第123話 ムカデ大将
ネズミが中央に噛みつくと、ムカデの体に構造的な弱点が一瞬で露呈した。
両端のネズミが力任せに引っ張った瞬間、巨大ムカデは真っ二つに引き裂かれた。
あの音……僕は思わず顔を背け、すぐにまた前に向き直した。
彼は地面に崩れ落ち、痙攣し、もがいていた。
三匹のネズミは、まだ反撃のできる頭の部分を捨て、揃って後ろ半身に向かって食事を始めた。
彼らの戦術がいくら優れていようと、その動きの一つ一つを突き動かしていたのは、結局のところ空腹だった。
「……」
ワカナが僕の袖を掴んで、何も言わず、ただ握る力を強めた。
ネズミの動きは速かった。
そのうち数匹が外周を回っていた。羊飼い犬が群れを追い回すように、足の運びが素早い。
害虫たちが本能的に天敵を恐れる習性を利用して、彼らは大量の害虫を狭い一塊に圧縮し、戦える面積をどんどん縮めていった。
外周の害虫はネズミと一対一でも勝てない――三対一、四対一でも足りない。
内側の害虫たちは密集の中でお互いを傷つけ合っていた。
ゴキブリがヤスデを踏み、ヤスデは丸まって隣のダンゴムシにぶつかり、ダンゴムシは慌てて四方八方に転がり出して、周りのアリを蹴り飛ばす。
この連鎖反応に、僕の心は沈んだ――これはネズミの直接攻撃よりも厄介な、自滅のダメージだ。
このネズミの群れは、十字軍を翻弄したモンゴルの騎射兵そのものだった――少数で多数を取り囲む。
これだけ神がかった戦術連携を、もし人間の軍隊がやってのけたなら、間違いなく歴史書に名を残しただろう。
「間に合わない」
僕は呟いた。口にしたところで何の意味もないのは、自分でも分かっていた。
ムカデを救うのに間に合わなかった、ほとんどの害虫を救うのに間に合わなかったのと同じように。
ムカデのもがきは、どんどん緩慢になっていった。彼は僕のほうを向いて、触角を振っていた。
これは……助けを求めているのか?
彼にそこまでの知能はあったのか?
確かめる方法はなかった。
でもどちらにせよ――これ以上の苦しみから彼を解放するため、そしてこの戦力を完全に失ってしまわないためにも、僕自身の手で、彼に止めを刺すしかなかった。
僕は切風翎を構え、前に歩み出た。
ああ。引き取ったばかりの犬を、自分の手で安楽死させなきゃいけないみたいな気分だ。
僕は深く息を吸い込み、彼の神経節に正確に刃を突き立てた。
クリティカル
HP -498
【サベッジデン・ジャイアントセンチピードを撃破】
【EXP +46800】
気持ちが良いはずがなかった――まるで自分が冷血な打算屋になったような気がした。
でも――ムカデはもうもがいていなかった。
「知恵の書、頼む……」
僕は彼を従者として復活させた。
光がまだ痙攣している彼の体に巻きつき、切断された中央に広がっていって、本来繋ぎ直せるはずのない命を一つに縫い合わせた。
光が消えると、まず触角が動いた。
それから頭、続いて体の節が一つずつ、最後に二十数本の脚が一斉に踏ん張って、地面を捉えた。
「うわぁ……」
傍にいた食料部隊の一人が、低い声で驚嘆を漏らした。
目を向けると、ニンジンだった。目を大きく見開いている。
気持ちは分かる。蘇生を初めて見た人は、誰でも同じ反応をするはずだ。
生まれ変わったこのムカデは、もう完全に僕の戦力の一員だ。
彼はもう、食料を求めて僕たちについてきていたわけじゃない。
今や、忠実な戦の将軍となった。
復讐の怒りを胸に抱えているかどうか、僕には判断できない。
でも僕の命令の下、彼は二十数本の脚を重装軌道車みたいに回転させ、ついさっき自分の下半身を齧っていたネズミたちに向かって突進していった。
その速度は予想以上に速くて、彼の爪は数秒で地面に深い跡を刻んだ。
食事を奪われた三匹のネズミは、反応が半拍遅れた。そのうち一匹が横っ飛びしようとした瞬間、ムカデの体節の側面に直撃された。その衝撃でネズミは宙でくるりと一回転し、アリの巣の壁に叩きつけられた。
ワカナが背後で小さく「うわ」と漏らした。
「前より怒ってない?」
彼女が言った。
「かもね」
僕は答えた。
「でも単純に、蘇生で強くなっただけかもしれない」
ムカデはネズミより少し体格が大きかった――誰かが彼の側で戦えてさえいれば、負けることはないはずだ。
僕はムカデと共に飛んでいった。
残った二匹のネズミは、ムカデが突っ込んでくるのを見て、即座に散開し、またあの分散と誘導の連携をやろうとした。
ムカデは案の定、動きの大きいほうに誘い出された。
さっき壁に叩きつけられたほうのネズミが仲間と合流して、二匹で再びムカデを頭と尾から挟み撃ちにしようとした。
でも今回はそうはいかない。
僕はネズミの戦術の弱点を見抜いていた――尾を狙うほうだ!
