偽りの神兼教団運営責任者(β)
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ある日。
朝の供え物整理とスライム掃除が一段落した頃、
佐々木さんが、コーヒーをすすりながら唐突に言い出した。
「こうなったらいっそ、この宗教、制度化して管理した方がいいんじゃないか?」
「……お前は何を言ってるんだ佐々木さん」
コーヒー吹きそうになった。
彼は完全に真顔だ。
「いや、UIにもう“教団の運営支援”って出てるし」
「は……?」
そしてその瞬間、空中に浮かぶUIがひときわ明るく光った。
《新サブメニュー:教団管理(β)》
《信徒数:1,237人(先週比+204)》
《奉納品:日用品 / 魔法石 / 自家製漬物》
《階層信仰レベル:E → D》
《神王様の生活活動:信仰指標として自動記録中》
「自家製漬物って誰が!?てか信徒そんなにいたの!?」
いや待って、俺がやったことと言えば──
洗濯して、カレー作って、UIと喧嘩してただけだぞ!?
でも、UIは容赦なく“次”を提示してきた。
《信仰LvD達成:称号【偽りの神】を仮付与します》
《※仮付与とはいえ、現在の“信仰経路の中心存在”として公認されました》
《オプション:神様の発言を聖典に記録しますか?(Y/N)》
「仮って何!? なにが始まるんだよそれ!?!?」
しかも“聖典に記録”って、うっかり寝言すら後世に残る可能性あるじゃん!?
怖すぎだし、意味不明!!
佐々木さんは釘バット片手に真顔で言う。
「神様、そろそろ“信仰スケジュール”も作りましょうか。月曜:洗濯神事、水曜:清浄祭、金曜:祈祷と掃除」
「俺の生活、全部神事扱いじゃんか……」
現在の“拠点”──かつてのワンルームには、
以下の“信仰対象(仮)”が存在している:
• 和風茶室(神聖空間扱い。たまに信者が黙祷してる)
• 水精霊の滝場(洗濯場。清浄の儀式と呼ばれる)
• 聖光エリア(ただの照明だが、神々しいせいで祭壇と勘違いされている)
• 玉座(当然、主祭壇扱い)
• カレー作り(信仰対象になりかけ。加護を求めて祈る者あり)
そのどれもこれも、俺にとっては──ただの生活改善の副産物だった。
けれど。
「神様、本日は洗濯日和ですな……」
スライムが今日も、洗いたてのタオルの横に花を添えていく。
「……そうだね……(もう、どうにでもな〜れ……)」
──こうして俺は、
カレーを落ち着いて食いたかっただけの男から、
迷宮宗教の象徴“偽りの神”、
そして教団運営責任者(β)へと進化してしまった。
次なるアップデートで何が待っているのか──
知らぬが仏。
ただ、UIは静かに光っていた。
いきなり出てくるものがあって自分も驚いてる。




