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3話
私は次の日も、デイナイトケアで 先生の顔を見た。
やはりネットの画像で見たとおりの顔である。
若干、老けてはいるものの、鋭い知性の光は消えていない。
けれでもモノを言う機会も、挨拶する場合も2人の間には起こらなかったのである。
私は同性愛者でもなかったし、またその傾向は一切ないので
先生に対する興味は、人間学的なモノに尽きる。
なのでそれ程、積極性を帯びていないのである。
次の日、デイナイトケアにて、また声をかける機会を逸して「英単語帳」を読んでいると
先生のほうからこちらに話しかけてきたのだった。
「受験生の方ですか?」
「ええ高校3年生になります」
「お若くて羨ましいかぎりです」
「そんな事は決して―――」と言いかけて黙った。
先生のほうがずっと年長なのに、このような謙遜の仕方はかえって失礼にあたると考えたのである。
「ところで、先生は何の病気でデイナイトケアにいるのですか?」
もっと失礼な質問をしてしまった。
「それは話せません」
それっきり、先生と私の会話が打ち切られてしまった。
私の母校が先生と一緒である事、先生を尊敬している事など――言いたい事は沢山あったのだが……人間関係において会話の困難さを生じる障害を抱えているだけあって
なかなかうまくはいくものではなかった。




