日常であり、非日常
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説明・設定はありません。いっぱい悩んでください
その夜。
玉座エリアの空は、いつのまにか“星空モード”に切り替わっていた。
星々は規則的に瞬き、たまに小さな流星が走る。
これは天井じゃない。もはや宇宙の“穴”だ。
なのに俺は、そこにぼんやりカレーをあたためていた。
──なんか、慣れてきた気がする。
翌朝。5時。
ミレリアはいつものように結界チェックを開始。
「今日の湿度は神域として理想的ですね」とか言ってる。
その横で、精霊が一緒にスケジュール帳を見ているのが、すごくシュールだ。
佐々木さんはといえば、
パジャマのまま釘バットを持ち、スライム警戒区域をぐるりと一周。
「赤いのは自己崩壊する前に殴ったほうが早い」とか
「青いのは最近、花の品種改良に夢中だから無害」とか
なんか住人側の情報に詳しくなっている。
「……順応しすぎじゃない?」と聞けば、
「仕事だと思えば、慣れる」
と返ってきた。怖い。社会人怖い。
俺はというと──
今も《リフォーム魔法》と格闘中。
もういい加減、玉座が中心なのも落ち着かない。
せめて「普通のリビング」に近づけようと、
「家庭的な雰囲気にしたい」
と思考してみたところ──
《条件受理:リビングに近づけます》
《実行中……》
《……完了:家庭の温もりを再現》
《追加構造:お母さんの幻影(週2で現れる)》
「いや誰!?!? 幻影ってなに!? どこの“お母さん”!?」
その時、エリアの片隅にふわりと現れた──
エプロン姿の女性型光霊体。
「今日もがんばってね、神王ちゃん」
笑顔でそう言い残し、数秒で霧のように消えた。
佐々木さんはカレーを食べながら一言。
「……これでやっと、家庭持ち設定が整ったな」
「設定じゃねえよ!! しかも週2で現れるの!?」
UIがしれっとこう言い残す。
《ご家庭支援プログラム:試験運用中》
《信仰度:微増》
《癒やし指数:+12》
《王の精神安定:1.2倍》
なんで“家庭の温もり”が信仰になるんだこの部屋は……。
外では今日も、老夫婦が“神域の空気浴”に訪れ、
ギャルが「ここ電波強すぎて人生リセットできそう」と言いながら
玉座エリアにスマホ用の自撮り台を設置している。
供物はすでに「野菜・香料・お守り・USBメモリ」にまで多様化し、
スライムたちは日替わりで「清掃担当」と「供物整理係」を交代していた。
巫女、社畜、ギャル、スライム、精霊、幻影のお母さん──
俺の部屋、どこに向かってるんだ?
でも──
たしかにここには、もうひとつの“生活”がある。
でも、ここから何かが始まってしまった。
そして今日も──
俺はカレーを作る。




