表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパイラル・チェイス  作者: 左門正利
◆ 対決
38/67

◇ 邪魔者

 ロッソの顔つきが険しくなる。


 ──ベルベットの方から、飛び込んでくるとはな


 こういう事態になるとは思わなかった。まったくの予想外だ。


 こちらの仲間がいることを知れば、ベルベットは警戒して空港に近づくのを躊躇すると思ったが、考えが甘かったかもしれない。


 空港の中に入ると当然のごとく外国人が多く、ベルベットはけっして目立つ存在とはならない。


 ──俺の読みを逆手にとられたか


 実にやっかいなことになった。空港内は広く、ベルベットを探すのは容易ではない。


 ロッソとバルゴは、イリジンにそのまま搭乗手続きのカウンターを見張らせ、自分たちは第2ターミナルの一階に降りる。


 羽田空港からの仲間たちがやって来て、彼らと合流する。

 ベルベットは、アメリカへ行くとはかぎらない。第1、第3ターミナルも見張らせるべく、人数をふり分けようとしたときだった。


 突然、ロッソのスマートフォンに着信音が響いた。ステファンの携帯電話からだ。


 彼は、電話に応じる。


「ステファンか?」


 次の瞬間、ロッソの思考が停止する。応答したのはステファンではない。女の声だ。


「ルーデス協会は、おまえをゆるさない」


 愕然となり、絶句する。


 ──ルーデス協会……


 ロッソたちは巻物を奪うため、ルーデス協会のクノイチ担当の連絡員を殺害している。

 その連絡員になり代わり、巻物を手に入れて、それでベルベットを誘き寄せる計画だった。


 しかし、クノイチのしたたかさは想定外だった。計画は、ものの見事に破綻(はたん)してしまった。


 混乱にみまわれる。ベルベットが自分たちとルーデス協会の問題に絡んでくるとは思えない。


 そして、電話の声にはきき覚えがある。


 ──ベルベットじゃなかったのか?


 思い当たる人物が、ひとりいる。


 ──まさか


 そのまさかであることを、彼はすぐに理解されられる。


 電話の声が伝える。


「後ろを見ろ」


 ロッソはふり向いた。己の目に映る人物に、ロッソはギリッと歯ぎしりした。


「てめえっ」


 髪をポニーテールにしている彼女は、クノイチのナナセだ。


 三者会談ではまんまと逃げられ、ベルベットを追っているときに遭遇してカーチェイスとなったときも、彼女には一杯食わされた。


 ロッソの頭に血がのぼる。ナナセはロッソに背を向けて、その場から立ち去ろうと走り出した。


 ロッソは叫んだ。


「待ちやがれ!」


 そういわれて、おとなしく待つ馬鹿はいない。ロッソはバルゴに伝える。


「ベルベットじゃねえ、クノイチの女だ。あいつが仕掛けていたんだ」

「なに?」

「絶対に逃がすなっ」

「わかった!」


 バルゴは部下に連絡し、彼ら全員でナナセを追いかけようとする。


 ナナセは駐車場の方へ走ってゆく。ロッソが声をはりあげた。


「車だ、あいつは車で逃げる気だっ」


 バルゴが、足のはやいカルロに指示を出す。


「カルロ、女を追え。女が車に乗ったら、ナンバーを教えろ」

「はいっ」

「他のみんなは、車の方に向かえ」

「了解です」


 さらに、カペラに連絡する。


「カペラ、女が車に乗ったらカルロを車で拾うんだ」

「わかりました」


 そしてバルゴは、自分たちが空港まで来るのに使った車の方に向かった。


 ナナセが、待たせてある車に乗り込んだ。必死で追っていたカルロが、発進する白いセダンのナンバープレートを確認する。


 その間に、車を運転するバルゴはロッソを拾う。

 カルロは、確認したナンバーを携帯電話でバルゴに伝える。


「白いセダンです。ナンバーは──」


 息切れするロッソは、運転するバルゴに顔を向ける。


「あのときの白い車だな」

「たぶんな」

「邪魔しやがって」


 ベルベットと片をつけなければならないのに、ナナセは思いもよらない障壁となり、彼らの前に立ち(ふさ)がっている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