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駄菓子屋ヤハギ 異世界に出店します  作者: 長野文三郎
第一部

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戦勝報告


 ミシェルと同じ部屋だから緊張して眠れないかと思ったけど、案外そうでもなかった。

最初はドキドキしたけど、いざベッドに入ってしまうと眠気はすぐに訪れ、俺は朝まで一度も目を覚ますことがなかった。

そのせいでミシェルはちょっぴり不機嫌だ。


「私はぜんぜん眠れなかったのに、ユウスケはぐっすりだったね……」

「はっはっはっ、俺はすぐに切り替える性格だからな」


 物事にはあまりこだわらない主義なのだ。

男が年がら年中スケベでいるというのは大間違いだぜ。


「だったら今夜はこれを着るからねっ!」


 ミシェルがトランクから引っ張り出してきたのは、黒い上下セットの下着と、やっぱり黒のベビードールだ。

丈も短くシースルーだから下着が見えてしまうぞ。


「それは反則だろっ!?」

「だって悔しいじゃない。ユウスケも私と一緒に寝不足になるのっ!」

「いや、考え方がおかしいって」

「はえ?」


 うーん、エチエチな下着姿なんて見たら寝不足になってしまいそうだ。

しかも、ミシェルにメチャクチャ似合いそうなんだよな……。


「本当に着るのか?」

「だって、ユウスケと一緒がいいもん……」

「だったら俺に合わせて寝てくれよ。明日も仕事なんだぜ」

「隣にユウスケがいると思うとドキドキして眠れないよ」


 ミシェルは目の下のくまが濃くなっている。

このままでは彼女の健康にも悪影響だ。


「何とかならないか?」

「安眠香を使えば眠れるかな?」

「それだ。そのお香を使おうぜ」

「材料を探してみるわ……」


 ベビードール姿を見られないのは残念だけど、安眠のためには仕方がない。

仕方がないのか? 睡眠を犠牲にしてみる価値だってあるような気がする。

いや、この問題を深く追求するのはやめておこう。


       ◇


 昨日と同じ場所に店を開いたが朝からモバイルフォースを求める人で行列ができた。

エッセル男爵の思惑通り、グランサムでもモバフォーは根付きそうだ。

また日の出とともに暑くなったので、今日は飲み物がよく売れる。

特にラムネは大人気で、こちらも瞬く間に完売してしまった。


 そして、本日より発売となった新商品が大人気である。


 商品名:スーパーオーブ

 説明 :直径2センチのオーブであり、マジックアイテム。これを掴んだままジャンプすると、ジャンプ力が上がる(30センチくらい)

 値段 :50リム


 前世のスーパーボールはよく跳ねるゴム製のボールだったけど、スーパーオーブは人間の方が跳ねるんだ! 

自分のジャンプ力+30センチくらいなので、みんな大喜びで飛び跳ねている。


 販売はくじ引き式になっていて、1番から5番までは他のものよりも大きい。

そのぶんジャンプ力も高くなっていて1メートルくらい飛べるようだ。

落下の衝撃でけがをしないかと心配したけど、落ちてきても細かくバウンドして、体を傷めることはない安心設計だった。


 子どもだけじゃなくティーンエイジャーにも大人気で、ケンプ広場はジャンプする人であふれている。

台紙に飾られたスーパーオーブは110個もあったのに、こちらもまたたく間に売れて、今は二つ目の台紙を出しているくらいだ。


 お昼くらいになって、店の客足も一段落した。

俺もお腹が空いてきた。

祭りということもあってケンプ広場には食べ物の屋台がたくさんでている。

昼飯はそこからチョイスするとしよう。


 ミシェルと昼食について話し合っていると、不意に広場がざわめきだした。

一体何事だろう?


「勝った、勝ったぞ!」

「うおおおおっ!」


 騒ぎは火が枯野かれのをやくようにどんどん広がっていく。

勝ったってどういうこと? 

俺は近くにいた人に尋ねた。


「何に勝ったんですか?」

「戦争だよ! 国境に駐留していたバルトス将軍の軍がアヘルカの軍を打ち負かしたんだ!」


 そういえばこの国は戦争をしているとボッタクーロの女将さんが教えてくれたな。

その戦勝報告がグランサムにも伝わってきたというわけだ。


「バルトス将軍はすでに国境を離れ都へ向けて凱旋中がいせんちゅうだ。明日にでもグランサムに到着されるそうだ」

「へえ、ついでにお祭り見物をしていくのかな?」

「ああ、グランサムの街にとっても名誉なことさ!」


 男の人は興奮したまま行ってしまった。


 これで戦争が終わったか。

そういえば優秀な人材が戦地へ行ってしまったと聞いたことがある。

まともな将兵がもどってくれば都の治安も少しはましになるのだろうか? 

俺は横にいるミシェルに訊いてみた。


「バルトス将軍ってどんな人?」

「現国王の弟。バカ兄よりはよっぽど優秀な人よ。私は好きじゃないけど」

「どうして?」

「スケベな女たらしなの。美女の副官を四人も囲っているのよ」

「へえ……」


 ハーレムプレーを地で行く人なんだな……。

英雄色えいゆういろを好むってやつか。


「まさかユウスケ、うらやましいの?」

「それはない。ハーレムだなんて面倒なだけじゃん」

「そ、そうなんだ。どうしてもっていうのなら分身魔法を使ってあげるわよ」

「なにそれ?」

「私が五人に分身するの。そうすれば五人がかりでユウスケを愛してあげられるでしょう? けっこう高度な魔法だから、五分身までできるのはこの国で私しかいないと思うわ」


 五等分の恋人!?

五人のミシェルを相手にするのか……。

それは俺でも持ちこたえられないほど重すぎる気がする。


「ミシェルは一人だけでじゅうぶんだよ」


 興味はある! 

興味はあるけど五倍の愛が恐ろしかった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] > 五等分の恋人!?  ファッ?! [一言]  なかなかにスリリングな回でした。 (ベビードールとか五等分とか)
[一言] ミシェルさんは絶対恋愛ごととかで分身使ったら自分同士で喧嘩し始めるクチ、だから不用意に使っちゃダメだぜ…
[一言] 別の個性をもつ相手を一人に絞り切れなくて 5人のハーレムとか 5人相手するから5人になりたいならともかく 同じ相手が5人いても5倍大変なだけだよねー もしやったらこれも能力の無駄遣い? …
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