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スタートダュシュは肝心です。

真新しい制服に身を包み、俺、青葉春好は如月一高の校門前に立った。

「ここが俺の新天地……、くぅ~!アツいぜ!」

高鳴る気持ちを抑えきれずに声が漏れる

俺は過去のことを忘れ、新しい未来のことを見ようと決心した。


渾身の策により、厳しい受験を制する、もとい受験者を屠ることに成功し、見事難関進学校への入学を決めたのだ。そのことを担任に一部除き報告したら、失礼なことにぶっ倒れて病院に搬送されたた。合格出来たのがそんなにおかしいか、お前も屠るぞ。

とか思ってると、あっという間に卒業式は終わり、明日には入学を迎えるまでに至った。

「なんやかんやで中学校生活楽しかったな~」

4月8日午後8時せかせかと明日の入学式のために準備をしてると、ふとそう思った。

思い返せば色々なことがあったな。コイツとは同じクラスになりたく無いと想ってたやつと3年間同じクラスだったり、英語担当の先生がめちゃくちゃうざかったり、修学旅行の班員に話せる人がいなかったり、卒業式の日にタンスの角に小指をぶつけ悶絶したり……。あれ?いい思いでなくね?やべ、涙が……。

悲しみを打ち消すために、俺はゲームを始めた。


「うん……?朝か……」

爽やかな春の日差しを浴びて、俺は目を覚ました。目の前のテレビ画面にはGAME OVERの文字、どうやら寝落ちしたらしい。

「てか今何時だ……?」

眠気をはらんだ声音で呟き時計を見る。

9時24分。

眠気は銀河系の端まで吹き飛んだ。


「現在地は道、現在時刻9時34分、入学式の開始時刻は10時ジャスト。現在地からがっこうまでは恐らく徒歩25分。つまり走れば間に合う!」

意味不明なことを叫びながら俺は通学路をダッシュしていた。

入学式前のHRには遅れているが大事なのは入学式。それに間に合えばいいのだ。それこそがジャスティス!

自分の入学式遅刻回避を確信して俺は笑った。

その瞬間

「ん?」

何か踏んだ。感触は柔らかい。まさかアレでも踏んだか。

背中に寒気を覚えながら下を見ると、

「ニャー……」

たいそうお怒りのご様子でこちらを睨んできた。

「……猫、踏んじゃった」

「キシャー!!」

「すいませんしたぁぁ!!」

俺と猫との長い鬼ごっこが始まった。


あれからどれほどの時間が経っただろうか。

猫の野郎が援軍を呼んだり、犬のアレを踏んだり、結局は猫からの猛襲を受けたりで心も身体もボロボロだ。オマケに靴擦れが痛い。

現在時刻、10時16分、現在地、あいどんとのう。入学式欠席の道が開けた。


真新しい制服に身を包み、俺、青葉春好は如月一高の校門前に立った。

人から道を聞き出し、なんとか辿り着いたのだ。

「ここが俺の新天地……、くぅ~!アツいぜ!」

高鳴る気持ちを抑えきれずに声が漏れる。

俺は4月6日午前9時24分から10時16分までの記憶を全て削除して、午前10時57分、新しいスタートを切るべく、校門をくぐった。


その日の入学式は例年通り厳かに行われた。ただいつもと違うのが無断欠席者が1名いたことだ。そして今年も、伝統ある入学式が終わろうとしていた。

「新入生の退……「バンッ!」

「何ですか!?」

体育館の扉が激しい音を立てて開い……

て無かった。


「体育館どこだ~!?」

ムダにでかい敷地を歩くこと数分、俺は体育館らしきものを見つけた。

「ここか……。せっかくだしビシッと一言かましたるで~!」

キャラが変わってるうえ、ある意味決まっちゃってるが、俺は体育館前の扉に立った。

俺は扉を開こうと思い切り押した。

ガッ!

開かない。

ガッ!ガッ!

開かない。

まさか……

「引きドアかよぅ!」

今度は思い切り引いた。

ガッ!

開かない。

ガッ!ガッ!

開かない。

バンッ!

扉をぶっ叩いた。

「チキショー……、これって……」

取っ手を掴み、思いっきり横に払った。

「横かよ!!!」

ガラガラと派手な音を立てて、扉は遂に開いた。


派手にスベった。気力が抜けてく。

薄気味悪い笑みを浮かべながら、俺は壇上に上がりマイクを取った。

「ええ~、おはようございます、というよりこんにちは皆さん、はじめまして。僕は、青葉春好といいます」

名乗った。何故か名乗った。

「遅れてきたお詫びに、僕の目標でも話したいと思います」

一同唖然。てかお詫びにすらなってない。

「僕は高校で、たくさんの友達をつくり、彼女をつくり、帰宅部のインターハイに出場したいです」

会場の皆さん目が点になってらっしゃる。

「最後に一言、言わせてください」

マイクを握る手に力がこもる。大きく息を吸った。そして、

「ビバ、青春っ!!」

こう言い残して、俺は体育館から姿を消した。

この日から俺は『青春くん』と呼ばれるようになった。


P.S.その後校長室に呼ばれ、キツ~いお叱りを受けたのであった。

色々拙いところがあると思いますが温かい目で見守ってくださったら幸いです

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