第134話 フルーツバスケットへの帰還
僕は今、食料部隊、害虫、ネズミの長い長い列を率いて、再び台所へと向かっていた。
この軍勢の規模は、僕が初めてアリの巣に踏み込んだ時の、何倍にもなっていた。
食料部隊の方陣が中央に、ムカデと蛇部隊が両翼を固めた。ネズミ隊は機動力が最も高いので、偵察位置に配置した。ネズミ王の死後に指揮を引き継いだ精鋭ネズミたちは、今のところそれなりに従順だった。
このベルゼブブ、かなり手強いかもしれない。
フィヨルニルとフレイヤは、僕の空間能力の封印を解いてくれていた。
つまり、これまでのフロアでスカウトしてきた様々な兵たちを、また召喚できるということだ――ピクシー、風霊鳥、フォッグシェル・サラマンダー、トレント、それにボカ・デ・クペの私設カルテル部隊まで、戦場に参加させられる。
その知らせは、確かな安心感を運んできてくれた。神々がわざわざ封印を解いたということは、この先に待っているのは、寄せ集めの民兵で対処できる相手じゃないんだろう。
僕は口達者な食料部隊の何人かをピクシー・ドラッジと一緒に他の食料部隊の里へテレポートさせ、代わりに戦士を集めてもらった。
同時にクーリエアント、菌栽培シロアリ、トレントを送り出して、より多くの害虫を探させた。フェロモン制御と寄生を使って、台所の他の害虫たちを片っ端から僕の戦力に変えるためだ。
「フレイヤ様は、このベルゼブブが、僕たちがこれまで聞いてきたどんなベルゼブブの特徴にも当てはまり得るって言ってた」
ユウキが僕の隣を歩きながら、これから対峙する相手を分析しようとしていた。口調には、作戦会議の前に感じるあの緊張感があった。
「僕が知ってるのは、こいつが手強い魔王だってことだけ」
僕は肩をすくめた。それが僕の知識の全てだった。
「私の知る限りでは」
ユウキは少し考えて、話を整理し始めた。
「伝統的な伝承では、ベルゼブブは七つの大罪の筆頭で、暴食を象徴する存在。蠅の王とも呼ばれて、ハエと虫を操る能力を持ち、人を貪欲な行為へと誘惑する」
「で、現代のポップカルチャーの中の彼は……?」
僕は聞いた。
「赤ちゃんバージョン見たことある!それに女の子の性転換バージョンも!」
サチがまるで先生の質問に真っ先に答えたい生徒みたいに、誰よりも高く手を挙げた。
「どれも除外できないんだよなぁ……」
僕は額に手を当て、フレイヤの言葉を思い出した――
「聞いてきたこの魔王に関するあらゆる話が、現実となるかもしれない」
胃が急に締めつけられ始めた。
もしサチが見た赤ちゃんバージョンまで含まれるなら、僕は本気の戦闘に備えるべきなのか、それともオムツを準備すべきなのか。
「大食らいで、ハエを操れる――この二つは確実」
フェアリーが僕の肩に止まって、しっかりとした口調で言った。
「その二点を軸に戦術を組めます」
老昆布が昆布の繊維を撫でた。目に、作戦を練り始めた鋭さが宿り始めていた。
「暴食の弱点には、餌を使えます。ハエを操る能力については――範囲がどこまで届くのかを見極めてから、戦力を分散させるか集中させるかを決めましょう」
「頭の回転、僕より速いね」
僕は言った。
「この老人は、そのためにここにおるのです」
彼は少し頭を下げた。ネズミ王の一件のあとの、あの過剰にへりくだった口調はもうそこにはなかった――代わりに、自分のリズムを取り戻した、地に足のついた落ち着きがあった。
僕は普段なら奇抜なアイデアをどんどん出してくれるワカナに目をやった。
今の彼女はやけに静かで、スマホの画面をずっとスクロールしていた。
ああ――何をしているのか、大体察しがついた……
「電波、通じてるの?」
僕は彼女に聞いた。
「うん!朗報!」
彼女の目が、これ以上ないくらい輝いた。
「何をしてるところ?」
「配信を再開させてるに決まってるじゃん!」
「それはどうぞご自由に――でも、そっちで何やってるのさ?」
