何か
投稿忘れてました。申し訳ありません。
「痒い・・・」
葉っぱの中は涼しくていいが、ちくちくしてほんのり痛い。というか痒い。入った当初はそうでもなかったのに、少し風が強くなってきていつの間にか肌に刺さるようになってきた。ちょっとダメージも受けてる。
私の強靭ともいえる耐久値を突破してかゆみを与えてくるとは、こいつできるな。褒美に収穫してやろう。
「『収穫せよ』」
なんだか久しぶりに使った気がする『収穫せよ』。よくよく考えれば〈収穫〉属性はこっちが本業のはずなのに、戦ってばかりで全く使っていない。最後に使ったのは本当に最初のころの薬草採取くらいじゃないか?
【素材】限定超魔力草
ごく限られた期間に開かれる未踏の島でしか採る事の出来ない強靭な魔力草。特殊な状態にあり、ポーションにせずとも十分な効果を発揮するが、ポーションにすることでより強い効果を発揮するだろう。
〈鑑別〉イベント限定
【素材】限定超薬草
ごく限られた期間に開かれる未踏の島でしか採る事の出来ない強靭な薬草。特殊な状態にあり、ポーションにせずとも十分な効果を発揮するが、ポーションにすることでより強い効果を発揮するだろう。
〈鑑別〉イベント限定
採れたのはこの二つ。流石私にダメージを与えてきただけあり強そうだ。いろいろな意味で。
薬草にしては匂いがないし魔力草にしては青くないけど、使えそうなので採取しておく。どこかで錬金術師のプレイヤーを見つけてポーションにしてもらってもいい。代価にはイベントポイントをプレゼント。
「ん・・・」
ぺっぺっ!風が強くなってきて口に葉が入った。滅茶苦茶苦いのと滅茶苦茶甘いのがある。両極端だな。
というか待って、後味が最悪すぎる。口に入ったのをすぐに吐き出してもこれってそのまま食べるのは無理だぞ。使うならポーションにしてもらわないと。もし戦闘中にこんなの食べたら戦闘どころじゃない。
とりあえずここから出よう。もうこれ以上これを口に入れたくない。もう十分な量は採ったしここに用はない。風も強くなってきたし。
それにしてもなんでこんなに風が強くなってきたんだ?
と、外に出て気づいた。まだお昼ごろなのに周囲が暗い。陰になっている。まるで何かが日の光を遮っているみたいな・・・上?
「・・・あ」
雲の端から尻尾のような何かが見えた。もやもやした雲のような、しかし雲とは違うと分かる紫がかった異様な尻尾。それを認識した瞬間、言いようがないほどの強烈な不安と恐怖が私を襲ってくる。
≪『遍く呪いに賛歌と祝福を』を認識してしまいました!≫
≪強大なレベル差があります。あなたは『狂乱』しました≫
逃げなければ。違う、逃げるところなどどこにもない。隠れるのだ。どこでもいい。死にたくない。無様でも滑稽でも構わない。あれが私を認識する前に葉っぱの中へ。違う。こんなところで隠れられるわけない。
「タ、『風よ、我が意に従い対象を切り刻め』!『風よ、我が意に従い対象を切り刻め』!」
樹を切り刻みその中へ。中から何かの幼虫が飛び出てくるが関係ない。こんなもの、あれに比べれば何でもない。もっと、もっと深く。できる限り自分という存在をなくさなければ、あれが私を見つけてしまう。
呼吸はするな、身じろぎすらするな。震える体を抱きしめて無様に祈るのだ。それ以外にできることなどないのだ。それがすべてなのだ。ちっぽけな私ができることなど、それしかないのだ。
はやく、はやくどこかへ行ってくれ。まだあれが近くにいる気配がある。怖い、恐い、こわい!
5分、10分、まだいるか?わからない。それを確かめるために行動する勇気など私は持ち合わせていない。
いっそ、一生このままでもいいかもしれない。あれに見つかる可能性があるなら、私など喜んで虫になろう。あれに見つかるよりましだ。
いや、虫になる程度であれから逃げられるわけがない。死ぬのだ。速く死ななければ。死ぬ理由など、あれに見つかりたくないからだけで十分だ。あれに見つかるくらいなら、死んだほうがましだ。
私という存在のプライドなど、あれに見つかるリスクに比べたらちっぽけなものだ。カスのようなものだ。
杖、杖だ。喉を突け。大丈夫、すぐ死ねる。震える手で杖の先端を喉へ向ける。動くのが怖い。もしあれに気付かれたら・・・
急げ。速く、速く死ね。震えている暇なんてない。速く、速く!
≪『狂乱』状態が沈静しました≫




