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スパイラル・チェイス  作者: 左門正利
◆ CIA
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◇  CIAの情報力

 マーガレットの部屋にナナセがやって来る。


 部屋の主であるマーガレットは、微笑みながらいった。


「これほど大所帯になるのは、はじめてね」


 しかし、この状態はあまり良くない。


 みんなが部屋を出る際に、大人数だと目立ってしまう。彼らの仕事柄、それはできる限り避けなければならない。


 そういうことを懸念するナナセは、アサコとヨウコ、ユウコに告げる。


「あなたたちは帰っていいわ。あとは、わたしとエリナに任せて」


 アサコたちはナナセの言葉に従い、部屋を出る。三人いっしょにならずに各自が別方向へ歩いて行った。


 エリナは、ナナセの判断は的確だと思った。アサコたちまで巻き込む必要はない。

 CIA と全面戦争をする気などまったくないし、こちらの人数が増えるほど彼らを刺激するだけだろう。


 とりあえず、ナナセにはこれまでのくわしい経緯を話しておかなければならない。どうしてこういう事態になってしまったのか、ロッドマンとエリナが説明するのだった。


 話をきいたナナセは、ため息をついた。


「まさか、CIA まで絡んでくるとは……」


 ロッソとバルゴを片づけ、ベルベットの方もなんとかなりそうだと思った矢先に、CIA が出てくるとは思わなかった。


 CIA の組織は、クノイチの彼女たちにとっても世界一というほどやっかいな存在だ。


 ナナセはロッドマンに訊いてみる。


「 CIA は明らかに誤解しているようですが」


 ロッドマンは、やるせない顔をする。


「誤解を解こうとしても全然ダメ。話をきいてくれないのよ。完全に、わたしがカーラを殺したと信じているみたい」


 とりつく島もないようだ。こんな状態で、どうすればよいのか。


 エリナが口をひらく。


「まずは誤解を解かないことには、話し合いもできませんね」


 眉をよせているナナセが、顔を上げて彼女の言葉に続く。


「わたしたちが双方の間に入ることができれば、いいのですが」


 ロッドマンは、そうしてほしいと思っている。


 みんなが考えあぐねていると、いきなりライオットのスマートフォンが着信音を鳴り響かせる。


 非通知だ。この携帯電話に間違い電話がかかってきたことは、一度もない。


 イヤな予感がする。ロッドマンが彼にいった。


「電話に出て」


 ライオットは彼女にしたがう。


「もしもし」


 電話の相手は、英語で話す。


「俺が誰か、わかるか?」


 なんてこった……と、ライオットは思った。


「 CIA か」

「そうだ」


 こんなにはやく突き止められるのは想定外だ。


「よく、われわれから逃げられたな。だがいまは、おまえのいる場所もわかるぞ」

「待て」


 ライオットは焦った。彼らはすでにマーガレットの住むマンションの部屋を把握しているにちがいない。


 このままでは、彼女にも危険が及びかねない。


「関係ない人を巻き込むな」

「おまえたち次第だ」

「俺たちは、カーラという諜報員に会ったことは一度もない」

「嘘をつくなっ。おまえがカーラに会っていたことは、すでにわかっているんだぞ!」


 CIA は、この件にベルベットが関係していることを知らないようだ。


「俺が入院していたのは知っているだろう」

「ああ」

「なぜかわかるか」

「カーラと相討ちになったんだろうがっ」

「全然ちがうぞ。そこまで調べてなかったのか?」


 ライオットは真実を語る。


「俺が会ったのは、カーラに化けたベルベットだ。国際指名手配犯のベルベットだよ」

「ベルベットが?」

「そうだ」


 ライオットは、自分が入院した経緯を電話の相手に話した。だが、疑り深い声が返ってくる。


「おまえの話を信じろというのか」

「それが事実だ」


 不意に、ロッドマンがライオットに言葉をかける。


「わたしと代わって」


 ライオットは彼女に電話をあずけた。




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