焼豚の男
キュキララキュララシバッピュメル!!
……信じられないでしょうが、ドアが開いた音です。ブタ族の神であるゴッド様は、神の奇跡を無駄に使ってこんな音を出しています。
「ぶふぃ。今夜も来てやったぜ、マスター」
「いらっしゃいまし」
氷の入ったグラスに、酒を注ぎます。注ぎ終えたタイミングで、ゴッド様がカウンター席に座りました。
「ぶふぃ……酒は良いぜ。飲むと癒される」
ゴッド様は、ゆっくりと酒を飲んでいます。
「ところで、マスター知って……」
…ギィ
「いらっしゃいまし」
ゴッド様が何か言いかけましたが、別のお客様がいらっしゃいました。
「こんばんは、マスター、ゴッドさん。お久しぶりでやす」
チャシュー・ヤキブッタさん、ブタ族の諜報を担う、優秀なブタです。現在は、ニンゲンに化けてニンゲン社会を探っています。
「ぶふぃ!チャシューじゃねぇか!」
「はい、チャシューでやす。あ、マスター、デリシャス残飯とワイルドピッグをお願いしやす」
デリシャス残飯は、ブタ族のお客様に人気のメニューです。しかし、本当は私が調理したものを召し上がっていただきたいものです。……安いから人気という側面も、ありますがね。
「いやあ、これこれ。これでやすよ。ニンゲンは、自分たちで残飯を出すくせに、食ったら白い目で見やがるんでやす。食いたかったでやす」
「ぶふぃ。ニンゲンは、残飯を食いたがらないってのは、ガセじゃなかったのか」
「さいでやす。まあ、おかげで私らがうまいものを食えるんでやすが……潜入中は食えないんで、ストレスがたまるんでやす」
なるほど、チャシューさんがいつもデリシャス残飯を注文するのは、そんな理由でしたか。
「ぶふぃ。ならば、たらふく喰らうがよい」
「はい。いただくでやす」
ブタ族にコネが無いニンゲンの方は、残飯が出ないように気をつけて下さい。
「マスター、こいつにグレン・ブターナーを出してやってくれ。ぶふぃ」
「かしこまりました」
チャシューさんに、酒を渡しました。
「ゴッドさん、ごちそうさまでやす」
あ、今回オチはありません。え?いつも無い?……その通りでございます。




