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国守の愛 第3章 red eyes ・・・・  作者: 國生さゆり    
29/42

シーン29 弾く

 

  シーン29 はじ


 「コイツら馬鹿なのか、頭隠して尻隠さずだ」と、トロンスキーの「交代する」を断り、寝ずの番を3階の監視部屋から、ボルトアクションライフル・SAKO TRG 42を三脚にえ付けて椅子に座ってかまえ、深い水底のような右目で、スコープをのぞいていた宗弥がつぶやく。



 1、2、3・・・、両側面りょうそくめんから2人ずつとして、全部で6、7人てとこかと思った宗弥が、左足でベットのへりる。飛び起き「ど、どうした⁈」と言ったトロンスキーには、まだ眠気がまとわり付いていた。「お客さんだ。アジア系の男、見えたのは3人、取り囲み陣形なら多くて7人はいる」と言いながら宗弥は椅子から立ち上がり、トロンスキーに場所をゆずる。



 目をこすり付けながら、椅子に座ったトロンスキーはスコープを覗き「どこだ⁈」と言い、「2軒先の生垣に1人、奥から2本目の電柱下のゴミ箱の影に1人、3軒先の玄関先に1人、両側面から少なくて2人ずつは来るだろうな。どうする?撃つか、車で強行突破でもするか?」呑気な調子で宗弥が聞く。



 「この間の仕返しか・・大胆な行動をとるという事は、汚名挽回を狙ってるって事だ。奴らは成果なしじゃ国に帰れない」と言うや、トロンスキーは立ち上がり「ソウヤ、やれ。下の死角に入られたら面倒だ」と言いながら、階段側かいだんそばの部屋に移動する。



 ダイヤモンドカッターで直径20センチほどの円を切り抜いた窓から、宗弥はまず一番奥のゴミ箱の陰にいる男のヘッドジョットを狙い定めて、狙撃するが右耳の右3センチ外を抜けてゆく。男が弾風に驚いて振り返る。ちょうど射線に入ったと見るや、スポッター無しの宗弥は躊躇なくはじく、マンダウン。



 左目でとらえていた残り2人は振り向く事もなく、気づいてもいない。不届きだと思いながら右手でメモリを調整する宗弥のそばに、トロンスキーがリュックサックを置きながら「装備一式、衛星電話、現金が入ってる」と言って部屋から飛び出し、階段を降りながら「フレド、車のエンジンかけて待機」と少々耳障りな声で言うのが聞こえ、宗弥は「うるさいな」とつぶやきながら、3軒先の玄関先にいる男に、狙いを定めようとするが見当たらない。



 クソ!移動したかと思いながら、息を吐き、ととえて周囲を探す。水色がチラリと動き、速攻ではじく。その場に倒れたのが見えた。水色の服を着た男なんていたか・・・と考えながら、生垣にスコープの焦点を合わせる。



 なんと、トロンスキーが迫りつつあった。宗弥はリュックを背負い、SAKO TRG 42を手早く三脚から外して襷掛けにするや、みつけておいた玄関を狙えるポジション、一階の地下室がある物置きへと向かった。



 階段を3段飛ばしで飛ぶように降りた宗弥は、置きなおした三脚にまたがるようにして座り、換気ダクトの隙間すきまからグロッグで狙う。案の定、死角になっていた場所に男3人がすし詰め状態で、今にも玄関から突入しようとしていた。撃つ、とにかく撃つ。3人をダウンさせ、隙間をのぞいてトロンスキーを探すが見当たらない。駐車場に移動したか・・と、宗弥も忍足で駐車所に向かい、後部座席に乗り込むが、トロンスキーはいなかった。



 運転席のフレドがアクセルを踏み込み、ロケットスタートした車はシャッターをなぎ倒して、一直線に突進する。「待て!!トロンスキーがまだだ。フレド!!!」宗弥は叫ぶが、時すでに遅く。一目散のフレドが止まるわけもなく、トロンスキーを置いてきぼりにする。



 狙撃にそなえて、車の床にうずくまるようにして座った宗弥が「クソッタレ!!のバカヤロウ!!!」と叫ぶ。



 


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