3:現実逃避必須の学園生活スタート
日本のゲームだから当然と言わんばかりにお城か何かかな!?という立派な建物と正門を彩る桜の木から舞い散る花弁が本当に綺麗です。
さて、本日学園入学です。
え?何があってそうなったって?
一応一度はご家族様との対話を試みてみたもののお話にならないので
公爵家の家族構成調べたら祖父が領地でご存命だったのをいいことに速攻で祖父にヘルプを送り。
赤ちゃんの起こした本人の意識外の事故になんて対応してんだと怒っていただき、
関係改善を全くしないままで自分で希望して離れ残留で、平和な生活環境と教師を確保して学園に向けていろいろなオベンキョウをがんばりました。マル。
このじいちゃんも両親が洗脳されていた時には洗脳を見抜けず補佐官だけ置いて隠居生活満喫しており、
解除された時には精神が脆弱だからコントロールされるんだ、家名に泥を塗りおってと散々両親を罵るだけ罵って
我が家の醜態は闇魔法のせいだと社交界での情報統制だけしたら立て直しも後処理も尻拭いはお前らでしろと帰って行ったらしい。
そのせいで家族の八つ当たりと社交界での忌むべき闇魔法の悪魔かの様な評価がこっちにきたんだからそれぐらいしてくれないとね。
自分で闇魔法の暴発せいです自分達は悪く無いですって言っておいてその闇魔法の赤ちゃん虐待してたんじゃ世間体がよろしく無いですからね。
って脅した訳じゃないですよ!?
あとはやっぱりあの後1年で侯爵家に引き取られた私の体の人が監視担当の侍従(実は兄の侍従だった)の手引きにより押しかけて来て『お前光魔法が使えるだろう』と詰め寄って来たり
先代公爵なんて物語に出て来なかった!関係改善サボって手抜きをするなんて!後で自分が戻って嫌な思いするじゃないか!お前の家族1人減らすぞと脅して来たり
したのを
魔法は発現してないし発現方法が分からないから分かるなら教えて欲しいとか家族は元の話が分からないから仕方が無かった、断罪後は王家に行くんだから家族は切り捨てればいいのでは?などとのらりくらりと言いくるめたり、
マナーが良くなってきていびり甲斐が無かったらしい王妃が何がなんでも嫌がらせをしたいのか今度はお茶に下剤だとかを混ぜてくる始末で・・・お前追々自分の子の後ろ盾にするんじゃないのか!?状態だし
相変わらず婚約者は無言で座っているだけだしお茶会が着々と拷問になっていきそうだったので手を抜く方向にシフトチェンジしたり、
学園入学までのオベンキョウと王子妃教育とお茶会対策と面倒な家族の相手やら使用人共への反撃の合間になんとか監視の目を盗んで体を乗っ取った相手を出し抜く為の情報収集と光属性魔法の練習と仲間探しと隠し資産を作るべく立ち上げたばかりの商会に前世の記憶を元になんとか寄生もとい共生したり・・・
やる事が!やる事が多い・・・!
と必死になっている間に今日を迎えた訳ですよ。
がんばったね、自分。
仲間は見つかってないけどね。
なんて過去を振り返って現実逃避したくなる事案発生中です。
今、まさに目の前で。
「ユリシーズ様ぁはじめましてぇあたしも今年入学でぇアリアです!よろしくですぅ」
一応入学式だからか原作でも学園の門で待っていたユリシーズ王子が、原作通りに立っているのが見えてその前で立ち止まりカーテシーをするべく両手をスカートにかけた。
そのタイミングで走り込んで来たアリアが、先の発言を宣って、その勢いのまま王子の手に手を伸ばして王子の横に居た側近のボルヴィルネ令息にガードされた。
「えぇ?あたしユリシーズ様と仲良くなりたいだけなのにぃひどいです!」
ぷんぷんと漫画だったら効果音でもついていそうな表情で頬を膨らませ抗議する自分・・・の姿。
い・・・痛い。心臓に刺さる・・・
いや、許可無く王子に触れていいわけが無いよね?
