ヤミー・ブー
……ギィ。
「いらっしゃいまし」
「……ブヒュウ、……ブヒュウ。……こんばんは、マスター」
店に入って来たお客様は、ヤミー・ブーさん。病人……いえ、病豚です。
「……ブヒュー、薬酒を……ブヒュウ、大ジョッキで」
「かしこまりました」
薬酒は、病気の予防や体質改善のために、毎日少しずつ飲むのが一般的です。
しかし、ヤミーさんはジョッキで注文されます。
「ブヒュウ……いただき……ます。……ブハァー」
三輪さんが生ビールを飲んだ時みたいです。
「ブヒュー……ブヒュウ……もう一杯」
「かしこまりました」
薬酒のカラメル味がいいのでしょうか、とても美味しそうです。
「ブヒュー……ブヒュウ……いただき……ます」
「あ、これサービスです」
干し野菜盛り合わせを出しました。
「ブヒュウ……うまそうですね。……うん、うまい」
「病気には、バランスの良い食事と、十分な睡眠が大事らしいですね」
「……ブヒュー。……ケッ」
なんだか、感じ悪い返事をされました。
「……ブヒュウ……マスター、あんた医者かい?……どっかで聞いたようなこと、言ってんじゃね……ガハゲハグハアッ!」
「ああ!ヤミーさん!」
ヤミーさんは、血を吐いて倒れました。
ヤミーさんの掛かり付け医である、呪術医のブタ彦さんを呼んだところ、ブタ彦さんは病院を抜け出したヤミーさんを捜していました。
「ブホン。ヤミーさん、あれほど酒は止めなさいと言ったのに、病院を抜け出してまで……」
「……ブヒュウ……酒こそ……我が命……」
……ガクリ。
「ああっ!ヤミーさん!ヤミーさーーん!!」
ヤミーさんは、病院に連れ戻されました。命は助かったという連絡が、ブタ彦さんから来ました。
……ギィ。
「いらっしゃいま……ヤミーさん!」
「……ブヒュウ……マスター……酒だあ。……俺は……ブヒュー……病みー・ブー……」
ヤミーさんは、時々病院から抜け出して店に来るようになりました。
先月までは、ゴッド様が毎日見舞いに行っていたそうです。ゴッド様は、ヤミーさんが店に来たら、すぐに病院へ連れて行くために毎晩来ていたのでしょうか。
「マスター。ゴッドさんは、ヤミーさんの病室で毎日、酒がうまいと言って羨ましがらせてたんでやす」
「あ、チャシューさん。いらっしゃいまし」
「ワイルドピッグのロックと、デリシャス残飯を頼むでやす」




