【あとがき】 ~作者の吐露~
投稿ボタンを押す前、私はしばらく指を止めていました。
正直に言います。
このエッセイを書き終えてから、――ずいぶん葛藤がありました。
それは今までになく、扱っているのが、とても繊細なテーマだったからです。
感想を書くとき、少なからずAIの力を借りている人は多いと思います。
実を言えば、私自身も、長文の感想を書いたときなどには、
最後にAIに、誤字脱字を見て整えてもらっています。
だから、「AIを使うこと」そのものを否定するつもりは、まったくありません。
けれど、このエッセイの内容によっては、
「AIで感想を書いている方」、「AIを使って活動をしている方」を、
攻撃しているように受け取られてしまうかもしれない。
――それが、怖かった。
正直、軽い気持ちで書き上げたあと、投稿するまでに二時間くらい迷いました。
「これを上げたら、自分にはもう感想が来なくなるかもしれない」
「こんな疑いの目で見るようなやつ(※実際は見てません)に、誰が感想を書くか」
そう思われても仕方がない。
仮に感想が届いたとしても、
「さて、これはAIが書いたかどうか、当ててみな!」――
そんなふうに構えられてしまったら、とても悲しいことです。
だから、本当は、上げない方がいいのではないかとも思いました。
……それでも、やっぱり上げることに決めました。
これからAIは、間違いなくもっと普及していきます。
そして、AIの感想を“善意”として受け取った誠実な人ほど、
「お返し」をしようとして、どんどん自分の執筆時間を削り、
疲れていくかもしれない。
読んで、返して、また読む――その美しい循環が、
AIの速度に押し流されてしまうかもしれない。
そうなったときに、一番傷つくのは、
真面目で、恩返しの気持ちが強くて、信じる心を持った人たちです。
私はそれが――嫌です。
Web小説の世界には、昔からある美しい文化があります。
「感想をもらったら、相手の作品を読みに行く」――
それは義務ではなく、“心の往復”でした。
私の主戦場はカクヨムですが、
なろうにも、分け隔てなく、いつも親切にしてくれる人が、ひとりいます。
その人は、なろうの世界と、そこに住む人たちが大好きだと言っていました。
だから、その世界が、これからも続いてほしい――そう思いました。
無風の作者が書く、たかが一篇のエッセイに、
大きな力なんてありません。
それでも、ほんの少しでも、
「そういうことが起きているんだ」と知ってもらえたら、それで十分です。
大多数の人には、このエッセイは、まったく関係のないことだと思います。
それこそ「AIなんて、そんな大げさな事じゃなよ」、「何言ってるの?」でしょう。――それが正しい反応だと思います。
スルーするのも、少し気にかけるのも、それぞれでいいと思います。
これは『断罪』ではなく、『気づき』をテーマに作ったエッセイです。
誰かを責めたいわけじゃない。
ただ、この先にある、今までになかった“時代の変化”を――
知らない人に、気づいてほしかった。
ただ、それだけの思いで書きました。
だからもし、このエッセイで、ネガティブな感情や、
不安や心配を抱かせてしまったとしたら――本当に、ごめんなさい。
それは、私の望んだことではありません。
この世界が、これからも――
“誠実に言葉を交わし、信頼しあえる場所”であってほしい。
そして、あの人も大好きな、
この世界が、このままで、どうか続いていってほしい。
その願いだけを、最後に置いて、筆をおかせてもらいます。
――すっとぼけん太。