「でもあなたもアリアと仲良くしてくれるならぁ・・・ゆるしますぅ」
にっこり笑顔で小首を傾げてきゅるん・・・?
え?さっさと侯爵家に引き取られて早5年、貴族のしかも高位貴族やってらっしゃるんですよね?
原作の様に貴族になったばっかりで貴族のマナーに不慣れを言い訳に使える年数じゃないですよお嬢さん・・・
やめて・・・その顔と声で・・・
じ・・・自分の体でここまで痛い行動を目にしないといけないとは・・・新手の拷問過ぎる。
というか中身とのギャップに!吹き出しそうを通り越して恐ろしくて寒気が!
それ!私の真似なんですか!?違いますよね!?
違うと!違うと言ってぇええええ!!!
物語のヒドインって!みんなこんなでしたっけ!?
体を交換してなかったら自分がこれやるはずだったの!?
無理無理無理!!
心の叫びはおくびにも出さないアルカリックスマイルもこの6年で板に付いたもんですよ。
王子の斜め横から自分の顔へと作り笑顔を向けてから、会釈と共に出来るだけ優しい声色を意識して話しかける。
「はじめまして、わたくしヴァイオレット・ジョアンブルクと申します。アリア様、とおっしゃったかしら?殿下には突然触れないで許可を取ってからをお勧めしますわ。」
言い終わる前に、目の前で自分の姿をしたものが顔を両手で多いわっと泣き声の様なものをあげる。
「ひどいですぅそうやって身分を振りかざして差別するんですかぁ!?」
・・・・・・。
いちゃもん極まれりである。
頬に手をあてて小首を傾げ「あらぁ困ったわぁ」一択である。
「ボルヴィルネ公爵令息様・・・わたくし何かこの方のご機嫌を損ねる事をしでかしてしまったかしら?」
入学式の会場にも入っていない初っ端から公爵令嬢によるいじめだなんてあまりにも外聞が悪過ぎる。
この人最終的にこの体に戻る気でいるのよね?
あぁでも『全部冤罪でした』で済ませる気なのか。
聞かれたボルヴィルネ令息が、彼女を止めた際と変わらぬ無表情のまま首を横に振る。
「いいえ。この者が言語が理解できなかっただけでしょう。お気になさる事はありません。」
言語が、ときた。
ん?君攻略対象でしたよね?初期値こんなに塩対応なの!?
それとも光の魅了が無いから?
ポーズと表情をそのままに、自分の姿が抗議の声をあげる前にあらぁと声を出す。
「そのような事をおっしゃらないで?けれどアリア様がわたくしに威圧感を感じられたのなら申し訳ありませんわね?すぐ失礼しますから、ご容赦くださいませ。・・・殿下、ご挨拶もせず御前失礼する事大変申し訳ございません。ボルヴィネ公爵令息様もアリア様も申し訳ございませんが失礼いたしますね」
おっとりと、でも異論は挟ませない様に、言葉を切らずに言い切ってカーテシーをして踵を返す。
アリア様の家名はね。お伺いしておりませんのでね。
まぁ私の中の人間には好都合なはずだ。王子や令息はどうだか知らないが、後の事は知った事ではない。
王子はそのままそっちと仲良くしていたら良いのだ。
「ひどぉい!」
聞き取れた声が恐ろし過ぎて後ろを振り返る事もしないまま、入学式の会場へと向かった。
後からボルヴィルネ公爵令息が教えてくれたところによると、あの後私がアリアが言語が分からない猿だと馬鹿にし、去り際の挨拶にアリアの名を最後にして差別したのだと泣き、王子様はそんな事しませんよね?からの怖いから一緒に居てくださいと続いた様だ。
アリア(の中の人)・・・恐ろしい子・・・
ひっそりボルヴィネ令息をボルヴィルネ令息に変更させていただいております。




