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ただいま

FIRE GROUNDで勝利し、1年を最高の形で締めくくった。


 年が明け、正月休みも終わり。

 エイヤはKUROWADA FIGHT GYMに戻っていた。


「お疲れ様です」

「おう」


 いつもの声。

 いつものマット。

 でも。

 少しだけ違っていた。


「見学なんですけど」

「入会したいんですが」


 ジムを訪れる人が増えていた。


「また来た」


 田所が笑う。


「エイヤ効果だな」

「俺ですか?」

「他に誰がいるんだよ」

「三熊」


 大樹が言った。

 笑いが起きた。

 エイヤは少し照れながら、掃除を続けた。

 働いて。

 練習して。

 けい太にパンチを見てもらう。


「もっと真っすぐ」

「こう?」

「そう」


 黒和田の声が飛ぶ。


「エイヤ、仕事も忘れんなよ!」

「はい!」

「天狗になるなよ」

「なってないですよ!」


 みんなが笑った。

 その日の営業が終わり、最後の会員が帰る。

 エイヤが入口の鍵を閉めようとした。


「すみません」

「はい?」


 振り返る。

 森浜千夏が立っていた。


「千夏さん!」

「お久しぶりです」

「もう体調は大丈夫なんですか?」

「はい」


 千夏が少し笑った。


「張切さんの試合、見ました」

「見てくれたんですね」

「はい。感動しました」

「ありがとうございます」


 少し間が空いた。


「また練習、見てください」

「ぜひ」


 黒和田が奥から顔を出した。


「千夏ちゃん!」

「会長、お久しぶりです」

「もう大丈夫なのか?」

「はい」

「そうか」


 黒和田が笑った。


「よかった」


 しばらく談笑したあと、黒和田がテーブルを出した。


「せっかくだ。千夏ちゃんもエイヤのお祝いしてかないか?」

「いいんですか?」

「もちろん」


 テーブルを囲む。

 エイヤ。

 黒和田。

 大樹。

 田所。

 けい太。

 千夏。


「なんか久しぶりですね」


 エイヤが言う。


「そうですね」


 千夏が笑った。

 エイヤは少し安心した。

 黒和田がグラスを持ち上げる。


「それじゃあ」


 みんなもグラスを持つ。


「エイヤのプロデビュー戦勝利と」


 黒和田が千夏を見る。


「千夏ちゃんの復帰に」


「乾杯!」


 エイヤは、心の底から笑った。


『エイヤ』完

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