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駄菓子屋ヤハギ 異世界に出店します  作者: 長野文三郎
第一部

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27/141

メンコの中の魔女

本日二本目です


 俺が部屋に入っていくとメルルとミラはニッキーを飲んでいた。


「ユウスケさん、これ喉が痛くなるけど結構おいしいよ。でも、こっちのラムネというのは開け方がわかんないの」


 ラムネは飲み口についているビー玉を瓶の中へ押し込む必要がある。

初めてではわかりづらいのだ。


「おう、今開けてやるからちょっと待ってな」


 俺は四本のラムネを次々と開けていった。


「美味しいです。それに体内の魔力の流れがスムーズになっています」


 魔法使いのミラはラムネがたいそう気に入ったようだ。


「うん、これは非常にいい」


 ミネルバはさっそく一本購入して自分の鞄に入れていたくらいだ。


 俺たちはミネルバが作ってくれた石のベンチに並んで座り、風呂上がりののんびりとしたひと時を楽しんだ。


「ここは静かでいいなあ。なによりモンスターが出ないから安心だ」

「だよね。なんだか眠くなってきちゃった。お布団とかを持ってくればよかったな」

「ここを休憩所にしたら、地下二階の探索が楽にできますよねぇ」


 ミラの言葉に俺はハッとする。


「ここで商売ができるといいんだけどな」

「ここでですか?」

「ああ、お風呂を冒険者たちに開放して、俺はここで駄菓子屋をするんだ。モンスターもいないし、俺も安心して商売ができるってもんだよ」

「ユウスケさんがここに来るなら、店の常連であるルーキーたちも喜ぶと思うよ。そろそろ地下二階へ行きたがっている子たちも多かったからね」


 よし、みんなに宣伝するとしよう。

だけど問題もある。


「ただ、ここのお風呂は一つしかないんだよなぁ。脱衣所もないから不便だと思う」

「ふむ、仕切り壁があればいいのか?」


 ミネルバが立ち上がった。


「どうするんだ?」

「土魔法で私が作ってやろう」

「疲れていたみたいだけど平気か?」

「温泉に入って元気が出た」


 浴室の床に手をついたミネルバが魔力を送りこむ。

するとボコリと床が隆起して岩が天井近くまで持ち上がった。

これで浴室は完全に二分された。


「すごいな……」

「あとは入り口をもう一つ追加すればいいだろう」


 粗削りではあったけど、あっという間にお風呂が二つに分けられた。

ダンジョンの中の無人銭湯だ、そこまで凝った造りである必要はない。


「掃除はここを使うみんなですればいいと思う」

「水魔法や風魔法が使える魔法使いがいればあっという間ですよ。私も手伝います!」


 ミラは非常にやる気だ。


「よーし、掃除をしてくれた魔法使いには俺が10リムガムみたいな魔力回復のお菓子をプレゼントすることにしよう」


 ここが冒険者たちの憩いの場所になってくれるといいな、そう思った。



 一週間後

 地下二階の温泉は冒険者たちで賑わっていた。

特に仕事終わりの夕方に、一風呂浴びてから帰宅する者が多い。

これまで駄菓子のヤハギのお客は比較的若い冒険者ばかりだったけど、最近はベテランも増えてきている。


「おう、ラムネをくれ」

「まいどあり!」


 風呂上がりの飲み物を中心に少しずつ販売が伸びているのだ。

特に人気なのはあの水鉄砲である。


「カザフ、俺の背中を撃ってくれ」

「しょうがねえなあ、あとで俺のも頼むぜ」

「わかってるって。お、もう少し左だ。そこそこ! おふぅ……、やっぱりカザフはうまいなあ」


 オッサン同士が裸で体を撃ち合う光景はなかなかシュールだが、水鉄砲は中年を中心によく売れている。

素っ裸で左手にタオル、右手にカラフルな水鉄砲を持つオッサンが急増していた。

流行と言えば若い冒険者の間ではメンコが静かなブームを迎えていた。


商品名:爆風メンコ

説明 :厚紙でできたおもちゃ 手のひら大のカードで形はいろいろ。普段はゲームやコレクターアイテムとして使われるが、魔物に対して使うと、暴風(ストーム)の魔法が発生して敵を吹き飛ばす。魔道具として使用した場合は消滅する。

値段:20リム


 メンコの遊び方は簡単だ。

まずじゃんけんで先攻後攻を決める(この世界にもじゃんけんはある)。

後攻の者は自分のメンコを地面に置く。

攻撃する側は自分のメンコを相手のめんこに叩きつける。

相手のメンコがひっくり返れば勝ちで、ひっくり返ったメンコを自分のものにできる。


 メンコには歴代有名冒険者のイラストがついていた。

漫画風のタッチで可愛いのやイケメンの冒険者も多い。

トレーディングカードと同じ要領で袋に入った状態で売られているから、開けてみるまでどんなメンコかはわからない。


「げっ、魔女ミシェルが出た!」


 現役の冒険者のメンコもあるようだ。

魔女のメンコが出て悲しんでいる少年がいたので、俺は自分のメンコと交換してやった。

魔女ミシェルはやっぱり人気がないようだ。

メンコの表面には説明書きがある。


 魔女ミシェル:∞型魔力循環理論を構築した大魔法使い SSランク冒険者


 こんなに強いのに嫌われるだなんて、やっぱり国王に呪いをかけたからかな? 

案外、国によるネガティブキャンペーンなんかをやられているのかもしれない。

それとも本当に悪いやつなのだろうか?


「けっこうかわいいと思うんだけどなあ……」


 俺はメンコに描かれた魔女ミシェルの黒髪を指で撫でてみる。

絵の中の魔女はぶすっとした仏頂面だったけど、なぜかミネルバの機嫌が一日中よかった。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 作者さんのコメもあるし温泉開放は問題無いんだろうけどなんかね… 友達誘ってもいいぞ!って碌に知らない人にも教えたり商売してもいいって事か?ってなる 食べ放題とか電車やバス内で他人を全く…
[気になる点] 秘密の温泉って言われて仲間に教えてもいいって言葉で割と不特定多数の客に教えるの常識が無いってレベルじゃないのでは……。 いくら好きにしていいって言われても日本人なら普通は遠慮すると思う…
[気になる点] ノームさんとの約束的にどうなのか気になります。
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