第241話 俺たちのように話そうとする風
匂いが消えた後、鼻はすっかり澄んでいたが、首の後ろだけが何度も何度もちりちりとした。まるで誰かが背後にぴったりと立っていて、その息遣いまで肌に触れてきそうなほど近くにいるかのようだった。
誰も先に動こうとしなかった。
雨は降り続けていた。だが頭上の空の一角が、不意に一筋一筋曲がり始め、左右へ弧を描くように広がって、傘の形をした空洞を作った。その空洞の縁に沿って水が流れ落ち、俺たちの足元の周りに綺麗な輪を描いて砂へ叩きつけたが、その下に立つ誰の体にも、一滴も届かなかった。
「わあ……」サチが頭を後ろへ反らせた。睫毛に引っかかっていた雨粒が、風に吹き払われていった。
足元の砂粒が跳ね始めた。一粒、また一粒、そしてその一帯全部が、細かく密な震えを帯びていった。回っている洗濯機の上に置かれた茶碗の米粒のようだった。
「空気が踊ってる」ニャリクが言った。羽が一枚ずつ逆立っていき、声に興奮の色が混じっていた。
「風がリズムを持って震えてる。なんだか機嫌がいいみたいだ」
心臓が鼓膜まで響くほど激しく打っていた。この体の緊張はあまりに素直すぎた――手のひらの汗で栓が滑りやすくなっていて、俺は持ち方を変え、それを腕の下に挟み込んだ。
ユウキが半歩前へ踏み出し、剣の先を地面へ向けた。だが肩はまだ固く張ったままで、いつでも俺を自分の後ろへ引き込めるように備えていた。
ちょうどその時、俺たち全員が、空気の中に何かざわめきが生まれたのを「聞いた」ような気がした。
最初はただの振動だった――まだ音として感じられるものではなく、肌の表面にかすかに細かいちりちりとした感覚があるだけだった。静電気のような、小さな虫のような、風に舞う細かい綿毛のような感覚だった。
実際に音として聞こえ始めた時には、低い唸りがあらゆる方向から同時に届き、どちらが近いということもなかった。その唸りは高くなり、鋭くなり、また落ちていった。ラジオのダイヤルを二つの局の間のどこかに合わせてしまったような感じで、雑音に途切れた言葉の断片が混ざり込んでいた。
その音は耳から入ってくるだけではなかった――胸の骨までそれに共鳴し、歯の根元にかすかな痛みが広がり、靴の中の砂粒まで、跳ねたがっているかのようにちりちりとしていた。
フェアリーが両手を大きく広げ、後ろのピクシーたちを庇うように立った。翅は背にぴたりと伏せられていた。
「みんな、声を出さないで」声は低く落としていたが、一音も震えていなかった。
「ちょっと、あの音は何?」ワカナが野球バットを胸の前に横たえ、声を低くした。
「壊れたスピーカーみたい」
「大将、これって何か変な攻撃の予兆じゃないか?」エンヴェルが紙の束をさらに強く握り、指の下で角が折れた。
「俺たち、敵意に見られるようなことは何もしてないはずだよな?」
「……お前……俺……彼お前たち……」
ばらばらに上下する声の塊が、俺たちの周り全体から響いた。
アラユの柄の先についた両目が、音が一番大きく聞こえる方へ向きかけては、すぐに別の方向へ引っ張られ、二つの目がほとんど結び目のように絡み合いそうになった。
「どこにでもいるぞ! 一体どこにいるんだ!」彼は声を抑えながらも鋭く言い、興奮して巨大な鋏を何度も開閉させた。
「どうか、その場を動かないでください」セバスティアンが腕を上げ、アラユの前に置いた。
「この六風の源が何を考えているのか、俺たちにはまだ分かりません」
「心配はいらない」
老人は本を胸元へ引き寄せ、その視線は俺たち全員を通り過ぎて、頭上の空洞に据えられていた。
「これは俺たちと同じ方法で話そうと学んでいる。邪魔をしないでやってくれ」
ジェフティは、この風の塊をかなり重く見ているようだった。
「これは言葉より前に生まれたものだ。神々よりも前にな」ジェフティの口調は、自分のひ祖父を友人に紹介するときのようなものだった。
「とても古く、とても強い」
「シュジョウを倒さなかったのは、俺たちにとって幸運だった。倒していたら、四つの神器の裏にいる真の神々が全員同時に姿を見せても、誰もこれには対処できなかっただろう」
彼は一度言葉を切り、さらに声を落として、皆に向けて説明した。
「これの理解では、生命が存在し始めてからずっと、宇宙のほとんどの生き物は、自由な粒子を放つことで会話していた」
「犬のように。蟻のように」
「この匂いを変え続けていたのは、知っている唯一の方法を使って、俺たちに話しかけようとしていたんだ」
「だから俺たちが来た瞬間、匂いがどんどん複雑になったのか」ワカナが驚いたようにつぶやいた。
「つまり俺たちはずっと、一匹の巨大な犬にくんくん嗅ぎ回されてたってこと?」サチの表情が、すっかりほだされたようなものに崩れた。
