お空
シャーリーの様子がおかしい。というか、さっきまでの元気っ子ぶりが嘘だったかのようにに静かだ。
すでに地上を飛び立ってから5分ほど経っている。あすなろ抱きの時と同じように、この体制で人を運ぶのは初めてなのでゆっくり目に飛んでいる。
いくらシャーリーの猫獣人が着地に強いとはいえ海に落ちたらどうなるかわからないし、そもそも一度海に落としたら拾いに行く私まで危ない。
飛べなくなったら二人そろって戻れなくなるのだ。慎重になるのも当然である。
しかし、今まで元気だったシャーリーが静かになると、なんとなく寂しくなってしまう。声をかけても、目も合わないで「はい・・・」とか「そうですね・・・」とかしかないのだ。
おかげで会話も回らない。
顔が赤いし、もしかして照れているのだろうか。周りに誰もいないから気にしなくていいのに。
そもそもさっきはおとなしくはないけど運ばれていたではないか。違いは体制だけでそんなに気にすることではないだろうに。
「シャーリー、照れてる?」
「へ?」
「顔赤いし静かだし」
「いやあの、その・・・」
「誰も見てないから大丈夫だよ」
落とさないようにちょっと強めに抱きしめながら、シャーリーに周りを見せてあげる。現実じゃ絶対に見られないような光景なんだからもう少し今を味わってほしい。
「ほら、周りを見て。綺麗だし風が気持ちいいでしょ」
「はい・・・」
「せっかくフレンドにもパーティーにもなったんだし、もっと話そうよ。二人しかいないんだから」
ここまで言ったんだから話してよと、ついでに目を合わせて圧をかける。せっかくパーティーになったのだから話したいというのは本当のことだし、ちゃんと伝わってくれると嬉しい。わがままかな?
それに巨イカも出てこないしね。このままだと二人そろってそれは散歩しているだけになる。それはもったいない。
「ひ、ひゃい・・・」
シャーリーはますます顔を赤くしてうつむいてしまった。まぁ、伝わったと信じてもう少し待ってみよう。
照れて力が入っているのか、ちょっと首が苦しいくらいにしまっているけど好都合だ。落とす心配もないし、少し速度を上げよう。もっと沖の方なら巨イカもいるはずだ。
「少し速度を上げるから。ちゃんとつかまっててね」
「あ、はい・・・っきゃっ⁉」
さて、巨イカを見つけたらどうしようか。シャーリーは巨イカを見たいといっていたが、どうせなら戦いたいだろう。ランキングに乗せるだけなら私が見敵必殺を繰り返していれば間違いないけど、それじゃあシャーリーも面白くないはずだ。
うん、なるべく弱そうな巨イカを見繕う。それで戦ってみてダメそうだったら私が討伐するって感じで。




