音の波、射し込む光
何か…うん。友情って大切なものだよね。
硝子のように繊細で壊れやすいけど、直すことも出来るから素敵。
…って何言ってるのかなぁ(笑)
では本題!
ヘッドフォン編、この回で完結!次はどんな武器所持者が現れるか、とうご期待!
晃さんの過去を聞いた乙波くんと私達は、その場に立ち尽くした。
彼が、こんなに重いものを背負っていたとは思わなかったから。
それでもなお、乙波くんを想う気持ちは変わらない晃さんに、感動の情を抱いた。彼は、自分への信頼を犠牲にこの犯行に至ったのだ。
流石に乙波くんも、これを聞いて黙り込んでしまった。
晃「これが経緯さ……。どんな理由があったからといって、これは許されるべき行為じゃない。今まで逃げてきたことだって謝らなきゃいけない。そのせいで君に誤解と不快を招いてしまったのだから」
乙波「……晃……」
二人は視線を合わせた。私達は固唾を呑んで二人を見守る。この問題は、二人で解決すべきだから。
見つめあった二人の表情は鏡に映したようで、泣きそうになりながらもどこか嬉しそうな顔をしていた。
乙波「ずっと……その言葉を……真実を聞きたかったんだ」
晃「僕はずっと…謝りたかったんだ。ごめん、乙波……」
レーダーは、もう反応していなかった。感情が落ち着いているからだろう。晃さんのレーダーの光は、カインさんによると弱くなっているらしい。
同じ武器を所持しながらも、相反する力を持った二人。1人が行きすぎたら、もう1人が止める。二人はベストコンビなのだ。だから、こんな事じゃ絆は消えない。厚く信頼しあった二人なのだから。
疑いつつも、信じたい。そんな気持ちが乙波くんにあったのだ。だからこそ、一方的に攻撃しつつも力は緩めていた……。
晃「乙波」
晃さんはそう言って、乙波君の前に手を差し出した。
乙波くんはちょっと照れ臭そうな顔をしながら、その手を握り返した。
“握手”をした二人の目は、とても輝いていた。もう過去など気にしない。信じるのは目の前にいる親友。今までの事は、水に流す――。
乙波「晃。これからも……よろしく」
はにかみながら、乙波は晃に言った。
晃「当たり前でしょ。……こちらこそ」
晃さんもその思いに答えた。
すると二人が首に掛けたヘッドフォンがいきなり光を帯び始めた。
晃「な、なんだ…!?」
乙波「心なしか、音が――。」
それは、徐々に音量を増していった。どこか二人の仲を感じさせる、温かい音。繊細なメロディー。明るいリズム。全てが調和されている。
二人の繋いだ手は、きつく握られており、表情は明るく、そして幸せそうだ。音楽もそれに答えるように、続いていく。
緋威翔「二人の武器同士が反応して……!?」
-(マイナス)だった武器が、+(プラス)に変わった瞬間、武器は違う物へと変わる。そんな感じだった。
セイラ「……素敵……。」
ケイン「なんか…楽しいな。この音楽」
やがて、音楽だけでなく、光も漏れ始めた。ヘッドフォンから放射線状に広がっていく色とりどりの光。二人の力が混じって出来た芸術だった。
カイン「…素晴らしい…」
その綺麗さに私達も思わず息を飲む。目と、耳と、心が満たされていく。見てる私達まで……幸せ。
月華「二人が…今を進み始めたから…」
そんな言葉が口から出た。私は特に何も考えていなかったのだが…ただ、二人の織り成す芸術を見て、感動していただけなのだが…自然と言葉が出てきたのだ。私は、不思議でしょうがなかった。
暫くして、カインさんが驚きの声を上げた。
カイン「レーダーから、2つの光が消えた…!?」
緋威翔「力を…無くしたんでしょう。トラウマを乗り越えた事で」
皆、その理由に納得したと同時に、二人を見つめる。
乙波「本当だ……!雑音も使えない」
晃「じゃあ調和もだな」
緋威翔「武器が元の物質に戻るとは……驚きです」
二人が過去を乗り越える事によって、武器は武器で無くなった。そういう結果なのだろう。
カイン「これは先生に報告しなくては……!」
ケイン「だな」
乙波くんと晃さんは驚いた顔をしてこっちを見ていたが、やがて笑顔へと変わった。
やがて、音楽と光は止み、元の状況に戻った。乙波くんはヘッドフォンを確認したが、元に戻ったらしく、音は流れない。
乙波「……僕達のこの結果が、皆の不幸を幸福に変えていける理由になるように願ってるよ」
少し辛そうな顔をしながらも、乙波くんは笑ってみせた。
晃「皆、有り難う。僕達を仲直りさせてくれて」
晃さんはこちらを見てから、深々と頭を下げた。乙波くんも晃さんに続く。
乙波「…有り難う。君達のおかげで、大切な人を取り戻せたよ。ヘッドフォンは……壊れたままだけど。でも充分だよ」
月華「…その友情、大切にね」
私も笑顔で二人に言う。
だが、任務が終わった以上、長くここにはいられない。カインさん達一行も含め、私達は二人に別れを告げ、来た道を戻っていった。
その頃二人は……。
乙波「何か、何から何まで急で疲れちゃったな」
晃「じゃあ、音楽でも聴くかい?」
勿論、僕の首には壊れたヘッドフォンが。
乙波「晃ので聴くの?」
晃「そうだよ。今はね。はい、じゃあ半分こ」
そう言って、晃は僕の耳に片方のヘッドフォンを押し付ける。ヘッドフォンは、二人で聴くのに向いていないが、こうすれば、ヘッドフォンから洩れる音を聴く事が出来る。
流すのは、僕達が二人でいつも聴いていた曲。懐かしい音が、涙を誘う。
でも悔むのは、ヘッドフォンが壊れたままのこと。壊れていても大切にする気持ちは変わらなかった。
しょうがないから、家に飾ろうかな…、とか思ったけど、やっぱりこのヘッドフォンで音楽を聴きたかった。
乙波「………」
晃「そのヘッドフォンで聴きたいんでしょ?乙波」
心を読まれたようなこの感じにハッとして、慌てて晃の事を見る。
乙波「何で分かったの!?」
晃「勘ってやつ。ま、それは良いとして――、1つ報告するね」
急に改まってこっちに顔を向ける晃に、少し驚きながらも聞き返す。
乙波「……報告って?」
晃「いつか、君のそのヘッドフォンを直してみせるよ。そのために今、構造とかを勉強してるんだ。」
それは、嬉しい以外の何物でもない言葉。堪らず僕は泣き出す。そんな僕を、晃はやさしく見守ってくれた。
乙波「晃……君ってヤツは……」
感動して、言葉も出なかった。
乙波「晃、君は僕の……」
晃「僕にとって乙波は…」
「「かけがえのない、親友だよ」」
二人の言葉は、晴れ渡った空の下で、強く心に刻まれたのだった。
僕は忘れない。
今日僕達を助けてくれた人達の事を。
僕が一番幸せを感じたこの日の事を。
乙波と晃は仲直りー♪
良かった良かった。
さて、この回で発覚したのは、トラウマや負の感情を乗り越えると、武器は武器になる前のものに戻るということ!
かなり重要な事です。
今回でヘッドフォン編が完結した事により、月華達は一度学校へ戻り皆と合流します!
では次回、お楽しみに。




