百円以下の音(攻略本がやたらと面白そう)
「いらっしゃいまし」
「ぶふぃ、今夜も来てやったぜ」
最近、ゴッドさんは忙しいらしく、疲れています。
今では、ドアを開ける時に「ギャラクシァン!」とか「ゼビュウゥス!」といった変な音をさせることも減りました。
「あ、悪いマスター、ドア開けるとこから、やり直し」
「え?」
バァンゲリングベィ!
「ぶふぃ、来てやったぜ!」
「あの……ゴッドさん?わざわざ音をたててドアを開ける必要は、ありませんよ」
「ぶふぃ?!お……俺様のアイデンティティーが……」
「何ですか、そのアイデンティティーは?」
「ぶふぃ!酒だ!酒をよこせ、マスター」
「……かしこまりました」
グラスに酒を注ぎ、ゴッドさんに渡します。
やり直した割には、ファミコン最盛期に百円以下で売られていたタイトルっぽい音でした。
……やはり、ゴッドさんは疲れているようです。
「ぶふぃ、酒がうめぇなあ。あーあ、出雲まで行くのが、面倒だぜ」
「最近、忙しそうだったのは、そのためでしたか」
「おうよ。毎年のことだが、神の会議は面倒だぜ。神宮派に鞍替えしたら、行かなくていいんだけどな、ぶふぃ」
「神ってのも、大変ですね」
我々ブタ族のため、がんばってくれていたようです。ありがたいので、少しいい酒を出します。
「……どうぞ」
「ぶふぃ、いいのかい?」
「はい」
「すまねぇな」
ゴッドさんは、酒を受け取ると、少しずつ味わうように飲みました。
……ギイ
「いらっしゃいまし」
「へへっ。マスター、一番安い酒を頼む。……?か、神よ!いらしていたのですね!」
「神、神うるせぇよ、ニック。今どきの神は、酒場で酒ぐらい飲むもんだぜ?ぶふぃ」
「しっ、失礼いたしました。最近、お姿を見なかったもので……」
「ぶふぃ。まあ、久しぶりだな」
「ニックさん、ワイルドピッグです」
「へへっ、いただくぜ」
ニックは、満面の笑みで酒を受け取りました。
「神よ、お忙しい様子ですね」
「ぶふぃ、まあな。この列島じゃ、10月に神の会議があってな。誰と誰の縁を結ぶか決めたりしとるのさ」
「縁?……神よ!では私にも相手を?」
「うーん、俺様の信者だからなんとかしてやりてえが、ニンゲン担当の奴がうるせぇんだ。ぶふぃ、悪いな」
「トンでもございません!」
「ブヒャヒャヒャヒャ!ブタ酒場Tonで、トンでもございませんときたか。ニック、やるじゃねえか」
「ハッ!ありがたく存じまする」
「ブヒャヒャヒャヒャ」
今夜も、ブタ酒場のお客様は楽しげに飲んでいます。
しかし来月は、ゴッド様が出雲に行ってお留守なので、寂しくなりそうですね。




