〈神聖なる法〉
「それでは〈神聖なる法〉について説明しますね。まず、〈神聖なる法〉は〈剣術〉等と同じようなスキルです」
「レベルによって成長する?」
「はい。私の〈神聖なる法〉はレベル11まで育ちましたが、レベル10の時点でアーツを1つ覚えました。」
「なんてアーツ?」
「王道を往く『ヒール』でした。効果はMPを1割消費してHPを1割回復します。クールタイムは5分ですね」
「長いね」
〈剣術〉の『ペネトレイトソード』と同じくらいだ。MPを1割消費してクールタイムで5分待つなら、正直使い勝手は悪い気がする。
「使いにくそうと思いましたか?こんなものじゃないですからね。使いにくいポイントはまだありますよ」
「5分待つだけでもしんどいのに?」
「です。決まった動きをしないと発動しないんですよ」
そういうとカリストは、砂浜にしゃがみ目をつぶった。顔の前には指を交互に組んだ状態で手が置かれている。
映画とかでよく見る、聖職者がやっている祈りのポーズだ。白いシスター服に砂粒がついてしまうが、カリストに気にする様子はない。
「我らが世界を創成し神よ。我らに慈悲を賜りください。『ヒール』」
組んだ手の隙間から優しい緑色の光が漏れ出る。その光はゆらりと手から抜け出し、カリストの頭に移動し、ぶつかってかき消えた。
「とまぁ、こんな感じですね。体制が固定で『ヒール』の前に詠む詠唱も固定。ちなみに今のではわからないと思うので説明しますが、詠唱中に動いたら発動しないくせにクールタイムは倍になって帰ってきます」
「『ヒール』に使うMPは?」
「もちろん持っていかれます。さて、感想をどうぞ」
「ごめん、ごみだと思う」
いや弱いが過ぎるだろう。そもそも戦闘中に動けないだけで致命的なのに、それに加えていらん詠唱までついてくる。聞いといてなんだけど、私にとっては全く必要のないスキルだと思われる。
「一応、いいところもあるんですよ?」
「どんな?」
「自分に使うとクールタイムが3分になります。それに回復量も5%くらい増えます」
「それだけ?」
「それだけです」
「割に合わなくない?」
カリストはニコニコと聞いていなかったかのようにふるまう。いや回復量が増えてクールタイムが減るとは言っても、結局動けないことに変わりなはいのだからどうしようもない。
運営調整ビビり過ぎじゃないか?これじゃあ誰も取らない気がする。戦闘中にポーションを飲んでいる方がよっぽど戦いやすい。
「まぁ、レベルが上がればもう少し何かしらあると思うので、情報のために頑張ってキャリーしてください。あ、パーティー組みましょうか。かんちゃん!パーティーを組むからこっちに来て!」
「わかったっす!ほらシャーリーも動いて!」
「あぅまってください!でっかいサワガニが!」
何してんねん。




