ドス黒い布と、便利な槍
……ギィ
「いらっしゃいまし」
「お久しぶりデヒ」
ドス黒い布を身に纏ったブタ、ハカートン・コーツさんがいらっしゃいました。
「マスター、とびきり高い酒をくれデヒ」
「かしこまりました」
「ぶふぃ、随分景気がいいじゃねえか、コーツ」
「あ、ゴッドさん。お久しぶりデヒ」
「ぶふぃ。……その、なんだ、すまなかったな」
「?何がデヒか?」
ゴッド様は、酒を一口飲み、言いました。
「ぶふぃ、あー、あれだ。俺様が出雲に行ってた頃に、異世界に飛ばされてただろ?」
「ブヒョヒョ。いろいろ補償させてくれたのは、ゴッドさんデヒ。今着てる豚骸布、これも向こうの世界からぶんどってくれたデヒ」
「ぶふぃ?そのドス黒い布、豚骸布かよ!」
ゴッド様は、かなり驚いたらしく、ブボブボと咳き込みました。
しかし、豚骸布とは何でしょうか?
「コーツさん、豚骸布って何ですか?」
「ブヒョヒョ、向こうの世界の求豚主が殺された時にその血を受けた、凄い能力を秘めた布デヒ」
「ぶふぃ、補償として神話級のあいてむとやらを出させたんだ。向こうの世界の宝らしいから、豪華絢爛なモンだと思ってたんだがなあ」
「コレを包んでた布は、金糸銀糸織り成す豪華絢爛な布だったデヒ」
「ぶあっは?あっちかよ!」
「ゴッドさんは、物に頼らなくても強い神だから、かえって見る目がないデヒ」
「ぶふぃ、マスター、酒だ酒だ!」
「どうぞ」
「ぶふぃ?お、おう。相変わらず早いな」
ゴッド様は、じっくりと新しいグラスを傾けました。
「ぶふぅ。酒がうまいぜえ。ああ、他にも何か槍とかもらった筈だが、そっちはどうした?」
「あれはチャシューにあげたデヒ」
「ほーん。何に使うんだろうな。ぶふぃ、あいつ、武器はナイフ位しか使わないだろ?」
「そうデヒね」
ゴッド様とコーツさんは、グラスを持ったままヌーンと唸っています。
……ギィ
「いらっしゃいまし。あ、チャシューさん」
「お晩でやす。お、ゴッドさんに、コーツもいたでやす。コーツ、いい竿をありがとうでやす」
「へ?竿デヒか?」
「あー、槍でやした」
「ぶふぃ。チャシュー、お前まさか、トンギヌスの槍を……」
「そんな名前でやしたかね。物干し竿が折れて困ってたら、コーツが良さそうなモノを持ってたからもらったんでやす」
「ブヒョー!チャシュー、あれはただの槍じゃないデヒ!それを物干し竿に……」
「いやあ、あれは本当に凄い竿でやす!洗濯物が、干したら即座に乾くんでやすよ!面白いから、洗濯が趣味みたいになったでやす!」
しばらく前に、なんだか思い詰めた感じだったチャシューさんが、イキイキしています。
「……ぶふぃ。まあ、生き物を殺す武器だか処刑道具だったが、そんな使い方よりはマシな気もするぜ」
「チャシューが元気になったから、それでいいデヒね。しかし、何で洗濯物がすぐ乾くんデヒ?」
チャシューさんは、大皿にのったデリシャス残飯を貪りながら答えました。
「なんか火の玉が集まって来るんでやす。そいつらに頼むと乾かしてくれるんでやす。あ、マスター。次の酒をお願いしやす」
チャシューさんは、空いたボトルをこちらに渡してくれました。