僕は切風翎を構え、ネズミの頭めがけて投げた。
巨大ネズミは身軽にかわし、刃はその脇腹をかすめただけだった。
HP -56
今の僕の攻撃力では、惨めなダメージ量だ。
それでも、ネズミをムカデの尾から強制的に引き離し、こちらとの交戦に引きずり込むことはできた。
三対一が二対一になり、両方のネズミが今やムカデの視界の中に収まっていた。
「マスミ!右!」
ユウキの声が遠くから飛んできた。
僕は右にひねり、ネズミの爪が耳元をかすめ、風が起こった。
ネズミは僕の傍に着地し、こちらと向き合った。あの艶のある黒い目が、僕をじっと捉えていた。
僕の意識が逸れた瞬間に回り込んでくるとは、予想していなかった。
ムカデと僕は今、それぞれが一匹ずつのネズミと向き合うことになった。
数の上では一対二だったが、ムカデは素早く頭を低くして、片方のネズミに噛みついた。
毒液がその体内に流れ込んでいく。ネズミは何度か身を震わせ、足取りがだんだん弱っていった。
僕の目の前のネズミは、僕とにらみ合うばかりで、すぐには飛びかかってこなかった。
何かを待っているのだ。
あの艶のある黒い目は、僕を――僕の手の切風翎を、僕の重心がどちらの足に乗っているかを、じっと観察していた。
僕は半歩下がった。踵が何かに当たった。下を見ると、ワカナが投げてくれたライターだった。
僕はそれを拾い上げ、手の中で重さを確かめ、それから切風翎を収めて、ライターを点火し、ネズミの鼻先のあたりに投げつけた。
ネズミは身を引いた。その反応で、僕は確信した。
ネズミは火を恐れる。
「ワカナ!もっとライター投げて!」
「これ……了解!」
彼女の声は少し詰まっていたけれど、手はもう鏡の中に伸びていた。
ライターが次々と飛んできた。二つがネズミの傍に落ち、ネズミは横に飛び退いて、足取りをよろめかせた。
その隙に、僕は切風翎に持ち替えて、三連撃を叩き込んだ。
HP -89 HP -112 HP -74
ダメージはまだ低めだったが、それで十分だった。
蘇生したばかりのムカデは、少し空腹だったようだ。彼はまだ痙攣しているネズミを押さえつけて、一口、また一口と食らい始めた。
生きたまま食べる――まさにあの三匹のネズミが、ついさっき彼にしていたのと同じことだ。
ワカナが隣で小さく咳き込んだ――直視できなかったのだろう。
僕も少し気持ちが悪くなったけれど、こらえた。
目には目を、というやり方に異論はないし、戦場で体力を回復するのにも文句はない。
ただ、残ったもう一匹のネズミは、その隙を見逃さない――ムカデが食事に集中した瞬間、その隙を突いて攻撃してくるはずだ。
そのパターンは一度見せられた。一度で十分だ。
僕は意思を集中させて、ムカデに「鮮度の高い」獲物を口から離させ、もっと新鮮な標的に向かわせた。
ムカデが一拍止まった――その間に、彼が少し名残惜しがっているのが伝わってきた。
それでも、ちゃんと向き直った。
「我が主が行けと言うなら行きますが、思うところはあります」というあの空気は、さっき偵察に出るのを渋っていたゴキブリを思い出させた。
知能の高い虫には、それぞれの気性がある。
一対一になれば、もう勝負はついたも同然だった。
ムカデが自分のネズミを片付ける速度のほうが、僕より速かった。
僕は目の前のネズミを、一撃ずつ削り続けていた。
あのムカデは、もうネズミの体内に二度目の毒を流し込んでいた。
僕が目の前のネズミから最後の一滴の血を絞り取った、その瞬間――
【グラトン・ジャイアントラットを撃破】
【EXP +12800】
撃破通知が三つ、立て続けに飛び込んできた。
僕はその場で深く息を吸い、ゆっくりと顔を上げた。
二匹のネズミが援軍として駆け込んできた。ムカデはもう向き直って、彼らを薙ぎ倒しに行こうとしていた。
援軍のネズミは形勢の変化を感じ取ったようで、向きを変えて逃げ出した。
「追え!」
僕はムカデに命じ、同時に切風翎を、退いていくネズミに向けて投げた。
HP -134
ダメージは大したことなかったが、ネズミの速度を一段落とすには十分だった――ムカデが追いつくには。
僕のムカデの大将は守り抜かれた。
次は、もつれ合っているこの部隊を立て直す番だ。




