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エピローグ【変わりゆく世界はここから始まる】

 

 ……約2か月後、夏休みも終わり新たな新学期はもう始まっている。

 いつものように学校の放課後に生徒会室で事務作業をして、それを終えたあと役員たちと雑談をする。


「……ん~、作業終わりましたわ。キューセイ、肩もみをお願いしましてよ」


 ユーハは早く、早く、と促さんばかりに手招きしてきたため、仕方なく席を立って言われた通りにする。

 そんな光景に寺田副会長は苦笑いする。


「はは、妖風生徒会長は相変わらずですね」

「でしてよ、変わらず自分でいることも強さではなくて?」

「……そうですね。そうでなければ今の時代を生き抜くことはできませんし」


 この2カ月で3世界と現実の統合はさらに進んだ。

 それによる大きな影響としては、やはり神や悪魔の干渉がより人に近しくなり、そして切り離されていた自然概念を思い出すかのように契約していないもののわずかに現実で魔法を扱える者が出始めていたことだろう。

 幸いとして事前に新しい時代を見据えて国際会議で神々が自治を担う取り決めが成されていたため混乱というものは少なかった。

 日本だけは人の統治のままだがそれでも高天原は神々の自治に引けを取らない頑張りを見せているため混乱の差はない。

 ただそれでも人は減少する。サマエルの毒で事前に耐性を付けていても悪魔に食われてしまう者だっているし、今の高天原や神の自治を認めない勢力が反乱を起こすことだってある。

 その過程で戦いは起きて血は流れる。

 この学校だけで見ても5%ほどの生徒は消えてしまった。

 これがさらに加速するのか、あるいは安定していくのかはまだ分からない。


 ちなみに寺田副会長がこう発言しているように全ては開示しなかったにせよ、影響が大きい神や悪魔の存在については世界的に既に公表されている。

 それに激震が走ったのは言うまでもないが、神々の統治は以前よりもいいものであったため反発する民衆というものは少なくすんなりと受け入れられはした。

 とはいえそれを利用とする勢力も当然現れはしたため、本当の意味で受け入れられたかは怪しいが。


「そういえばそろそろ、生徒会役員選挙ですわね」

「ですね、僕ら3年はそろそろ引退だ」

「選挙の準備や管理が手間ですわぁ、面倒ですし会長指名でキューセイに引き継がせるで良くなくて?」

「まあ、それでほとんどの生徒は納得するでしょうけど一応はやりましょう。学校のルール作りに参加していくという意思を奪っても問題でしょう」

「そうですね。副会長の言うとおりだ」


 ◆


 解散後に学校からユーハの自宅まで帰宅する帰り道でその景色を眺める。


「街並みが段々と変わっていきますわね」


 彼女がそう言うのも無理はない。

 ヌミノース世界の自然概念が現実に戻るという事は人だけでなく自然そのものにも影響を及ぼす。

 その影響で自然の浄化作用が強まり、周囲の建物にはツタや葉が生えてきていた。

 余程古い建物ならこういう事が有り得るのだが、周囲の建物はそこまで古くもない。


「ヌミノース世界が現実と溶けあえばこうはなるだろうね。大気の鮮度も街中だとわりと濁っていたのが今は綺麗だ」

「それはいいことかもしれませんけど……これって最終的にどうなるんですの?」

「3つの世界が切り離された後に人類が築き上げた機械文明が全て消える訳ではないはず。切り離されていた時間が長すぎたからね。だから何もかも古代に戻るというのもありえない。あり得る形で今の文明も変質していくんじゃないかな?」

「その変質した先というものは誰にも分からないんですのね」

「そうだね。分からないから自分たちで築いていくしかない。それが答えだ」

「ま、なるようになれですわ。できなくなるまでモデルを続けましてよ」

「できなったらどうするの?」

「そうなったらその時にまた面白いことを見つけるだけですわ。協力しなさいまし」

「ああ、勿論」


 ……結果として綺麗に何もかもすぐに新しい世界は出来上がりなどしなかったわけだ。

 けれどそれでいい。

 それでもなお世界の皆があるべきと思う先へと目指す意思を持ち得ているなら。

 その果てにある世界を俺は見てみたい。

 そのために戦い続ける。ルシフェルではなく数多ある人間の中の自由の意志の1つとして。


 FIN


【あとがき】

 自由とは自らの楽を意味するものか? 悪意とは本当に振り払うべきものなのか?

 そういった疑問に対する考えを表現したかった……のですけれど初めからキューセイがこういう考えだという風には前提の流れがないためできないわけで。

 なので一部はヤハウェイという支配組織を倒すという前提としたわけです。

 そして唯一神を倒してからの二部からは自由と悪意はどうあるべきかという答えをキューセイだけでなく神や悪魔、人間たちが模索していき落としどころ見つけていく。それで最善な未来が開けるかは結局は分からない。しかしそれ自体が考えられる余地があるという自由でもあった。

 アドナイは何もかも分かった上で利己的な考えでいいと思った存在でキューセイとは真逆。だからこそその対比でキューセイの意見が絶対ではないという歯止めになるし二部への布石にもなっています。


 最後までお読みいただきありがとうございます。良ければ冒頭の前書きで告げたようにキューセイの在り方や考え方をどう思ったか聞かせていただけると幸いです。

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