「これまでのやばい戦闘、全部映像撮ってあるんだから!」
彼女の指が画面の上を飛び回っていた。
「アップロードしてるの?」
「まずノーカット版投下してトラフィック集めて、戻ってからちゃんと編集してドキュメンタリー仕上げるの。待っててよ――私の名前、カンヌで見ることになるから!」
ワカナが副業に精を出している間に、僕たちは以前フルーツ族の縄張りだった――あの高原みたいなダイニングテーブルに到着していた。
腐敗臭に、発酵酒のニュアンスが混じった悪臭が、こちらに漂ってきた。
地面にはまだ、以前僕たちを吹き飛ばしたあのスイカの、ぐちゃぐちゃに破裂した死骸が残っていた――酸っぱいスイカの汁と果肉が混ざり合って、ダイニングテーブルの上でベタベタの塊になっている。その上を蠅が旋回して、低いブンブンという音を立てていた。
スイカの皮は半分陥没して、中で黒く腐り切った果肉が露わになっていて、その裂け目からウジが何匹か這い出しては、また潜り込んでいく。眺めているだけで、胃がひっくり返りそうだった。
僕たちと一緒にアリの巣を出てきたマスカットジャムの人が、遠くのフルーツバスケットを憎悪に満ちた目で睨みつけた。
「あのハエ野郎ども――我らの同胞をあれだけフルーツゾンビに変えたのだ。何度も何度も、拠点を移さねばならなかった。お菓子族に頭を下げて、場所を借りねばならなかったこともあった……これは血と国の恨みだ!」
声が震えていた。長く抑え込んできた怒りが、ようやく吐け口を見つけたのだ。
僕は彼を見た。故郷から追われるという感覚を、僕自身は経験したことがない。でも彼が拳を握りしめる姿を見ていれば、内に埋め込まれた恨みがどれほど深いか、大体想像がついた。
マスカットジャムの瓶は隊列の一番先頭に立っていた。もう一度身を投げ出すことを恐れていないのは明らかだった――先陣を切って突っ込む気だった。
「落ち着け――自分の美味しさを軽々に投げ捨てるでない!」
焼きジャガイモとモチ米腸詰めが両側から手を伸ばして、彼を抑えた。
僕はフルーツバスケットから、大小さまざまな果物の姿をしたものが登ってくるのを見た。
心の奥では分かっていた――見た目は果物でも、中身はもう、ウジ以外の何ものでもない。
桃だったはずのものは、皮の光沢が不自然だった。歩き方は硬く、マーカーで描いたみたいな両手は、糸で吊るされた人形みたいに、不自然なリズムで振られていた。
別のマンゴーゾンビは口を半分開けていて、その中で何かが蠢いていた。
ざっと数えてみた――視界に入るだけで、二、三十体のフルーツゾンビがいた。動きは速くないけれど、ぎこちなくぎゅうぎゅうに詰めて押し寄せてくる様は、見ているだけで肌が粟立った。
何匹かの蠅がゾンビの頭上を旋回していた。まるで彼らの行進を監督しているみたいに。
「来る」
ユウキが勇気の剣をぐっと握り、刃に赤い光が流れた。
ワカナがようやくスマホをしまって、フルーツバスケットのほうを見上げた。
「ちょっとこれ持ってて」
彼女はカメラをピクシー・ドラッジに預けた。
それから真理の鏡からバットを取り出した。
「そろそろ、こっちも振り回してあげよっか」
フェアリーが僕の傍まで飛んできた。羽がかすかに震えていた。
「気をつけて。このゾンビの感染の広がり方――シロアリの時と同じかどうか、分からない」
声に警戒があった。あの記憶は、まだ生々しく残っているんだろう。
僕は頷き、切風翎を握り直して、腰の知恵の書を、もう一段しっかりと締め直した。
戦場の臭いがどんどん濃くなっていった。腐敗臭と発酵の甘さが混じり合い、フルーツバスケットに近づくほど、鼻を刺してきた。
遠くのフルーツゾンビたちも、僕たちに気づき始めていた。硬い頭が一つずつ、こちらに向いてくる。その動きは不気味に揃っていて、まるで同じ糸に引っ張られているみたいだった。
「行くよ!」
僕は叫んだ。




