表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパイラル・チェイス  作者: 左門正利
◆ CIA
43/67

◇ 想定外

 ロッドマンは、彼女たちに礼をいう。


「ありがとう。助かったわ」

「いえいえ、どういたしまして」


 ロッドマンを尾行していたのは、CIA だけではなかった。アサコたちも、ロッドマンの跡をつけていたのである。

 なぜかというと、ベルベットに狙われる恐れがあるからだ。


 ナナセはアサコたちにロッドマンの跡を追い、なにかあれば彼女を守るよう指示していたのである。


 その話を、ロッドマンは目を丸くしながらきいていた。


「あなたたちが、わたしを守るために尾行していたなんて。全然、知らなかったわ」


 アサコのとなりにいるユウコが、はにかみながら言葉を返す。


「一応、忍者のはしくれですからね」


 ナナセより格下の彼女たちだが、個々の能力は諜報員であるロッドマンから見ても、敵にまわすと要注意だと思うほどである。


 ロッドマンが、さっきから気になっていることを訊いてみる。クノイチの三人が手に持っている細長い棒は、いったいなんなのか。


「その棒は、なに?」


 ヨウコが答える。


「吹き矢です」


 この吹き矢で、CIA の彼らの首を狙ったのだ。ヨウコが三人分の吹き矢をバットケースのような入れ物にしまいながら、ロッドマンに伝える。


「死んではいません。殺してしまうと、やっかいなことになるでしょうから」


 眠らせただけである。ロッドマンは、うなずいた。


「そうね。いまでも十分、やっかいだけど」


 まさか CIA が、こんな形で絡んでくるとは思ってもみなかったロッドマンである。


 ユウコが彼女に尋ねる。


「ロッドマンさんは、これからどうしますか?」

「ライオットのお見舞いに行くわ。その途中だったの」

「わかりました」


 倒れている四人の男をそのままに、ロッドマンは自分のハンドバッグを手にとると、彼女たちはライオットが入院している病院へ向かうのだった。



 一方、ライオットがいる病院では──


 彼の病室は個室で、ドアのところにはクノイチのエリナが椅子に座っている。


 そこへ、スーツを着た二人の男がやってくる。


 エリナは椅子から立ち上がった。男たちは彼女に声をかける。


「わたしたちはライオット氏の友人で、お見舞いに来たのですが」


 英語での問いかけに、エリナも英語で応じる。


「なにもきいておりませんが……」


 怪しさが漂う。彼らが MI6 なら、まず身分証を見せるだろう。


「ライオット氏に会わせてくれないか」

「申し訳ありませんけど、それはできません」


 二人の男は、顔を見合わせる。


「まいったな」


 一人がエリナに尋ねた。


「ライオット氏の容態は、どんな具合かな?」

「お答えできません」


 彼は、ため息をついた。


「仕方ない」


 そういうと、強行手段に出る。


 エリナにつかみかかろうとするが、彼女の方が彼らよりも動きがはやい。左足で男の右膝をゲシッと蹴る。


「ぐっ」


 後ろによろめいたところに、彼女の足刀蹴りがモロに決まる。男は背中から倒れた。


 もう一人の男がエリナに殴りかかる。エリナはその手をとると、自分を軸にしてぐるんと回りながら、男を放り捨てるように投げ飛ばした。


「あなたたちは誰ですか?」


 二人の男は答えない。黙ったままエリナに襲いかかる。


 エリナは、彼らを相手に立ち回る。一歩もひけをとらない彼女に、男たちは驚きを隠せない。


 ──こ、この女っ

 ──こんなに強かったのか!


 殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ、女ひとりを相手にみっともない戦いを演じている。


 懐にしのばせてある銃を使おうとは思っていない。そんなものを日本の病院で、ぶっぱなすわけにはいかない。


 しかし、彼らにはまだ別の手段があった。


「やるぞ」

「ああ」


 二人で襲いかかる。一人がエリナの服をつかむと、引き寄せながらガシッと抱きしめた。

 もう一人が後ろからエリナにスタンガンを食らわせる。


 さすがのエリナも、この一撃にはかなわない。彼女は気を失って崩れるように倒れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