↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倒した敵は俺の力になる 〜魔物だらけのダンジョンを攻略しながら、ドロップ品を配信で売って一気に億万長者へ〜  作者: 上部乱
濁世の二

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
152/258

第152話 再び海を越えて


俺はコンスタンティンとの通話を切った。部屋の空気には、まだひんやりとした余韻が漂っているようだった。


テーブルの上の巨大な牡蠣と帆立貝はまだ湯気を立てていて、海鮮の香りが部屋に漂っていた。先ほどの犯罪一家の「父」の怒鳴り声とは、あまりにも対照的だった。


俺は顔を上げ、仲間たちと目を合わせた。


「どうやらあの狂人、今回は死を免れたようだな。そう遠くないうちに、またこっちに絡んでくるだろうよ」俺はスマホをテーブルに置いた。指先が無意識に木の表面を叩いていた。


俺は立ち上がった。朝食で腹が満たされすぎていて、頭をすっきりさせるために少し歩く必要があった。何人かのピクシーが後ろについてきて、食べきれなかった料理を羽根のように軽々と運んでいた。


俺たちは部屋を出て、前夜の宴の後片付けがまだ済んでいない中庭を通り抜けた。地面には果物の皮やワインの染み、焼き肉の骨が散らばっていた。白蟻と蟻たちが必死に食べ残しを片付けていた――その残りかすで、丸ごと一つの谷を埋め尽くすほどの食用菌類を育てるつもりなのだろう。


ゴブリンたちはワインの池から酒をすくい、樽に詰めて保存しながら、くすくす笑っていた。「こんなに量があったら、飲み切れないよな!」一人が近くのピクシーが持つ海鮮に目を留め、目を輝かせた。「余ったやつ、ある?」ワカナはためらいなく帆立の身を一切れ投げてやり、ゴブリンは喜びのあまり後ろにひっくり返って、そのままワインの池に転がり落ちてしまった。


フェアリーは俺の肩のそばを飛びながら、羽根をぱたぱたさせて文句をこぼした。「みんな飲みすぎだよ、池までワインで溢れさせちゃって……」彼女は俺のほうをちらりと見た。口ではみんなの文句を言いながらも、彼女はもう、俺が何を気にかけているのか分かっているようだった。


俺は仲間たちを見た。俺の表情がすべてを物語っていたに違いない。


「私たちのほうから先手を打って、彼を探しに行ったほうがいいかもしれない」サチは自分の指にはめた指輪を見つめ、指先でその表面をそっと撫でていた。まるで予言が何か答えをくれることを望むかのように、その眉がかすかに寄っていた。


「捕まえた後どうするの?パリャールカ・ファミリーに突き返す?」ワカナはスマホを疑わしげに見つめ、椅子の背にもたれかかりながら、声に不安の色を滲ませていた。


「インターポールに通報するべきかもしれないな」ユウキのやり方はいつも「正規のルート」だった。彼女は腕を組み、背筋をぴんと伸ばしてそう言った。


「駄目!あいつを二度と主様に近づけさせたりしない!」フェアリーは歯を食いしばりながら言った。小さな両手をぎゅっと握りしめ、羽根がその感情の強さに合わせて速く震えていた。


「どうするにしても、まずあいつを見つけるっていう点では、今のところ全員一致してる」俺は背中のピクシーの刺青を起動させた。肩甲骨から広がる、あの馴染みのちくちくとした感覚。


「ついてこい」


全員の視界が一瞬ぼやけ、気づけば俺は皆を海辺まで連れてきていた。


潮風が塩気を帯びて湿った感触で吹きつけてきた。波が次々と打ち寄せ、白い泡を巻いては引いていき、足元の砂を濡らして色を濃くし、一歩ごとに湿った音を立てさせていた。


そして……俺は泡泡槍(メッセージ・バブルガン)を取り出した。


そう、あの泡泡槍だ。


そんながっかりした顔をするなよ。すぐに一歩海路の錨を出すからさ。


だがクリミアへ移動する前に、あいつが本当にその辺りにいるのかどうか確認しておく必要があった。ユーラシア大陸の半分や、太平洋、大西洋を泡が飛び回った挙句、まったく見当違いの場所に着いてしまうなんて事態は御免だった。


