったら、俺を出しに惚気が始まった。それをリザが一言で一蹴した。親には厳しい。
「所でハルキ達は明日どうするんだ? 何か予定はあるのか?」
「明日ですか? 明日はちょっと一緒に狩りに行ってたとロイ君達の武器を買いに、王都に行ってきますが夕方には帰ってきますよ。あとお風呂は好きには言って良いですよ?」
リザに言われたことを気にしてるかと思い許可を出しておく。これでリザに怒られまい。
「おぉそうか! うん、わかった。ゆっくりして買い物してこい。武器は大切だからな! よく吟味しないとな!」
「そうね! そうだ! 帰りにリリィちゃん達を食事に誘ってきなさいな。リザから良く話は聞いてるから会ってみたいわ」
「別に良いけど? 家だと狭いからハルキの家にで良いかしら?」
「ん? 別に良いぞ。まだ1度も招待してなかったしな。なら調理器具や器は置いていきますね。自由に使ってください」
「あら、ありがとうね。助かるわ」
収納から出し入れした方が楽だったので家に普段置いていないのだ。ローナさん達が簡単な食事だったのは多分このためだ。簡単に持ち運べる物を自宅で作って持ってきていたのだろう。
「包丁は使い慣れた物の方が良いですかね?」
「!? そうね。刃物使い慣れた物の方が良いわよね! 武器も新調しても慣れるまで強敵とは戦わないしね!」
忘れないようにキッチンに次々と収納していたが、包丁を見てはたと気づいた。その俺の意図に即座に気づいたリザが後押しをする。
「そうねぇ? その方が良いかしら?」
ローナさんは分からないみたいだが、ローナさんにミスリルは危険すぎる。以前聞いた血だらけのサラダどころか、下手したら指が入っていることになりかねない。そんな事になったら美味しい楽しい食事どころではなくなる。一応最初に買った普通の包丁もあるが、念には念をいれよう。ついでにポーションも各種1本ずつ置いとくか。




