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コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす  作者: 明衣令央
第1章:トマス・コールド

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第4話・アラン・コールド


「やぁ、トマス。予告通り、父上と母上、それからアランを連れてきたよ」




 そう言って、ウォルト兄さんは、父さんと母さん、それから次男のアラン兄さんを連れて、僕の屋敷に遊びにきた。




「やぁ、ベル、久しぶりだね。元気だったかい?」




「はい、ウォルト様。お義父様、お義母様、お久しぶりです」




「あぁ、ベル、久しぶりだね」




「はい、お久しぶりです」




 ウォルト兄さんが今日の予告をしてくれていたおかげで、今日のベルは身なりをきちんと整え、伯爵令息夫人として恥ずかしくない姿で僕の家族を出迎えてくれた。




「アラン兄さん、紹介するよ。僕の、ベルだ」




「アラン様、初めまして。ベルです。よろしくお願いいたします」




「あ、あぁ、よろしく」




 アラン兄さんはぎこちない笑顔で僕とベルを見たんだけど……なんかおかしな反応だと僕は思った。


 アラン兄さんは僕と違って社交的で明るい性格だから、ベルと気が合うと思っていたんだけどな。


 いや、この反応は、もしかしてベルの事を好きになってしまったって事なのかな?


 いくらアラン兄さんでも、ベルは僕の妻だ。絶対に渡さないけどね。




「な、なぁ、トマス」




「え? 何?」




「あの……こちらの女性も、ベルという名前なのか? 彼女がどうしてここに居るのかはわからないが、お前の妻になったベルは、どこに居るんだ?」




「え?」




 僕は、アラン兄さんが何を言っているのか、全くわからなかった。




「アラン兄さん、何を言っているの? 彼女がベルだよ? 僕が結婚した、僕の妻の……」




「旧姓、ベル・ガンドール」




「そうだよ。東の森の第一砦を守る、ギルベルト・ガンドール伯父上の姪の、ベル・ガンドールだ」




 僕の言葉を聞いて、アラン兄さんは首を横に振った。




「トマス、お前こそ、何を言っているんだ。彼女はベル・ガンドールじゃない……。彼女は誰なんだ? 何故、ベルではない違う女が、お前の妻になって、この屋敷に住んでいるんだ?」




「え?」




 僕は、自分の体が震えている事に気がついた。


 もしかして、アラン兄さんは、本物のベル・ガンドールを知っているのか?




「どういう事なんだね、アラン。お前はさっきから、何を言っているんだ?」




「そうよ、アラン。彼女がベルなのよ? あなたは結婚式には忙しくて来れなかったけれど、東の森の第一砦で結婚式を挙げた後、トマスはすぐに彼女を連れてオフレンドに戻ってきて、こちらでも結婚式を挙げたんだから。彼女がベルであるのは間違いない事なのよ?」




 父さんと母さんがそう説明したが、アラン兄さんは僕とベルを交互に見、首を横に振った。




「いや、違うんだ、父さん、母さん、彼女はベルじゃない。俺は仕事上、ギルベルト・ガンドール様に会う事があるから、実際に彼女に会った事があるんだ。トマス、これは一体、どういう事なんだ?」




「え? どういう事って……」




 誰も本物のベルの事を知らないと思っていたのに、まさかアラン兄さんが知っていたなんて、誤算だった。


 ちらりと隣に立つベルを見ると、




「何をおっしゃっているのですか、アラン様。私が、ギルベルト・ガンドールの姪の、ベル・ガンドールですわ。トマスと結婚したから、今は、ベル・ガンドールですけど。アラン様が見かけた娘は、砦で下働きをしていた者でしょう」




 と、少し困ったように笑い、言う。


 ベルはこのまま自分が本物のベルとして、押し通す気だ。


 よし、僕もそれで通そう。


 というか、そうするしかないんだ。




「そうだよ、アラン兄さん。彼女がベルだよ! 失礼な事を言わないでくれ」




 この一年間、今僕の隣に立つベルが、本物のベルとして生きてきたんだ。


 堂々としていれば、父さんや母さん、ウォルト兄さんだって、このベルが本物で、アラン兄さんが知っているベルが偽物なのだと後押ししてくれるだろう。


 だけど、次のアラン兄さんの言葉に、僕は凍りついた。




「何を言っているんだ。心から愛した女性を、見間違えるはずがないだろう」




「え?」




 今、アラン兄さんは、何て言った?


 心から愛した女性? そう言ったのか?


 それって、アラン兄さんは、本物のベル・ガンドールの事を、愛していたという事なのか?




 ガタガタと、さっきよりも激しく体が震えた。


 どうしよう、これはもう観念するしかないのだろうか。


 ちらりと、隣に居るベルを見る。


 彼女は、挑むような目でアラン兄さんを見ていた。


 あぁ、ベルはきっとまだ諦めていないんだ。


 それなら、僕が諦めちゃダメだ。


 そう思った。でもーー。




「あぁ、最悪だ。この一年、ずっと怪しいと思っていたんだ。もっと早くに確かめるべきだった……」




 深いため息をついてそう言ったのは、ウォルト兄さんだった。



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