「そう思ってくれても構わない」老人は彼女へ目を向けた。口調は優しかったが、まったく真剣だった。
「だが俺の目には、外国から子どもを引き取った親のようにも見える。まず自分の知っている方法でお前たちを試し、それが伝わらないと分かって、別の方法に切り替えたんだ」
唸りが再び断片に割れていった。
「お前たち……持つ。多く」
最初の一語は左耳の横をすり抜け、二番目の一語は右肩の後ろから届いた。その間には一息分の隙間があり、まるで二人の別人がそれぞれ半分ずつ喋っているかのようだった。
「音。雨。音。お前たち。音」
「大将、それ全部、俺たちがさっき言った言葉だ」エンヴェルの声が震えていた。
「ずっと聞いていて、それを少しずつ拾ってるんだ」
「俺。俺たち。風」声が一度止まった。何かを飲み込むかのようだった。
「違う。俺。一つ。……どう言えばいい。一つ。多く。俺。俺たち」
「これは……自分が一つなのか……それとも多くなのか……それも分からないのか」プルトンシャがゆっくりと体の向きを変えた。一語ごとに長い間が挟まっていた。
マファガイスが短く鋭い息を吐き、その体の色が一気に砂と同じ灰褐色へ沈んでいった。
「結局何が言いたいわけ、めちゃくちゃじゃん」ワカナが小声でつぶやいた。
「六風の源さん……」サチは自分の袖をそっと引き、半歩前へ出て、両手を胸の前で合わせ、年を取って少し物忘れが始まった親戚に話しかけるような、優しい声に変えた。
「急がなくていいよ。ゆっくりでいいから。ちゃんと聞いてるからね」
唸りが一瞬止まった。
「聞く」声が答えた。
「時間かける。聞く」
今度は、言葉と言葉の間にほとんど隙間がなかった。
小さな気流がサチの一筋の髪に絡みつき、前髪を軽く持ち上げて、また落とした。サチは瞬きをし、すっかり惹かれたように、口の端を上げた。
「シュジョウ」
その名前が落とされた瞬間、空気の震えが切迫したものに変わり、足元の砂が沸騰する水のように跳ね始めた。
「シュジョウ。窓……番人。シュジョウ、俺たち、窓番人。同じ」
「何か起きた。シュジョウ。起きたこと、上。小畜の。天井。俺たち感じた。俺たち、違う。俺、感じた」
俺は一瞬、息が止まった。
シュジョウは、さっき俺たちと戦ったあの蛇の体の男だった――去る前、彼は小畜の天井へ向かうと言っていた。俺はすぐに声を落とし、その言葉を傍にいる仲間たちへ伝えた。
ワカナとユウキが同時に眉をひそめた。ワカナは下唇を噛み、バットが手のひらの中で半回転してから、また強く握り直された。ユウキはさらに俺の傍へ寄り、肘がほとんど俺の腕に触れそうになった。
サチの手がそっと伸びてきて、俺の袖を握った。指先は冷たく、かすかに震えていた。
老人は手の中の本を閉じた。その角が指の間で形を歪めるほど押しつけられていた。彼は頭上の空洞へ向けて、厳かに頭を下げた。
「どうか、もっとゆっくり話してくれ。シュジョウに何が起きたんだ?」
「聞き間違いでなければ」セバスティアンが慎重に言った。赤い触角がかすかに震えていた。
「シュジョウ様が小畜の天井で何か困ったことに遭い、それが起きたのを感じ取った、と言っています」
「そう」声が即座に答えた。
「そう。そう。困った。感じた」
「ずっと俺たちを見張ってたのに……まさか」ラットンが説明書を胸に抱え、唇を震わせた。
「これ以上先に進むなって、警告してるんじゃないよな?」
「警告するつもりなら、道を塞げば済む話だ」エンヴェルが首を振り、紙の束を指先で叩いた。
「わざわざ話し方まで覚える必要なんてない」
それを聞いていて、俺はふと、この守護者がずっと俺たちの傍に立って、一人ひとりを見ていたことを思い出した。あれほど長く見つめていたのは、話しかける方法を探していたからなのかもしれない。
老人が再び問いかけた。「どんな困ったことだ?」
声が詰まった。唸りが乱れて上下し、いくつかの言葉がどうしても噛み合わず、途切れた音節が方向を変えながら次々と浮かび上がり、砂の上の水溜りが密に重なる輪を広げていった。
「風……彼の……違う。とても悪い」
「どう言えばいい……言葉。足りない。言葉。ない」
「俺たち……俺……」
声が、ついに途切れた。
次の瞬間、俺たちの周りに降っていた雨が、見えない手に引かれたかのように、一気に鋭く上へ傾いた。一筋一筋が、頭上の雲の奥深く、同じ一点を指し示していた。
老人は頭を後ろへ反らせ、その雨の線を目で追った。本の角が指の間で深く折れ込んでいた。
彼は俺を見なかった。視線はその傾いた雨の列に据えられたままだった。
背中の毛が一本ずつ逆立ち、汗が背骨に沿って流れ、濡れた服の中へ伝っていった。
雨はその角度で止まったまま、まるでそれもまた誰かの答えを待っているかのようだった。




