入学前奮闘記
キーンコーンカーンコーン……
響きわたるチャイムの音、眼前には白紙の答案用紙。教室を照らす春の日差しを浴びながら、俺の意識は虚空へと消えていった。
「お前、もう中3だぞ?自覚あんのか?」
担任の怒りを通り越した呆れ声が教室に響く。
机の上に広げられたら答案用紙を見ながら担任は言った
「大体、どういう生活してたら5科合わせて1点なんて取れるんだよ。逆に教えて欲しいわ」
この俺、青葉春好は進級そうそう行われたテストで合計1点という、まさにコイツが言ってるような逆にスゴイ点を取ったのだ。
「一体この成績でどこの高校行くんだよ……」
「お言葉ですが先生」
俺はそう言うと机の上から3枚のテストを取った。そして左と真ん中に0点のテスト、右には1点のテストを置く。そう、先生から見たらこれは、
「100点ですよ?」
「アホかぁぁぁぁ!!!」
担任の怒声が学校中に轟いた。
夏に入り進路相談が始まった。先生は主席番号順にすると言って名簿を開いた。
「じゃあ、最初は……、ゲッ、青葉だ。………そうだ、主席番号逆順にしよう!最初は山田な!」
心外だ。俺が最初だと問題ですか。顔で訴えてみるが届かなかったみたいだ。あるいは気づいたがスルーされたか。
……後者だな。
そして時が流れ、最後の俺へと順番が回ってきた。
「はぁ~、じゃあ最後青葉な」
「その溜め息はなんすか」
「お前ならわかるだろ……」
「ええ、まあ」
知ってますよ、俺のせいなんでしょ。
「聞いてもムダだとは思うが進路は決まってんのか?」
ムダとはなんだ、ムダとは。俺はふくれっ面になったがすぐに元に戻って言ってやった。
「もちろん決まってますよ」
先生は心底驚いたという様な顔をして「マジで!?」と言ってきた。これは1本取ったな。
「そんな驚くことじゃないですよ。俺だって成長してるんです」
「おお、悪いな。で、どこなんだ?」
調子を取り戻した先生はそう聞いた。ふふふ、真に驚くべきとこはここですよ、先生。俺の生きたい高校、いや、俺の行くべき高校は!
「如月一高です!」
自信満々にそう言い切った。一方向かいの先生はポカーンとしてる。
「「……」」
2人の間に沈黙が流れる。 先に口を開いたのは先生だ。
「如月一高ってあの?」
「それ以外にどこがあるんですか?」
「え、あの超名門高のこと言ってるの?」
「さっきからそう言ってるじゃないですか」
ガタッ
先生は急に立ち上がり、
「顔を洗ってくる」
と言って消えた。
何かおかしなことでも言ったのだろうか。地元で1番の高校に行きたいと言っただけなのに。確かに俺の学力はちょっと低めだけどそこまで驚かなくてもいいじゃないか。驚かせる気あったけど。
頭に大量のクエスチョンマークを出していると先生が戻ってきた。戻ってくるなり先生は俺の肩を叩いて、
「頑張れ」
と言い残してまた消えたのであった。
年が明け、いよいよ受験の日がやってきた。俺は絶対に合格するための秘策を考え、既に実行済みだ。あとは成功するかどうかだな。受験会場に行くまでの間、ずっとにやにや笑いが止まらなかった。
受験会場である如月一高の校門をくぐった。前日までに倍率5倍となっていたが来てみると人はほとんどいなかった。ぱっと見た感じ、定員にすら達していないようだ。ちなみに時間はギリギリだ。
(秘策がうまくいった!)
胸の中で叫んだ。
俺の秘策とは、如月一高を受ける人を割り出し、特に成績優秀なやつの晩飯にテストどころではなくなる強烈な毒物を混入させて回ったのだ(協力者親戚全員)。あとは練習に練習を重ねた絶対にバレないカンニングをすれば合格間違いナシだぜ!
P.S.これが落ちるフラグだということに気づいたのは受験後だった。
合格発表の日、俺は朝からフラグ回収してませんようにと祈り続けた。ちなみに親戚が2、3人逮捕された。
校門をくぐる。心臓の高鳴りが治まらない。掲示板を見る。緊張して何も目に入らない。現実を見ろ、俺!
そして、
「あった……?」
そこには自分の受験番号と同じ数字が書かれている。
何度も確認した。
何度見ても同じだ。
体中に歓喜が湧いてくる。
「あ……あっ……」
言葉にならない声が漏れる。
自分は合格したのだ。
つまり、
「フラグ折ったぁぁぁぁぁ!!!!」
学校中に俺の心からの叫びが轟く。
一気に視線を集めるが、そんなことはどうだっていい。俺は受かった。見事フラグを折った。そんな晴れ晴れした気持ちで家に帰ることができた。
P.S.親戚がまた2人逮捕された
始めての投稿で拙いところもあると思いますが、どうか温かい目で見守ってください




