13話 「怒り」
ゴールデンウイーク明けの2日間は地獄だった。
「さて、どうしたものか。囲まれちゃったよ、逃げられないな。」
僕ー新安エンは現在、3人に囲まれている。
「さ〜て、エン。これからどうしてあげようか。ねぇ、ラヴァーとちび猫。」
「いや、まぁ。ちょっと怖かったけど仕方ないんじゃニャイか。師匠と戦って無事でいる事なんて、今の僕達じゃ出来ないニャ。だから僕は何もしないニャ、師匠に会いたくて来ただけニャン。」
「私も反対だ。あいつはあいつなりに正々堂々と戦っていた。それで負けたのだ、完敗だ。だから私も攻撃はしない、ただお前達が居たから来ただけだ。」
「ふぅ〜、良かったー。で、僕に仕返しをするのはレイアさん一人ですね。どうします、仕返しをするんですか。」
僕は2人が攻撃する意思がないと聞いて胸を撫で下ろした。
そして、ついでにレイアさんを煽ってみた。
「ふ、ふん。やってやろうじゃないの。」
レイアさんは震えながらも腰に携えた剣を抜き、僕に向かって構えた。
「本気ですか。まぁ、いいでしょう。僕が招いた結末なので対処はしますよ、でも負けても恨まないでくださいね。」
「ふん、いいわ。やってみなさいy」
僕はレイアさんが何かを言う前に異空間から「覇剣ロキ」を取り出し、レイアさんの首を躊躇いも容赦もなく切り落とした。
何で首かって、それは人も厄災も首さえ落とせば死ぬから。
だから首を攻撃する様に意識してるし、何なら首元を狙う癖がついている。
一応レイアさんを見てみると、胴体からまるで赤い噴水の様に血が吹き出ていた。
「学校汚してもまずいし、そろそろ治すか。」
僕は地面に落ちたレイアさんの頭部を拾い上げ、胴体に乗せた後にいつも通りに「再構築」で切断面の細胞を再生させて治した。
すると再生が完了してすぐに起き上がった。
「おめでとうございます、これで2人と同じく3度目の人生ですね。2回死んでますので、どんまいです。」
僕はレイアさんに励ましの言葉を贈った。
まぁ、案の定レイアさんはキレ散らかしたが。
とても女性とは思えない下品で暴力的な言動をしていた。
そのせいで肝心の何を言っていたのかを忘れた。
「ひとまず落ち着きましょうか。ほぉーら、キレないキレない。」
「この卑怯者〜、不意打ちしやがって。許せないわ、私を卑怯な手で殺して。」
だめだこりゃあ、話が通じないタイプの人の反応だ。
なんか既視感あるな〜。
うわ〜、筋肉もりもりの脳筋の女性が脳裏に、はっきりと、映り込む〜。
まぁ、僕も僕で落ち着こう。
僕はこんな馬鹿みたいなキャラじゃない、落ち着こう、うん、そうしよう。
吸って〜、吐いて〜、吸って〜、吐いて〜、落ち着かねー。
何故なら、近くでレイアさんが暴言を吐きながら暴走しているのをミャオさんとラヴァーさんが必死に抑えている絵面がすごいから。
何がとは言葉にはしづらいけど、とにかくすごい。
暴走しているレイアさんと必死になっているミャオさんとラヴァーさんの顔の対比がすごく面白い。
よし、どうしたものか。
この状況をどう対処するか、冷静に確実性のある方法を考えよう。
鎮圧、これはダメだ。
炎にガソリンを染み込ませた松ぼっくりを入れる様なものだ、さらに怒りが燃え上がって爆発する。
逃走、これもダメだ。
なんか情けない気がする。
僕の高いプライドが、積み木が崩れるかの様に音を立てて勢いよく壊れる気がする。
じゃあ、どうしよう。
僕は考えた、レイアさんがこれ以上キレずに僕のプライドを守れる対処法を。
そして思いついた。
「そうだ、記憶を消せばいいんだ。なぁ〜んだ、簡単な事じゃん。どうして思いつかなかったのか。」
僕はまるで飢えた獣の様になってしまったレイアさんに近づき、額を軽くデコピンした。
「ぁぐ、うっ。」
レイアさんは気を失った。
まずは第1段階成功、次は狙い通りに記憶を破壊できてるかの問題だ。
「ミャオさん、ラヴァーさん、二人でレイアさんを全力で揺すってください。強引にでも今、ここで起こしてください。」
「わかったニャン。」
「了解だ、エン。」
そして二人は、僕の指示通りにレイアさんをよだれが宙を舞うくらいすごい勢いで揺すり始めた。
待つ事1分、レイアさんが起きた。
「おはようございます、レイアさん。自分と僕が誰だかわかりますか?」
ひとまず、記憶チェックをしよう。
もしかしたら、自分や僕の事がわからないなんて可能性があるからだ。
「何言ってるの、エン。私を馬鹿にしているの、この神凪レイア様を。」
よし、何も問題は無いな。
いつも通りの間抜けで傲慢なレイアさんの言動と仕草だ、問題無し。
「どうしてここにいるのか覚えていますか?」
ここで大本命の質問。
ここさえ忘れてくれてたら、後はどうでもいい。
「えぇ〜と、うーん。いや、覚えてないわ。ごめんなさい、私が何かしたかしら?」
「そうニャンよ、すごい暴れてたニャン。獣人もびっくりの暴れ具合だったニャン。」
「そうだぞ、レイア。少しは暴れて落ち着いたか?」
よしよし、これで万事解決。
よし、教室に行こう。
さっさと行こう、すぐ逃げよう。
「じゃ、2人から詳しい事を聞いてくださいね、レイアさん。僕は教室行くんで、それでは。」
そう言って、僕は廊下を走り抜けて教室に向かって行った。
こうして、レイアさんのヘイトをなんとか回避して教室で退屈な授業を受けて、今日という日の幕を下ろした。
久々に短い内容書いた気がする。




