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○地獄八景亡者戯◉ラウンド0

★★転生した陰陽師の子育て異世界生活は世界を救う★ ◆御伽草紙譚の特別映画版といったシナリオです。

 ここは鰻屋イロハの隣の酒肆(しゅし)(居酒屋)ホヘトであるが今日もまた導魔坊の下働き凸凹コンビと女将の無駄話に花を咲かせていた。

「女将(おかみ)よ面白い旅先はねえのかな」喜六は少し酔い始めたところでこんな話を振り出した。

「喜ぃさん、あんたの話じゃ色んなところへ旅してるみたいじゃないかい。あたいは羨ましいよ」

 清八は「なにわの方じゃ地獄巡りというのが流行っているそうだぜ」

「へぇ地獄巡りたあ、面白そうじゃねえかよ。でどうするんでい清公(せいこう)」

「噂ではてっちりを食べて行くそうなんだが細まけいことまではよくわからへん」

「てっちりだってそりゃどう言った食べ物でぇ」

「こりゃ師匠に聞くしかなさそうだ」結局、料理のことは師匠タウロに聴けという事で早々に退散すると導魔坊へと戻っていった。

 誰もいなくなった店にスイっと滑り込んできたのはお仲間のツキノワ別名槌熊だった。

「えっあいつらはもう帰ったのか。そりゃ残念だ」

「そうそう、物知りなツーさんなら”てっちり”って食べ物知ってるんじゃないの」女将(おかみ)は先ほどの話をしゃべって見せた。

「ほう地獄巡りねぇ面白えことまた言ってるじゃないかよ。地獄、地獄ね〜」

 そして一人で愉快そうな顔で酒を呑んでいたのであった。


 次の日の話題もやはり地獄巡りだが謎を一つ解き明かして来ていた。

「わかったよ。てっちりたぁフグのちり鍋のこったぁ」喜六は自慢げにそう言って一杯目をクイと呑み干して言った。

「河豚って言やぁ類を見ないほどの珍味でそりゃべらぼうに美味しいって魚のことだろ。運が悪きゃヒクヒクと痺れてころりと死んじゃうらしいじゃないのよ」

「そうそう、師匠がこんな小唄を歌ってくれませたぜ。♩塵の〜この世を捨てっち前とばかりぃぃに食らう鍋よ♩てっちり♩てっちり♩」

「ふんっ変な小唄だね。それでてっちりなの」

「おうよ。師匠が今度食わせてくれるって約束してくれたんだぜ。なっ清さんよ」

 表の戸がガラッと開くと「それじゃ俺も一つ乗せてもらおうじゃないかよ」

「おっツキノワの旦那じゃねえか。さすがだね」

 こう言った馬鹿話に乗るのも槌熊の面白いところであった。

「いやあその地獄巡りって聞いてよ。知り合いにも聞いてみたんだがよ」と言って懐から一枚の木札を取り出してみんなに見せた。

 清八が「なになに・・・通行手形」裏を返して「地獄行き、ふっ達の悪い冗談だな。どうやって使うんだい」

「なにやらなんとかの印鑑が必要だって言っていたな。まっ物知りな奴で案外と使えるかもよ」

「でいつそのてっちり鍋が食べられるんだい。あたいもお仲間に入れておくれよ」女将までがそんなことを言うまでの始末になっていた。


 その翌日、女将が店を開けようと暖簾を出しかけると

「あら、もう呑めるのかしら」と声をかける女性がいた。

「導魔坊のタマさんじゃないの、どうぞどうぞ、錦の帰り」

 市が開かれていたようでタマモのは荷物をハルアキに持たせて導魔坊へ帰る途中であった。

「寄り道しないで早く帰ろうよ」「いいじゃないハルちゃん一杯だけ。ねっお願い」

 押し切られ暖簾をくぐる二人であった。乗り気でもない彼は付き出しの漬物をかじりながら何気に話を聞いていたが

「えっ!その話本当なの。タウロが約束したの」

「びっくりした。ハルちゃんなんなのよ。てっちりって」

「美味しいお鍋のことだよ。その日本酒にもぴったりだよ。タウロに確認するから荷物持って先に帰るね」

 晴明は走って帰っていった。

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