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始まり

初投稿です、読んでいただければ幸いです。

 森の中を動く影が1つ。それはぴょんぴょんとあたりを跳ね回っていた。

 そして、それを見ている影が離れたところに2つ。

 「いいぞ。こっちに気付いてない……ダスク、やれるな?」

 少年の1人が声を上げる。

 幼馴染であるソワールのその言葉にダスクはうなずき、ショートボウを構える。

 呼吸を整え、引き絞った弓を一気に放つ。

 矢は一直線にウサギに向かって飛んでいき、その小さな体に命中した。

 「やったぜ!これで今晩の食事は豪華になるな」

 「そうだね」

 ダスクは自分が今仕留めた獲物を回収し、ソワールに答えた。

 「そろそろ日が傾いてきたな……帰ろうぜ」

 木々の隙間から空を見上げると、空はオレンジ色に輝いていた。

 「うん、帰ろう。それにしても、今日は大漁だったね」

 「だなー! 村のみんなに自慢できるぜ」

 少年2人が住んでいるのは、特に名前のつけられていない名もなき村。

 周囲を森に囲まれており、食物には困らない環境である。

 もう少しで森を出る、といったところでダスクは違和感に気がつく。

 なぜか、暗いのだ。それも村のところだけ。

 試しに自分の真上をみてみても空はオレンジ色のままだ。

 「ねぇ、村さ、なんかおかしくない?」

 「んー?……確かに、なんか変だな。急ごう。」

 ダスクとソワールは、急いで駆け出す。

 村を見渡せる位置まで来ると、2人は一瞬で凍りついた。

 村がない。

 正確に言うと、村があった位置はすべてが真っ黒な闇でつつまれている。

 「な、これはいったい……」

 「どうなってるんだ……?」

 驚く2人だが、不意に目の前に何かが降ってくる。

 『それ』は影のようにまっくろで、だけれども自分達の何倍もの大きさの二足歩行で、黄色く光る眼でこちらを見下ろしてきた。

 「次から次へと、なんなんだよ……!」

 ソワールは悪態をつくが、その時『それ』が大きくて太い腕を振り上げる。

 「危ない!」

 ダスクはとっさの勢いでソワールを突き飛ばす。

 振り下ろされた腕は何物もとらえることなく、ただ地面を揺らした。

 「くそ、戦うしかないのか!?」

 ソワールはそう言ってショートソードを構える。

 「いや、あの巨体じゃきっと森の中まで入ってこられないだろう。森に逃げよう!」

 その言葉にソワールはうなずき、2人は急いで元来た道へ走り出す。

 『それ』は特に追いかけることもせず、ただじっと2人を見つめていた。

 森の中心ほどまで逃げてきた2人は、息を整える。

 「どうやら、追ってきてはいないようだね……」

 「そうみたい、だな……」

 ほっと一息ついて、その場に座り込む。

 「それにしても、あいつはいったいなんなんだ!?それに、村だよ村!あれはいったいどうしちまったっていうんだ」

 「僕にも、わからない……でも、これからどうしよう」

 「それは……」

 沈黙が流れる。

 だが、その沈黙も長くは続かなかった。

 不意にあたりが暗くなったかと思うと、地面が溶けた。

 いや、溶けたという表現は正しくないのかもしれない。正確に言えば、真っ黒の闇が地面に広がっていて、そこに体が沈んでいっているのだ。

 「な、なにこれ!?」

 「ダスク!」

 ソワールが、必死の形相でダスクに向かって手を伸ばす。

 ダスクも、それにこたえるようにして手を伸ばす。

 お互いの手はしっかりと握られたが、それでも体が沈んでいくのは止まらない。

 とうとう、首まで沈んでしまった。すでに沈んだところの感覚はない。

 これからいったいどうなってしまうのだろう。

 そんな不安と恐怖を胸に抱いたまま、2人の体は完全に闇へと沈んでいった。

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