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肉増し編、16 ピアノのレッスン初回  1977年4月23日土曜日 4歳

 1977年4月23日(土曜日)午後4時、ピアノレッスンの第1回目が鏡原家の完全防音の音楽室に僕と幸一叔父様がいた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 誕生日の4月18日(月曜日)に、2歳の頃から行われていたいつもの歌のレッスン時に僕は叔父様に対し、

 「幸一叔父様、私も4歳になったので次回からピアノも教えていただけませんでしょうか?」

 歌のレッスンが一段落したタイミングで頼んだ。


 幸一叔父様は一瞬驚いた表情を見せたがすぐに優しく微笑んだ。

 「そうか・・・。自分で判断して頼む事が出来る様になったんだね。三花ちゃんは本当に素直な良い子だね。そしてどんどん伸びて行ってる。

いいだろう。叔父さんのスケジュールを確認して三花ちゃんともお互いが都合の良い曜日に設定しよう。」


レッスン終了後、僕と入れ替わりに入って来たお父様とお母様と叔父様は相談して、

歌のレッスンはこれまで通り月曜日を継続。

ピアノのレッスンは土曜日の午後4時に決まった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  

 叔父様はグランドピアノの前に座り、僕に優しく声をかけてきた。


 「三花ちゃん、今日は初めてのピアノレッスンだね。楽しみにしてくれたかい?」

 「はい、叔父様。楽しみにしていました。よろしくお願いいたします。」

僕はわくわく感が止まらなかった。

『しかし、前世の小学校でメロディオンを習った記憶があるけど、もううろ覚えだな・・・。

しっかり覚えていかないとな。』

 僕は心の中で誓った。


 幸一叔父様はグランドピアノのふたをゆっくりと開けて、白と黒の88鍵が並ぶ様子を見せてくれた。

 「三花ちゃん、よく見てね。これがピアノの鍵盤と言うんだよ。全部で88鍵あるけど基本の音は真ん中辺りにあるからそこから覚えて行こうね。」


 「はい、先生。」


 幸一叔父様は鍵盤の中央付近を指で軽く叩いた。

 「ここが一番大事な『ド』の位置だよ。鍵盤の真ん中より少し右側のこの白鍵が中央、すなわち基本の『ド』になるんだよ。

目印としてこの場所に小さな赤いシールを貼るからね。見えるかな?」

と言いながら、先生は目印の赤いシールを貼った。


 僕は真剣なまなざしで鍵盤を見つめ小さくうなずいて返事をした。

 「はい、見えます。大丈夫です。」


 「よし、いい子だ。では椅子に座って右手の人差し指でこの『ド』を優しく押してみて。

強く叩かなくてもよいからね。指を丸くして、鍵盤に垂直、つまりまっすぐ上から指を当てるイメージだよ。初めてだから緊張するだろうけど、肩の力を抜いてリラックスして押してみてね。

音が鳴ったらそのままの状態を維持して音を伸ばそうね。では早速押してみて。」


 僕は椅子に座り、右手の人差し指で鍵盤を叩き音を鳴らした。


 「う~ん。初めてだから緊張したんだね。もう1回しようか。」

 「はい、先生。」


 その瞬間、僕の内側でセーブ&ロード能力が静かに起動した。

失敗した瞬間に即座にロードして、叔父様の目の前で何度も同じ動きを繰り返した。

そうして最適な形を身体に刻みこんでいった。そしてしばらくして、だが先生にとっては一瞬の出来事として捉えられた。


 「三花ちゃん、説明して2回目なのにもう自然に指の動きが滑らかになってるね。

もう1回叩いてくれるかな?」

 「はい、先生。」


 またもやセーブ&ロード能力を駆使して先生を驚かせた。


 「すごい・・・。説明を聞いたその場の2、3回だけで滑らかで音がきれいに響くなんて・・・。

普通の子供なら数日もかかるのに・・・。」


 僕の頭の中で、魂状態の元の三花ちゃんと念話した。


 ≪雄蔵さん、幸一叔父様びっくりしてるわね。すごいわね・・・。≫

 ≪ありがとう、三花ちゃん。≫

 ≪雄蔵さんの練習の成果よ。≫

 ≪これからも一緒に頑張ろうね。≫

 ≪ええ、応援してるわよ。≫

 ≪ありがとう、三花ちゃん。≫


 叔父様は満足してさらに説明を続けた。

 「次は隣の白鍵が『レ』。人差し指を少し右に動かして押してみて。

指の第一関節を軽く曲げて、鍵盤を包み込む様なイメージで叩いてみて。」


 「はい。先生。」

 

 僕はセーブ&ロード能力を駆使しながら叔父様の教えを先生から見てその場で即座に完璧に再現していった。


 叔父様は興奮を隠せない様子で続けた。


 「次は『ミ』。今度は中指を使ってね。指を丸く保ったまま鍵盤を優しく押すイメージだよ。指先で鍵盤を『掴む』様な感覚を覚えてね。」


 「はい。」


 僕は一度弾いてみる。先生が難しい表情すれば、何回も再度ロードを繰り返し修正していき、きれいな音を響かせた。


 幸一叔父様はもう驚きを隠さなかった。


 「三花ちゃん、君は本当にすごいよ。特別だよ。説明した直後にもかかわらずここまで指の動きが安定するなんて・・・。普通の4歳児。しかも今日が初めてなんて・・・。絶対にありえない・・・。」


 レッスンが進むにつれて叔父様の感嘆はさらに深まっていった。


 「では、『ファ』、『ソ』も続けて・・・。指をスムーズに移動させるんだよ。肩を落として腕全体をリラックスさせてね。」

 「はい、先生。」


 僕は変わらずセーブ&ロードを繰り返しながら、叔父様の支持をその場で完璧に吸収、再現していった。またもや先生にとっては一瞬の出来事だろうけど、僕は魂の三花ちゃんに励まされながら頑張った。


 叔父様の目はもはや驚きを通り越して音楽家として純粋な感動に代わっていた。

 「信じられない・・・。1回の説明で指の角度や力加減。ほとんど完璧に近づいている。

三花ちゃん、君の集中力と吸収力は異常だよ。いや良い方向にね。」


 初回の1時間のレッスン時間が終わった頃、幸一叔父様は深く息を吐き、僕の頭を優しくなでてくれた。


 「三花ちゃん、君は本当に特別だと思うよ。叔父さんは今、人生で一番感動しているかもしれない。

来週土曜日の第2回目を楽しみにしてるよ。」

 「ありがとうございます、先生。先生の教え方がうまいからですよ。」

 「そう言ってもらえるととてもうれしいよ。三花ちゃん、君は本当にすごいよ。」


 ≪雄蔵さん、おめでとう。幸一叔父様、べた褒めね。≫

 ≪ありがとう、三花ちゃん。僕一人では無理だったよ。君がいてくれたおかげさ。≫

 ≪ううん、雄蔵さん。あなたが何回も練習した成果よ。≫

 ≪そうだね、ありがとう。これからもよろしくね。≫

 ≪それはこちらのセリフよ。雄蔵さん。≫


 そうして第一回目のピアノレッスンは終わった。


 『ふ~。疲れたな・・・。でも今後も頑張らないとな・・・。』

そう心に僕は誓ったのだった。






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