肉増し編、2 邂逅(かいこう) 1973年6月下旬 生後2か月後頃
懐かしのおじい様との邂逅で思わず僕は泣いてしまった。
「おやおや三花ちゃん。大丈夫かい?ばあやが変わってあやしてあげるよ。」
そう言いつつ、おじい様の腕の中にいた僕を抱きかかえた。
「おぎゃあ。おぎゃあ。」
僕はまたしても懐かしさの余り泣いてしまった。
「あらあら、三花ちゃん今度はどうしたの?」
あたり前だけど、僕の前世から約50年前なのでおじい様。おばあ様。おじ様。おば様が若い。
僕の様子を見に来たいとこ達も若い。
「おぎゃあ。おぎゃあ。」
さらに僕は懐かしさの為に号泣した。
「三花ちゃん。ミルクが欲しいの?それともオムツ交換を希望なの?」
おばあ様が心配そうに聞いてくる。
「あ~。あ~。(どちらでもないよ。)」
言葉での意思疎通が出来ないのがいらいらした。
「う~。」
いらいらした感情がつい表に出てしまい、両手をバタバタさせて不満を示したがなにぶん生後2か月余りの赤ちゃん。動作が可愛いみたいで親戚達から、
「きゃあ~可愛いわね~。」
「そのムッとした表情も可愛いよ。」
等、可愛い。可愛いと言われた。
僕はまんざらでも無い気分になって、おばあ様の腕の中で抱きかかえられて時を過ごした。
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なおここで僕事、三花ちゃんの身長、体重の推移等を記載する事にする。
1973年4月18日の早朝に、鏡原家の3番目で待望の女の子の誕生だった。
身長は54㎝。体重3.5㎏の健康体であった。
それから約2か月が経ち、身長61㎝、体重5.5㎏に成長した。
この調子で行けば、高身長に成長するだろうと皆予想していた。
肌の色は透き通る様な色白で髪の毛は真っ黒で目鼻立ちは整っており、今でも十分可愛いと言われていた。
『今の現状に満足せずに今世では自分磨きを徹底しないといけないな。』
と、強く心に誓った。
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「おやおや三花ちゃん。疲れて寝てしまった様だね。ばあばがベビーベッドまで連れて行ってあげるよ。」
そう言いつつ、寝ている僕をおばあ様は運んでくれた。
そして・・・。
≪雄蔵さん。雄蔵さん。気が付いて。ねえ、気が付いて・・・。≫
う~ん。
≪雄蔵さん。ねえ気が付いて・・・。≫
僕は意識の中で気が付き、うとうとしているとようやく脳内に響く声を認識した。
≪ようやく気が付いたわね、雄蔵さん。≫
≪君は誰だい?≫
しきりに僕を読んでいた声に対し反応した。
≪初めまして雄蔵さん。私は三花よ。今後ともよろしくね。≫
≪え?三花ちゃん?≫
驚きを隠せなかった。三花ちゃんは僕で語りかけてくる人物を自分は三花だと言い張る。
≪魂が融合されてようやくお互いを認識する事が出来たわね。≫
≪え?魂の融合?認識?≫
≪ええ。私は現在の貴女の身体の元々の魂なのよ。≫
≪え?それはどう言う意味?≫
僕はちんぷんかんぷんだった。
≪だからね、この身体の元々の魂が私なの。でも産まれてくる前に貴方の魂が主人格を取ってしまった。≫
≪そうなんだ。ごめんね。でも君が主体には出来ないの?≫
≪私もそうしたかったけど、まだまだ貴方の魂の力が強く今は無理なのよ。≫
≪今は無理という事はいずれ僕は消えてしまうという事かい?≫
≪それは分からないわ。現に今疎通しているのは貴方の過去の記憶を読んで言葉を造っているの。≫
『え?どう言う事だ?前世で50年近く年を取って現世でも2か月余りの僕とは違い、この三花と名乗る子は2か月余りしか経たないのに・・・。』
≪雄蔵さん、これには深い理由が有るの。でも今はまだ言えないわ。≫
≪ひっ!≫
≪でも安心して。ざっと貴方の記憶を観たけど将来、日本はこの様な歴史を辿ったんだね。≫
≪怖いな・・・。≫
僕と三花ちゃんとの会話は続く。
≪雄蔵さん、ずばり貴方は人生をやり直したいと願ってそれが叶えられたわ。でも男から女に転姓したの。それと202X年から1973年に遡って来た。つまり、貴方の時代の創作話で言う、『TS逆行転生』して来たの。≫
≪そっかあ・・・。そうなんだな・・・。≫
≪あまり驚かないのね?≫
≪まあね。転姓の話も僕が前世では男として人生を歩んで来たから、今度はその逆で女性を希望したからね。≫
≪そっか・・・。お望み通りと言う事ね。いいわ分かったわ。今生での貴方改め貴女の人生を一緒に楽しみましょう。≫
≪ありがとう・・・。≫
こうして僕事雄蔵と三花ちゃんとの邂逅が成され、今後僕が三花ちゃんとして前世の記憶持ちとして生活する事となった。
僕は決心していた。
未来知識を見せびらかしたり、誇示して自慢はするまいと。
おとなしく過ごして行こうと決めていた。




