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最終話 その後の話

 サンドレイズ帝国が仕掛けた戦争は、たった一日で決着がついた。

 正確には、しばらく悪あがき的な攻撃があったのだが、訓練されたヴェルデシア王国の兵たちによって、すでにサンドレイズ軍は制圧されている。

 サンドレイズ帝国の惨敗は、各国に知れ渡った。

 壊滅的な痛手を負ったサンドレイズ帝王は、もはや最弱の国へと転落した。


「私に喧嘩を売るからよ。はぁ、清々した」


 ヴェルデシア王国で発行されている新聞に目を通したローズは、晴れやかな顔で紅茶に口をつけた。

 その新聞を持ってきた男、アルフは、ローズが用済みになった新聞を消し炭にしたのを見て、複雑そうな表情を浮かべる。


「ねぇ、結局王都には戻らないの?」


「だから、まだ戻らないって何度も言ってるでしょ」


「でも、エルドリウスも呼んでたよ? 国王もさ」


「それで私が動くと思う?」


「……愚問だったね」


 アルフは肩を竦める。

 

「僕とローズで一人ずつ……そしてエルドリウスが特級を三人仕留めたことで、戦況の優劣がはっきりした――――と。やっぱり化物だね、あの人」


「私だって、特級三人程度なら相手できるわよ」


「そうだね」


「……」


 ローズはおもむろにアルフの足を蹴った。


「いだっ⁉︎ 今なんで蹴られたの⁉︎」


「照れ隠しよ」


「そういうのは自分で言わないものだよ……」


「っていうか、なんであんたはまだここにいるわけ?」


「国の状況の報告と、暇つぶしかな」


「割合は?」


「二対八」


「暇にもほどがあるでしょ……特級冒険者なんだから、もっと働きなさいよ」


「特級がやらなきゃいけない仕事なんて、実はほとんどないんだよ」


「……まあ、そうね」


 ローズは空を見上げる。

 

「暇ね」


「そうだねぇ……結婚でもする?」


「まあ、別にいいけど」


「だよねぇ……って、え?」


 アルフは耳を疑った。

 ローズは一切彼のほうを見ることなく、言葉を続ける。


「このまま独り身だと、エルドリウスのやつにバカにされそうだし……正直、恋とか愛とか、よく分からないままだけど……私のためにここまで必死になってる男には、ちょっとくらい報酬をやったほうがいいのかなって――――あんたとの生活、別に悪くなかったし」


「は、ははは、ハニー……!」


「ハニーはやめて、キモいから」


 歓喜に打ち震えるアルフをよそに、ローズは小馬鹿にしたようなため息をつく。


(生活がよかったっていうか……家事をこいつが全部やってくれたのが助かったってだけなんだけどね。私が宮廷魔術師に復帰したら、特級冒険者なんて辞めさせて、一生家で飼い殺してやるんだから)


 二人は、それぞれ違う理由で笑みを浮かべていた。

 自分がこれから飼い殺し人生だなんて、ひとつも考えていないアルフは、テーブルを回り込んでローズの手を取る。


「……なによ」


「絶対、幸せにするから」


「っ!」


 そのとき、ローズの心臓が、一瞬大きく高鳴った。

 それからやけに鼓動が早い。

 今までとは違い、ローズは無意識のうちにアルフから視線を逸らした。

 

「……ローズ?」


「じょ……上等じゃない。私を幸せにするだなんて……やれるもんならやってみなさい」


「新しい挑発の形だね……でも、それはそれで燃えてきたよ」


 誇らしげな表情を浮かべるアルフを前にして、ローズの感情は、照れのほうから徐々に怒りへと変わっていった。


「アルフのくせに……」


「え?」


「アルフのくせに! 生意気なのよ!」


「えええええ⁉︎ いい雰囲気だったのに⁉︎」


 炎を纏ったローズが、アルフを追いかけ回す。

 いつも通りの光景が、この辺境の地にはあった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

また近日中に新作をあげたいと思います!

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