意図的に身を隠している人間を見つけ出すのは、現代においては本当に難しいことだ。だが泡泡槍を手にしていれば、誰を追跡するのもさほど問題にはならなかった。


「うーん――」俺は銃を持ち上げ、特に意味のない声を漏らしながら、心の中で静かにエンヴェルの名前を呼んだ。


泡泡槍に意味のある言葉を吹き込むわけにはいかなかった。それに、このエンヴェルという男については、一応敵として扱っておくのが無難だろうと考えていた。


俺は泡泡槍の銃口を空へ向け、引き金を引いた。透き通った泡が銃口から漂い出て、陽光の下で虹色に反射しながら、風向きを確かめるかのように何度か旋回してから、ゆっくりと前へ進み始めた。


メッセージバブルはほぼ真西へ向かって飛んでいった。俺たちの立っている場所からすれば、背後の海とはちょうど正反対の方向だった。だが一歩海路の錨にとっては、目的地の海が東にあろうと西にあろうと関係なかった。


「真西か……」俺はスマホのデジタル地図を確認し、画面を拡大縮小しながら指を滑らせた。クリミアは確かに日本からほぼ真西で、ずれてもせいぜい数度程度だった。


あらかじめクリミアだと分かっているだけでも、かなり手間が省ける。改めてその地域の地図を見て、自分がこの件をあまりにも単純に考えすぎていたことに気づいた――その場所は九州とほぼ同じくらいの大きさがあった。


あの海岸に降り立ったとして、そこからどれだけ飛び続けなきゃいけないんだろう?ボカ・デ・クペまで誰かを捕まえに行った時のことを思い出した。あの旅は、俺たちを本当に殺しかけた……


とはいえ、今回はあの悪夢のようなダリエン・ギャップを越える必要はないし、この先には歴史の重みを帯びた古い都市が並んでいるはずだ。今回はもう少し楽であることを願うしかなかった。


ワカナはスマホを取り出し、コメント欄に打ち込みながら、カメラに向かって陽気な声でナレーションを始めた。


「みんな、これからクリミア半島への旅が始まるよ!私たち、旅行系配信者に転職しちゃおうかな!絶対見ておくべきスポットとかある?」


彼女はすぐさま配信用のアンケートを作り、旅行サイトまで開いて、画面の上で指を素早く動かしながら、目をきらきらと輝かせていた。


コメント欄がすぐさま盛り上がった。


『ワカナ、犯罪者捕まえに行くの、それとも観光旅行?』

『クリミアって今めちゃくちゃ危険なんじゃ、それで観光の話とか』

『投票投票、セヴァストポリの旧市街見たい!』

『上のやつ本気か、指名手配犯を追いかけてるんだぞ』

『知らん、俺の一票はバフチサライ・ハン宮殿に入れる』


「今回はもっとスムーズに見つかりそうだね!」ワカナは嬉しそうに言いながら、俺の手を掴んだ。その掌は温かくしっかりとしていて、彼女の笑顔には根拠のまったくない自信が満ちていた。


俺は一歩海路の錨を手に持ったまま、呆然と彼女を見つめた。


頼むから、お前は死亡フラグの女王、プロのフラグ建設業者だろ……「スムーズ」なんて言葉、絶対に口にしちゃいけないやつだからな!


ユウキが隣で堪えきれずに小さく笑い、ワカナの肩をぽんと叩いた。


「ワカナ、そういうこと言うと毎回すぐに何か起きるじゃない。少しは自覚ないの?」


「そんなわけない!」ワカナはすぐさま言い返し、腰に手を当てて鼻を鳴らした。「これはポジティブシンキングって言うんだよ」


サチは唇を結んで笑いをこらえながら、俺に身を寄せて囁いた。「ワカナがああいうこと言うと、私、ちょっと不安になっちゃう」彼女は無意識に服の裾をいじっていて、その目にはかすかな心配の色が浮かんでいた。


フェアリーはワカナの頭上を旋回しながら、からかうような口調で言った。「ワカナ様、今の発言、撤回したくなったりしませんか?」


「そんなわけない!一度口にしたことは撤回しない主義だから!」ワカナは顎を上げ、いかにも満足げな様子だった。


俺は目の前に一歩海路の錨を掲げた。その本体は陽光の下でかすかな青みを帯びて輝き、表面を通り過ぎる海風が低い唸り声を立てていた。まるで何かの願いに応えているかのようだった。


「よし、みんな準備はいいか?」俺は四人を順番に見つめ、それぞれと目を合わせた。


ワカナはしっかりと頷き、両手を固く握りしめていた。サチは深く息を吸い込み、指輪を包み込むように手を握った。ユウキはすでに剣の柄に手をかけ、真剣な表情をしていた。フェアリーは俺の肩の上で、小さな体をわずかに前傾させ、いつでも飛び出せる構えを見せていた。


「行くぞ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。